EU首脳会議の結果を好感して世界の株価が大幅高になった。
特に大きな反応を示したのがウォール街でNYダウ平均は高値引けで5月上旬の水準になった。
28~29日の2日間での首脳会議では第1日目にユーロ圏でGDPの1%の景気対策がまとまったが、難航の金融市場への対策では大きな進展はないとみられていた。しかし予想を覆し、ESM(欧州安定メカニズム)がスペインなどの問題の金融機関に直接に資金注入することを決めたほか、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が銀行監督するなどを好感した。これまでのEUの政策が後手に回り「時間稼ぎ」と揶揄されてきたのが、EUが初めて現実的な行動を決めた。NY株が次第上がりのトレンドになったのも、「ようやく動き始めた」という見方が有力になってきたからだ。ただこれまで何度も騙されてきた市場だけに次のような皮肉な見方も残る。
① これでユーロ問題は終わらない②米国景気は鈍化する③エマージング市場が勢いをなくして
きた④世界的な加重負債問題は解決しない―といった見方である。
ウォール街での相場のリード役をみると金融、製造業、ハイテクなどが相場をリードし、人気の広がりがみられる。
先行き世界的な株高の持続性には米国でのQE3(第3次量的緩和)への期待感が一段と高まってきた。来週木曜日にはバーナンキ議長の議会証言がある。
東京市場は年初来+6.5%、NYダウは+5.4%になり再び日本株がNY株ノパフォーマンスを上回ってきた。
来週初めの東京市場は金曜日のEU首脳会議の模様は十分に織り込んでいないだけに、先週末の上昇の余韻は残るだろう。
上半期と先月の市場で注目したい動きが出てきた。先月の日経平均は+5.4%であったが、マザーズ指数は+13.1%、また年初来ではジャスダック平均は+13.1%になった。新興市場へ個人投資家の資金が流入している。この流れが継続するようだと、相場の先行きセンチメントをみる上では明るい材料である。