今月上旬以来、NY株は短期間に20%上昇した。先週の米政府の不良資産の買上げ策「官民投資プログラム」の発表で上昇相場も佳境にはいり、1938年以来の短期間の大幅上昇を記録した。
ここで金融株に悪材料が出れば反転相場に冷水を浴びせることを知りながら、日曜日のABCテレビの番組でガイトナー財務長官が「資金注入を必要としている大手銀行がある」と発言した真意はどこにあるのか?
これまで大手銀行ではシティ・グループが再度の資金注入を受けてきたが、さらに資金を必要としているのか、あるいはそれ以外の銀行か。
銀行株をリード役にして相場が反転してきたときだけに市場を意識した発言ともとれる。さらに相場が一段高したタイミングで悪材料が出れば市場へのショックが大きいからだ。
ガイトナー財務長官としてはショックの程度を和らげておきたいという気持ちがあったのか?
昨日のウォール街で話題になったのはシティ・グループの5年物債券のデフォルト・リスクの保証料だ。株価が底値であった3月9日には1000万ドルの債券の保証料は$621,000であったが、昨日は$630,000と横ばいであるのが気にされている。当時はシティの首脳が「1~2月の業績は好調」と発言し株価が上がるきっかけになったが、その後、市場のシティに対しての評価は全く変化が出ていない。