足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

世界の株価が落ち着く・・・金銀相場の堅調に注目

2016-04-13 06:01:13 | 投資戦略
NY株は反発した。IMFの慎重な世界経済の見通しにもかかわらず、欧米、新興国の株価は上昇した。米連銀の利上げが引き延ばされるという見方に注目するあたり、市場のセンチメントの強気への傾きが強くなったのを感じさせる。
第1四半期の決算発表がアルコア(AA)を皮切りに始まり実績は予想を上回ったが、見通しが慎重で株価は下落した。しかし悲観人気が横には広がらなかった。
ウオーレン・バフェット銘柄のコカコーラ(KO),IBM(IBM)が急騰したほか、最近、「トリトンスクエア通信」で取り上げたキャタビラー(CAT)も大幅高。バリュー株人気が鮮明になった。


石油は$40台を維持、日曜日のカタールでの産油国会合で生産凍結が決まる観測が強まった。
金銀相場が上昇し2ヵ月ぶりの高値。有名なヘッジファンド運用者ジム・シモンズ(ルネッサンス・テクノロジー)の金相場への強気が注目された。
代表的な金鉱株バリック・ゴールド(USA)に大量のポジションをとった。昨年末に持ち株を40%増やした。さすが機敏な運用者ジム・シモンズで、長年、この銘柄に取り組んできたベテランで、個人資産が1兆円以上の成功者。
彼は数学者の立場から相場パターンを分析し、独特の投資手法を開発した。最近になって投資銀行のアナリスとの推奨も散見されるが、それよりも1歩も2歩も早かった。他のヘッジファンドの運用者に真似ができない独特の分析手法だけに注目される。
金関連のETF(上場投信)に資金が流れ始め、個人資金の還流もはじまった。ウォール街では金銀相場の先行きの相場観には見方が分かれるが、これまで実績あるヘッジファンドの動きだけに、今後は同調する向きもふえるだろう。
昨日はこれまで軟調であった新興国市場の株価も一斉に反騰した。人気の転換を感じる。
円相場は麻生財務相発言で円相場も落ち着いた。

NY株決算シーズン入り・・・・小野薬品にサプライズ発表

2016-04-12 06:11:17 | 投資戦略
NYダウ平均は前半のプラスが消え、引けにかけて下落した。
本日のアルコアの決算を皮切りにして第1四半期の業績発表シーズンいりする。事前の予想では前年比で7%台の減益になる見通しである。
円相場が引続き買われたほか、石油、金相場が上昇した。
石油上昇の背景には中国の輸入増、米国内でのガソリンの需要増が背景にある。米国内産油株のチェサピーク(CHK)は+18%急騰し、原油相場は3月後半以来の$40台乗せ。
今週の日曜日にはドーハで主要産油国の会合が開かれ生産制限について議論される。

金相場も3週間ぶりの高値である。金鉱株が買われた。金上昇は中国、インドの需要、金ETFへの資金流入が背景にある。ドル安も石油、金相場に追い風である。

世界最大の運用会社ブラック・ロック社の日本株売りが話題になっている。東京市場に弱気に転換した。2013年の安倍首相のNY取引所への訪問以来、「日本の復活」「アベノミクス買い」で盛り上がった人気もすっかり冷えてしまい、その後の東京市場の値上がりの半分は消えた。2016年初めから外人投資家の売りが13週間継続している。日銀のマイナス金利、円高が株安の原因とみるが、今回の売越しは1998年の16週間の連続売り以来の記録である。当時はアジア危機が起こり、日本株へも売りが殺到した。外人の弱気の見方の共通要因は円高の再燃である。政府、日銀の対応策が求められている。

昨日は小野薬品(4528)が2016年3月期の抗悪性腫瘍剤「オプジーボ」の売上予想を175億円から212億円への増額修正を発表した。この数字はびっくりするほどでないが、サプライズは2017年3月期の同薬品の見通しを1260億円と6倍弱にしたことだ。世界初のPD-1モノクローナル抗体で、差当たり「悪性黒色腫」向けの治療薬だが、他のがん治療に拡大が確実で世界では1兆円以上のがん治療薬になることが現実化されてきた。日本が生んだ画期的な治療薬でノーベル賞候補にも上がっている。暗いムードの日本の株式市場ではダイヤモンドのような銘柄である。人気の先行きの道程は長い。医薬品株投資では避けて通れない株である。この薬品の限界利益率は70%を超える。
われわれのこれまでの注目株のトップ・グループの一つだ。
成長の道筋がやっと明らかになった。

