足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

市場がダブルディプ(2番底)を警告

2010-06-30 09:25:09 | 株式

NY株が暴落した。

さまざまな悪材料が混在しているが、そのなかに「日本の輸出が鈍化している」という記事が中国の景気の鈍化、ギリシア問題に並んで取り上げられているのが目についた。これまで世界の株価の材料としては、東京市場は圏外にあったが、このような見方は久しぶりである。

S&P500の引けは1041であったが、このところメディア注視してきたジェームズ・ポールソン(ウェルズ・マネジメント)は「下値の抵抗線1040を割れるかどうか、重要なテクニカル面でのフシ目にきた」と語っている。大手機関投資家も彼の冷静な相場観には注目してきた。

昨日の景気指標で注目されたのは米国の消費者信頼感指数(6月)である。予想の62.8を大きく下回り52.9になった。

今週、発表される指標は金曜日の6月の雇用統計である。コンセンサスの予想は-115000人で減少することになっている(5月=+431000人)。これまでの政府の雇用が一巡したことが影響する。株価が暴落している時だけに、心理的には投資家のマインドに影響するだろう。

昨日のVIX(恐怖)指数は30.80520日のNYダウ平均-376ドルの時の45.79の時に比べると低水準にはある。市場のセンチメントは当時ほどには悪化していない。

市場が期待しているのは米国政府と連銀の行動である。

昨日はオバマ大統領とバーナンキ連銀議長の会談が伝えられたが、なにかの話し合いが行われたのか?注目したいところである。


世界初の電気自動車株の公開・・・あすウォール街で

2010-06-29 08:12:43 | 株式

週明けのNY株は弱含み。個人消費関連の好調な指標が出たが、週末の6月の雇用統計の数字に関心が集中して積極的に売買しようというムードではなく、見送り気分が強い。

そんな中で明日のIPO(新規公開)のテスラ(TSLA)に関心が集まっている。世界初の電気自動車関連のベンチャーの公開である。ことしに入ってから注目を集めてきた。

設立後、7年目の企業で米国政府も支援している。創業者はElon Muskでインターネット・ブーム時にPayPalというオンライン上での決済システムの企業を興して資産家になった。この会社はEベイの傘下にはいった。

テスラは過去5年間で14700万ドルの売上を上げたが、赤字は3億ドルである。先にトヨタ自動車が5000万ドルの資金を投じた。しかし資金面では行き詰まりにきており、公開に踏み切ったわけだ。

公開株式数は1330万株で公開価格の価格帯は$14~$16に決まった。電気自動車という株式市場ではホットな人気のある銘柄だけに、事前の人気は高い。

現在の同社の電気自動車は1回の充電で160~300マイルの走行が可能で、日産自動車のリーフの100マイルに比べるとすぐれている。ただ製品価格がリーフ(1台$25000ドル)の2倍以上である。

テスラは2012年までには量産体制を備えて黒字化をするという計画を発表している。

テスラの公開で電気自動車も、これまでの理想買いからいよいよ現実買いの段階に入る。


G20の結論に東京市場がどう反応するか?

2010-06-28 08:00:24 | 株式

カナダのトロントの郊外のムスコアでのG20が終わった。

米国の主張する景気回復の優先とドイツの財政赤字の削減という課題が最後まで正面で衝突した会合になったが、「正直いって期待以上の成果だった。難しい課題に直面したが、先進国は解決策を見つけた」とドイツのメルケル首相が言及する通り綱渡りの議論の結果が出た。

差し当たりは米国の主張してきた景気回復への政策の遂行を優先し、同時に時期をみて財政赤字への対策の舵を切る。2013年までにGDP比率の赤字を半減する。

仮にG20でこの種の合意がなられなければ、世界の金融市場には再び緊張感が戻り、株式市場にも打撃を与えるところであった。そして再びヨーロッパ金融市場に混乱をもたらせる可能性があった。

今週の株式相場は後半から7月いりする。

特に注目される材料は金曜日の米国の雇用統計(6月)の発表である。市場のコンセンサスは非農業部門では雇用数が11万の減少が見込まれている。政府関連の雇用数の減少が影響する。

本日は世界の市場がどのような動きをするか?G20の政策への評価に最大の関心が集まる。

東京市場の動きに世界と投資家の関心が集中している。


銀行株は落ち着く・・・・ウォール街

2010-06-26 08:38:06 | 株式

昨日のウォール街はまちまちの動きであった。方向感は定まらない。

週間ではダウ平均は-3.0%、S&P500-3.7%。これに対して日経平均は-2.6%でNY株に追随した動きである。S&P5001076で下値の大きな支持線である1100を下回ったままである。

ただ昨日は久しぶりに銀行株が反発した。KBW指数は+2.9%。米国の金融規制法が両院で一本化されたことを好感した。当初、懸念したほど規制の内容が当面、銀行に厳しいものでなかった。

ことしに入ってからのウォール街での懸念材料は①ギリシア問題②中国の景気の鈍化③金融規制法④米国景気の鈍化であったが、④の景気の問題を残して最悪の事態は避けられる動きが出てきてはいる。

最後の景気の問題も、昨日のミシガン大の個人信頼感指数の発表では76に改定(前回は75.5)され、20081月の数字と並んだ。消費者のセンチメントは悪くはない。

20世紀が生んだ偉大な運用者と称せられるビル・ミラー(レッグメイソン)が久しぶりに相場観を披露し(モーニングスターの会合で)、「ヨーロッパでの銀行のストレステストがユーロ問題の懸念を払拭する」と先行きの相場の反転のきっかけを指摘した。


世界の相場は正念場に来た

2010-06-25 07:41:18 | 株式

S&P500200日移動平均を下回ってしまった。

今週は1100近辺にある移動平均を上に突き抜けることが期待されたが、市場の人気はヨーロッパ金融市場の混乱が米国景気に影響を与え始めたことを気にした。特に前日のFOMCでは景気回復の勢いのエネルギーに息切れすることが指摘された。

米国の連銀にはインフレ問題に対しての政策対応のほか、雇用問題への政策対応が義務付けられている。市場が最近,期待しはじめたのは連銀の景気対策である。

これまで市場から1兆ドルの国債と住宅抵当証券を購入してきたが、その期限が切れる。その延長が連銀に期待されている。景気と株価の動向に敏感なバーナンキ議長だけに、週末のG20後には何らかの対応が期待される。

S&P500の目先の支持線は1050にある。

ここで想起するのは6月のレッグメイソンのデビッド・ネルソンのレポートに引用されたTonyDwyer(CollinsStewartnストラティジスト)の「5段階の仮説」である。

    株価は企業収益の方向に左右される(増減率ではない)

    企業収益のトレンドは景気の方向によって決まる

    景気はイールドカーブ(長短金利のカーブ)で決まる

    金利は連銀の政策によって決まる

    連銀の政策はコアインフレ率で決まる

この仮説によるとバーナンキ議長が次の一手を発動する時期に来ている。