足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

11月~12月の戦略

2007-10-31 17:21:46 | 株式

波乱の10月相場も終わった。

本欄ではウォール街での経験測のひとつ“Sell in May and go away”(5月に売って、離れる)については、しばしば書いてきた。長年の経験測では確度は高い。別に科学的な根拠があるわけではないが、過去の統計から割り出された。

そのような習性が続けば続ほど投資家の間では信じる向きもふえてくる。今年も10月19日のブラック・マンディ(暗黒の月曜日)の記念日には株価が下がったように。

問題の10月相場も終わった。シカゴ市場で取引されているVIX(不安)指数も20前後で落ち着いてきた。

東京市場も11~12月相場には期待している。

なによりも注目したいのは新興市場の回復である。個人投資家によって形成される市場であるが、9月まではファンダメンタルで説明できないぐらい下げた。昨年1月から78%も下落したが、9月18日に底入れ、今週初めまで底値から55%も上昇した。個人投資家のセンチメントに与える影響は大きい。

それに東京市場のPER(株価収益率)が17倍と、ウォール街に並ぶところまで下がった。

いまひとつの注目点はウォール街でのハイテク株への人気の回帰である。昨日はグーグル(GOOG)がほぼ$700になった。

今週の米バロンズ誌の特集は“Tech is Back”(ハイテク株の復活)である。

このような材料を考えて11月~12月相場の戦略を立てたい。


米利下げは0.25%か0.5%か?

2007-10-30 17:23:52 | 株式

米国では30日、31日と2日間にわたって連銀FOMCが開かれる。

先週のNY株が急騰した理由はバーナンキ議長が9月に次いで第2回目の利下げに踏み切るという期待感にあった。シカゴで取引している金利先物市場では86%の確率で0.25%の利下げという相場が立っている。

さらに0.5%という利下げを期待する向きもあり、その確率は14%と低い。

しかし9月18日のFOMCでは「まさか」と市場が思う0.5%の利下げが決定されただけに、再び市場にサプライズドを与える挙にでる可能性もある。バーナンキ議長は日本の資産バブル後の政策の後手が、経済の再生を遅らせたことに特に関心をもって研究したといわれる。

仮に利下げ幅が0.25%でも市場に安心感を与えるが、0.5%の場合には投資家を元気づけ、ヘッジファンドの買戻しを誘うことになるだろう。

本日は日経平均はマイナスであったが、TOPIXがごくわずかであるがプラス、そして騰落指数は112%と値上がり銘柄が値下がりを上回った。中味は悪くない。

決算発表が進行中だが、増額修正組みが増えている。

なかでも海運株の増額が目立つのに、株価は発表売り。これまで、われわれも注目を続けてきたが、株価は材料を先取りしたのか?

これで相場が終わることはない。大手の決算発表をみて感じることは、2011年までは現在の好調が続くだろうという確信だ。

増配組が増え、利回りでも買えるようになってきた。先行きには心配はいらない。手を空かせた向きは押し目買いのチャンスを考えたい。


ハイテク株の復活の予兆

2007-10-29 17:51:18 | 株式

ウォール街で注目されてるのは、今年の8月は月間でハイテク専門ファンドへの資金の流入が2000年以来、はじめてプラスになったことだ。

2000年といえば先のインターネット・バブル相場のピーク時で、その後はハイテク・ファンドからは一本調子で資金が流出してきた。明らかに個人投資家が「ハイテク株は大底」という確信をもったのだろう。

別の視点で相場をみよう。東京市場で新興市場が大底入れ(現在はこういう表現を使っても大半の投資家は異論をはさままないだろう)したのは、9月18日で、この日を基点にして指数の比較をすると、日経平均+4.4%、マザーズ+50%、ヘラクレス+33%、NYダウ+0.4%、米ナスダック+5.7%。

東京市場の資産バブル崩壊後、日本の相場と相関度が高いのは米ナスダック指数といわれてきたが、そのナスダック指数の動きが、最近、目だってNYダウにアウトパフォームし始めた。そして日経平均以上に影響を与えているのは、新興市場のマザーズ、ヘラクレスである。

日本の新興市場は1980年代の資産バブル相場の崩壊相場と同じよな現象を、2006年1月→2007年9月まで繰り返したが、ようやく世界規模で始まったハイテク復活の波に助けられたとみるのは間違いだろうか?

ハイテク業界に「世界規模で再び新しい技術進歩の芽が出始めた予兆」という夢物語ができるようになってきた。


今週は重要な時期

2007-10-28 09:54:51 | 株式

今週の株式相場は年末高への素地を固めてくだおろう。理由はウォール街の状況が、着実に地固めを終え来年春にかけての強気相場の条件をそろえてきたからである。

金曜日のウォール街ではNYダウ+0.99%、

ナスダック+1.94S&P500+1.38%であった。サブプライム問題で金融機関の損失にゆれた週の初めであったが、それを一連のハイテクの好決算が払拭した。ミスター・アメリカの代表格であるマイクロソフトが決算発表で急騰したのも、市場参加者の気分を明るくした。

いまひとつは31日の連銀FOMCである。週末のシカゴの金利先物取引で0.25%下げの確率が86%になつた。0.5%下げの確率も14%ある。

債券王といわれるビル・グロスのいう「あと1.0%下げが必要」という見方にバーナンキ議長もなびいてきてる感じを強くすうる。

仮に月末の下げが0.5%なら、相場は11月分の上昇をいっぺんに吸収するだろう。

いずれにしても今週は個人投資家にも機関投資家にもチャンスの時期を迎える。方向感と銘柄選択を間違えないようにしたい。


決算発表が相場の起爆剤

2007-10-26 21:33:13 | 株式

2003年にモルガンスタンレーを退社してヘッジファンドを立ち上げたバートン・ビッグスは、トラクシス・パートナーズを運用してるいが、これまでのストラティジストとしての経験を生かしてすばらしい成績を上げている。

最近、忙しい日常の運用業務の合間を割いて「へッジホッグ/あぶない金融錬金術師たち」(望月衛訳・日本経済新聞社刊)を書いたが、「文章を書くことも運用には大きく貢献する。書きながら新しいアイディアが湧き上がり、自分の見方を検討することができる」という。エネルギシュで天才的な才能の持ち主であるとつくづく感心させられる。

その本のなかに次のような一文がある。

4つの主要なセンチメント指標を使ってバックテッストしたところ、そうした指標に市場の天井を予測力する力は実質的に全くなかったが、底値はまあまあ予測できた。モルガンスタンレーもVIX指数を使って同じような分析を行い、やはり同様の結論に達している。市場の参加者の不安度を測るこの指標には、だれもが毎日注意している」。

投資家は相場の天井はなかなかつかめないが、底はつかめることもあるという。

ニューヨーク株の最近のVIX指数は極度の不安人気から抜け出し、底値を探る段階にはいってき(指数の下落=不安度に低下)

東京市場も910日の日経平均15764円が底であったとみる。

NY株が上がっても売られることもあるが、それは「時として」の話で、トレンドははっきりと上昇に入っている。

中間決算の発表が材料として響くようになってきた。