厳しい外人の日本を見る目

2016-04-11 06:10:21 | 投資戦略
最近のウォール街で注目度の高いストラジィストの一人はジム・ポールソン(ウェルズファーゴ・マネジメント)である。
先週のレポートでは次のようにみている。
「3月の連銀FOMCで利上げが見送られたのは海外要因からだ。ただ海外の景気も回復をはじめ、今後は世界の株価は上昇をはじめるだろう。経済指標はユーロ圏、新興諸国、中国、英国、米国、カナダで指標のサプライズが出始めた。
例外は日本である。米連銀イエレン議長は米国の雇用市場は回復基調を続け、インフレ率の2%に向かっている。これまでの年4回の利上げ予想を2回に減らしたのは海外要因に配慮したからだ。特に消費者物価を過去12ヵ月のトレンドを延長すると+2.3%のトレンドに向かってきた。先行き株式相場は上昇するが、問題はどこまで上がるかにある。」
見通しのなかで日本だけは例外で、世界の株価回復の圏外とみる。
世界の株価の2月以降の反発局面でも、ポールソンは慎重姿勢を崩さなかったが、NY株の反騰をみて、世界の株価の見通しを修正した。
気になるのは日本の現状分析で、連銀のイエレン議長が「日本経済のもたつきはおどろき」と言及したことに通じる。
円相場の変調(上昇)はこのような海外の厳しい目を反映している。
5月下旬の伊勢志摩サミットまでに、政策当局の前向きの行動を期待したい。

NY株が小反発、円相場も落ち着く

2016-04-09 06:04:34 | 投資戦略
NY株は小反発。ただ週間ではマイナスに終わった。
この日は原油、金相場が上昇し相場を支えた。
相場を牽引したのはウォーレン・バフェット好みのコカコーラ(KO),アメリカン・エクスプレス(AXP),IBM(IBM)など典型的なバリュー株である。投資家の慎重な姿勢には変化はない。ただ最近、下落を続けたNY輸送株指数が上昇し、先行きに安心感を植えつけた。景気の先行きをみるのには心強いサインで、われわれが最近、特に注目してきた指標である。

これまで東京市場の足を引っ張ってきた円相場も上昇は一服した。日本の政府高官の口先介入が出たが、ドルを売る動きはこの日はみられなかった。

東京市場では引き続きバイオ株のそーせいG(4565)の動きに注目したい。
昨日はが東証での売買代金代2位になり第1位のNF日経レバレッジETF(1570)に続いた。個別銘柄ではトップでトヨタ自を引き離した。
株価の動きは昨日のストップ高に続いての大幅高。
前日に発表になったアイルランド籍の米医薬品大手アラガンとアルツハイマー病の医薬品で提携を発表したのが注目材料。新規ムスカリン受容体での創薬を共同開発し、世界市場で販売し、2743億円のマイルストーンを受領することを公表して、市場に驚きを与えた。この種の国産の新薬開発では小野薬品(4528)の一連のがん治療薬オプジーポのブリストル・マイヤーズへの海外での販売権の導出があるが、それに次ぐ快挙である。
同社の技術はGPCRという受容体を安定した状態で取り出すことに成功したもの。GPCRは2012年ノーベル化学賞の受賞対象になりアメリカの科学者が栄誉を得た。世界ではじめて創薬に成功したのがそーせいGである。
同年のノーベル医学賞は日本の山中伸弥教授がiPS細胞で受賞した。
GSCRという聞きなれない材料がそーせいGの人気の原動力になったのは、今後の日本のバイオ技術の展開をみる上で大きな注目材料である。
今後は息の長い人気相場がそーせいGに続くとみる。


バイオ関連に明るい光・・・関連株に注目

2016-04-08 06:23:45 | 投資戦略
ウォール街では“ミステリーだ!”とい声が出る円相場の動きである。

2014年10月に日銀が円安対策に動き出して以来の水準に逆戻り円高になった。先に安倍首相がウォールストリート・ジャーナル紙上で「介入は避けたい」と言及したことが尾を引く。
政策当局が今回の円の反転に全く無策なのを見透かした動き出である。この日は原油相場も下落し、NY株は下落した。最近の相場の回復基調は一服。
最近、戻り相場にはいっていたバイオ、資源株も下落した。

東京市場の焦点は円相場に集中する。2013年以来、東京市場が回復に転じてきた最大の材料であり、景気回復の原動力になってきただけに、相場の方向観が定まらないことに不安感が高まる。

不透明な相場環境のなかで昨日は医薬品・バイオ関連株に人気が集中した。特にこれまで日本は欧米に比べて出遅れていたバイオ関連銘柄の間の循環物色の人気が明確になってきた。
21世紀の幕開け以来、新興市場でバイオ関連株の新規公開が盛んになり、玉石混交の様相を呈してきた。これまで公開されたなかから珠玉のよう銘柄が生まれず、バイオ関連という名前をあげながら、せっかく集めた市場からの資金を無駄食いするケースが多かった。IT技術と同じように日本発の世界的なバイオ技術が新興市場の銘柄からは生まれなかった。医薬品市場の規模は米国に次いで世界第2位の規模であるのに見劣りした。
しかし最近、ようやく欧米の大手企業から注目を集める技術の萌芽がみられる。この動きが横へ広がり、日本のバイオ技術が飛躍する兆しも出てきた感じは受ける。
この展開は大切にしていかなければならない。

本欄では小野薬品(4528)よそーせいG(4565)に注目してきた、これからもこの2社が業界をリードするだろう。
特に昨日のそーせいGの米アラガン社との開発・提携のニュースは、日本バイオ企業の快挙である。
今回、アラガン社が目をつけたのはGタンパク質共役受容体(GPCR)の作製を可能にする技術で、新しい創薬を可能にして世界初の医薬品が生まれる。アルツハイマーの画期的な治療薬である。世界で4500万人の患者がおり、2050年には1億3000万人という患者の市場ができるといわれている。大変なバイオベンチャーの誕生が約束された。