足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

日銀の一手、世界の株価に影響を与えそう

2016-01-30 08:44:15 | 投資戦略
日銀のゼロ金利政策が世界の株価を動かせた。
ウォール街では新年に出鼻をくじかれた強気筋が“万歳!”と立ち上がった。まずドル相場が反騰、次いで石油、そして世界の株価に強気人気が浸透していった。

昨日の東京市場は日銀のゼロ金利政策の発表をめぐって戸惑い発表後の株価は波乱した。
だれもが予想をしていなかったゼロ金利政策の採用はビッグサプライズであった。
株価の反応は日経平均+2.8%、上海+3.09%、インド+1.64%、NYダウ+2.47%、独+1.64%、仏+2.19%、南ア+2.80%。

ウォール街では東京市場のような株価の上下への大きな変動がなく、時間の経過とともに下値を切り上げ物色範囲は広がった。金相場は+0.17%、石油は+1.35%。
日銀の動きはECB(ヨーロッパ中央銀行)のドラギ総裁のさらなる緩和策の発表を決定的にした。ECBの次回の理事会は3月10日である。
日銀の決定をみて「米連の次回の利上げは来年に引き延ばされる」という見方が出てきた。
3月の利上げ説の可能性が大きく減退してきた。金利先物市場の金利の動向から可能性を読むが、12月の利上げ後には50%であったが、米国株の下落で今週半ばには22%まで落ちていたが、昨日は12%まで急落した。日銀のゼロ金利政策が世界経済の先行きに大きな警鐘を鳴らした効果である。

今回の黒田総裁の果敢な行動が世界の株価を動かしたのは確かだ。国内での政治のもたつきを横にみて、独自の理論を遂行する総裁は日銀史上でも希有な存在で、市場の関心を安倍政権からクロダミクスに移行させた。

思い出すのは2013年の春の黒田総裁の誕生の時である。
米ヘッジファンドのダン・ローブ(サード・ポイント)は黒田総裁の手腕に期待して日本株を猛然と買い出した。彼の当時のレポートをよむと「2012年12月のクリスマス休暇を返上して黒田総裁の過去の論文を読破した」とある。このような動きがこれから出てくる可能性が出てきた。日本の再見直しだ。

今週の「トリトンスクエア通信」(1月27日号)では日銀の次の一手に期待した。新しい投資戦略を練る時期にきた。

底値を探る動き

2016-01-29 07:18:33 | 投資戦略
ウォール街では底値を探る動きが出てきた。
この日の注目点は2大懸念材料のうち原油相場の反騰が相場を押し上げたこと。材料はロシアとOPECが減産について話し合いにはいったという噂だ。両者とも否定したが、底流には動きが出てきた気配はある。大手石油株のエクソン(XOM),シェブロン(CVX)がともに2%以上の上昇。
前日、フェイスブック(FB)は好決算を発表し株価が15%も上昇した。昨年の波乱相場のなかでもハイテク株の代表として人気を集めた銘柄である。すでに時価総額は31兆円で大型株の仲間入りしている。インターネット関連での人気の先鋒役を務める。
ほかに目を引いたのはスポーツ・シューズのアンダーアーマー(UA)で16%も急騰した。
予想を大きく上回る決算発表が材料だ。日本では知名度は低いいが、ウォール街では人気株。アメリカンフットボール関連のスポーツ・シューズをはじめスポーツウェアなどアパレル分野で成長してきた企業である。フェイスブックと並んで日本では類例のない米国が誇る若い成長株である。このような人気株の動きをみていると、一部の成長株には人気が集中するという動きが出てきた。
この2社のような動きは例外で目下、発表中の2015年第4四半期の決算は不振だ。これまでに発表になった企業(8S&P500の企業)の売上は-3.5%(前年比)で、第3四半期の-1.1%に比べて一段と悪化しており、悪役はエネルギーと素材である。

ソロスが先週のダボス会議に出席し中国の危機を論じているが、特に中国元に言及しているのに関心を持つ向きも多い。ソロスは中国元の切り下げを懸念している。これまで1990年の英ポンド危機、1998年のアジア危機で通貨の切り下げで活躍し大きな利益を上げただけに、彼の発言には市場は敏感である。

今週の米連銀のFOMC(26~27日)の声明文の裏読みから12月の利上げは結果論としては連銀の先走りで、慎重さに欠けたとみる向きが増えてきた。本日の日銀の政策決定会合の結果が注目される。目先の東京市場のカギを握る材料である。

次は日銀の一手に期待

2016-01-28 06:53:31 | 投資戦略
本年初めての米連銀FOMCが2日間の日程で開始された。
会合後の声明文にハト派的な文言がもられることを期待したが、全員一致で現状維持が決まり相場は失望した。
一時は期待観からプラスになったものの、ハト派的な色彩のコメントが全くなかったことに失望し、急落し前日のプラスを全部打ち消した。
12月の新築住宅は好調、インフレは鎮静状況で景気の基調には一時的な鈍化の兆しが指摘されたが、現状の政策を変えるような状況でなく、金融政策の正常化に向かって現状の政策の遂行が確認された。
リスクは中国、原油安だが、連銀は今後の展開をみる。次のFOMCは3月15~16日の予定で、それまで連銀の姿勢について相場は一喜一憂する動きが続きそうで、本日の会合の結果からは不透明感から抜け出すガキは全く見当たらなかった。

市場の焦点は引き続き、中国、原油相場に移るだろう。

東京市場の関心は本日から始まる2日間の日銀の政策決定会合である。
米連銀の現状維持をみてどう動くかが最大の関心事だ。
国内のエコノミストの見方は分かれるが、海外の見方は日銀の一段の量的緩和を支持する。2003年以来、日銀の黒田総裁は米連銀、ヨーロッパ中央銀行ドラギ総裁の先手を打って金融緩和政策を断行してきた。特に今回、注目すべきは東京市場の株価の暴落でNY株に先行して弱気市場にはいった。米国より中国経済への依存度が高いだけに、日本の景気に与える中国景気の影響は大きい。昨日のヨーロッパ株はドラギ総裁の一段の量的緩和策の発言を好感して、堅調であった。
これまで日本の景気を支えた訪日外人のインバウンド人気にも陰りが見えてきた。世界の投資家の目はここ日銀の政策決定に集中する。黒田総裁が動くときがきた。



中国株安をはじき出す・・・NY株反騰

2016-01-27 06:22:12 | 投資戦略
18%NY株は急反騰した。
原油の先物相場が5.8%急騰し、相場の地合いを変えた。S&P500の10業種の指数がすべてプラスになった。これまでの相場の2大懸念材料である中国株は大幅安であったが、原油の反騰が投資家の弱気心理を変えた。

2015年の決算発表が本格化したが、この日はソフトバンク傘下のスプリント(S)の損失が大幅に減少し、会社のコスト削減策が予想以上に進展している発表に信頼感を生んだ。株価は18%も急騰した。
これまでソフトバンクの孫社長が全力投球してきた成果が表面化し始めた。これまでのソフトバンクの株価の動きをみると、改善策の進展には信をおいていなかったことがわかる。

原油の反騰には特に材料がでたわけでないが、市場では米国の産油会社が設備投資を削減し始めたことや、イラクの首脳が減産に言及したことなどが伝えられた。
世界の株価の2大悪材料のひとつに、この日は表面下で解決の動きが出てきたことは久しぶりの注目材料である。
火曜日~水曜日には本年初の米連銀FOMCが開催中で、終了後の声明文に関心が集まる。当然、現下の世界的な株安についての議論も行われているはずで、それにメンバーがどのような見解をもっているかが大きな関心事だ。

今週の「トリトンスクエア通信」では目先の相場の反騰に賭ける手法として「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」(1570)への投資を考えた。日経平均に連動して動く上場投資信託で1株単位から売買でき、指数の動きに応じて株価が変動する。連日、売買代金のトップを占める。日経平均を投資対象にすることだが、値動きは日経平均に連動する。ここに取り上げた商品は指数の2倍の変動(レバレッジを利用するから)をする。仮に信用取引を利用すれば投資資産の上下への変動はさらに大きくなる。
銘柄の選択に迷った時の投資手段のひとつとして考えたい。連日、東証の売買代金のトップを続ける人気商品である。


原油相場が頭を押さえる

2016-01-26 06:21:10 | 投資戦略
ウォール街では先週末に差し込んだ光が消えた。
原油価格の反落である。これまでの株式相場の懸念材料の中国、地政学リスクが石油価格の方に移った。石油相場の動きと株価の相関度は急に高まっている。相場の弱気筋は石油業界の不振と2008年当時のサブプライム事件を重ね合わせて考える。
石油相場をコントロールしてきた産油国が完全に相場を安定させる機能を喪失した。
はじめは米国でのシエルガス業界の勃興を抑えるために、増産に踏み切り、開発業者の意欲を挫く戦術をとったが、効果はなく、シエル業界の規模が大きくなり、OPECは価格支配力を失った。最大の失敗はサウジが原油価格を自分たちでコントロールできると判断したことが大きな間違いであった。時代が変わり、米国でのシエル開発の技術革新の進展の速さを見誤った。サウジが当初想定した以上に開発コストの低下が進んでいる。
米国と産油国との戦いはどこかで終末を迎えるだろう。世界の株価への影響度がここまで高まると、政策当局も放置するわけにはいかない。

混戦のなかに光はみられる。
注目したいのはウォーレン・バフェットが石油戦争も限界と判断していると受け止められる動きを始めたことだ。
バフェットはもともとエネルギー業界には造詣が深く、この分野への投資には関わりをもってきた。彼にはエネルギーは米国資本主義のバックボーンという強い確信がある。これまでから傘下には関連企業を集めてきた。
最近はフイリップス66(PSX)を新年にはいってから継続的に買い増していることである。先週も買い増した。
大手石油メジャーのコノコ・フィリップスのダウンストリーム部門を切り離し分社化し、株式を公開した。最近のバフェットのこの株への注力をみていると、傘下企業にいれたいという意図がみえる。
このバフェットの動きからすると、石油相場もファンダメンタル面から底値圏とみていると伺える。