足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

ガイトナー発言の真意・・・「資金注入の必要性あり」

2009-03-31 07:57:54 | 株式

今月上旬以来、NY株は短期間に20%上昇した。先週の米政府の不良資産の買上げ策「官民投資プログラム」の発表で上昇相場も佳境にはいり、1938年以来の短期間の大幅上昇を記録した。

ここで金融株に悪材料が出れば反転相場に冷水を浴びせることを知りながら、日曜日のABCテレビの番組でガイトナー財務長官が「資金注入を必要としている大手銀行がある」と発言した真意はどこにあるのか?

これまで大手銀行ではシティ・グループが再度の資金注入を受けてきたが、さらに資金を必要としているのか、あるいはそれ以外の銀行か。

銀行株をリード役にして相場が反転してきたときだけに市場を意識した発言ともとれる。さらに相場が一段高したタイミングで悪材料が出れば市場へのショックが大きいからだ。

ガイトナー財務長官としてはショックの程度を和らげておきたいという気持ちがあったのか?

昨日のウォール街で話題になったのはシティ・グループの5年物債券のデフォルト・リスクの保証料だ。株価が底値であった39日には1000万ドルの債券の保証料は$621,000であったが、昨日は$630,000と横ばいであるのが気にされている。当時はシティの首脳が「12月の業績は好調」と発言し株価が上がるきっかけになったが、その後、市場のシティに対しての評価は全く変化が出ていない。


調整局面をどうみる

2009-03-30 17:01:53 | 株式

週明けの東京市場はここ3週間と異なって一転して調整ムードにはいった。

これまで相場を牽引してきた金融、ハイテクなどが下落したほか円相場も円高の方向に転換した。ウォール街では20%という数字にこだわる。

上昇相場がピークを打って下落に転じたとき20%以上下落すると長期のベア相場にはいったとみるし、相場が反転して+20%以上になったときは大底いれとみる。

今回はNY株も日経平均も3月安値から共に20%以上の上昇になった。しかし今回もそのとたんに上昇エネルギーが減退した。

期待していた向きには肩透かしを食らった感じである。

米国の金融機関の不良債権処理の新しいスキームが出た。官民投資プログラムであるが、当面の対策もこれでなんとなく材料出尽しになった。

3月上旬を底入れとした中間反騰がこれで挫折したとみるのは早い。

今回の調整は個々の銘柄にも短期的な過熱のサインが出ていたからだ。東京市場では相場のリード役の三井住友(8316)や三菱UFJ(8306)の株価は25日移動平均に対して+20%以上と行過ぎになっていた。それだけに短期的にも調整を必要とするところへきていた。現在の相場をみるのにはこの両銀行株の動きをみるのが、どんなテクニカル指標よりも的確であると思う。

調整は乖離率がゼロになって終わるのか、あるいはマイナスにまで下落するのか?

3月の相場のスタート時点での三井住友は‐17%まで下落していた。


ハイテク株がリード役・・・ウォール街

2009-03-27 07:59:29 | 株式

NY株が急騰した。今週に入ってから財務省の「官民投資プログラム」の発表、中古、新築住宅の販売の前月比プラス、耐久消費財の受注好調などの発表が原動力になった。

それに1ヵ月物金利はマイナス、7年もの国債の入札好調。先週の連銀の大幅な流動性供給が効果を現しはじめた。

NYダウは39日の底から+21%になり、昨年11月から本年1月までの中間反騰相場の+20%を超えた。ウォール街では指数がトレンドして20%変動するのがブル相場、ベア相場の分岐点とする見方がある。しかし今回はこの種の経験則を問題にする向きはすくない。100年に12度の金融市場の危機によって起こった暴落相場であっただけに慎重論が多い。

注目されるのは昨日、ナスダック指数が昨年末比でプラスに転じたことだ。1577.031587.00である。ごくわずかであるが、ダウ平均、S&P500が昨年末を大きく下回っている現状に比べて、いち早くプラスに転じたことには今後の景気のリード役をみる上では参考になる。マイクロソフト、インテル、グーグル、HPがハイテク株のリード役になった。

また昨日の市場では太陽光発電の関連株が大きく値を飛ばした。アジアのハイテク専門紙Dig Timesが「中国が太陽光発電に補助金を出す」と報じたのが理由である。中国政府だけに思い切った政策が期待できる。

東京市場でのハイテク株の株価の位置は低い。

先行き注目株を発掘するチャンスが多い。


米、景気に底入れの兆し

2009-03-26 08:26:33 | 株式

昨日のウォール街は大きく上下に変動した。

寄り後、午前中にはNYダウ平均は+201ドルまであったが、午後は一転,軟化し-101ドル安まで売られた。上昇したのは2月の耐久消費財、新築住宅販売がプラスになったこと。住宅のプラスは7ヵ月ぶりで昨年7月以来である。前夜のTV演説でオバマ大統領が「景気に底いれの兆し」と語ったのは、この2つの指標をすでに握っていたからだ。連銀、財務省が景気の先行きに自信を深める一つの材料が出た。

相場のリード役は金融,ハイテクでこれまでとは不変だ。特に金融株につては「3月も足元が好調であるかどうか」が4月相場をみる大きなカギになるというのが市場参加者の大きな関心事である。

前回の中間反騰は1月の決算発表で挫折した。今回もその2の舞になるのではないかという懸念が根強い。

さて本日は東京市場では3月決算の権利・配当落ち。これまで相場をリードしてきた銀行株にはテクニカル指標面では過熱のサインが出ているがそれを突き破れるかどうか?

昨日はサンフランシスコでゲーム開発のカンファレンスが開かれ任天堂(7974)のDSiの欧米での発売が話題になった。43日にヨーロッパ、5日に米国で発売される。今回の話題はアップルのiPhoneとの勝負だ。東京市場では1部のアナリストの「売り」推奨が出たが、海外の目は岩田社長への評価が高い。今週の米バロンズ誌では世界の経営者トップ30人に選ばれた。日本からはキャノンの御手洗会長と2人がカムバックした。


スピード調整・・・金融株にはチャンス

2009-03-25 08:12:13 | 株式

昨日のNY株は反落した。39日を底にしてNYダウ平均は+18%上がった。振り返ると反発のきっかけはシティ・グループを初め大手3行の首脳が12月の業績の好調を公表したことだが、それにバーナンキ議長が1兆ドルの新たな資金供給を決断し、今週はガイトナー財務長官の主導で「官民投資プログラム」が決まったことだ。

すべてが金融市場対策であるが、世界の株式相場の動向を握りNY市場を動かすのはバーナンキ議長とガイトナー長官であることを証明した。東京市場を論じるのに固有の分析ツール通用がしなくなってきた。グローバル化が一体化し、世界株式市場が形成されたゆえんである。

ウォール街の次の焦点は今回のプログラムがうまく機能するかどうかに集まる。一時は民間の資金が集まるかどうかが危惧されたが、大手機関投資家の受け止め方は前向きだ。投資資金に対して7倍強のレバレッジがつき、一部には政府の保証もつく。はたして銀行が簡単に売却に応じるかどうか?

ノーベル賞学者のクルーグマン教授は「問題の金融機関の国有化」を引き続き主張する。投資家の利益を無視した学者の意見だ。

東京市場も微調整にはいるかも知れない。銀行株に出遅れた投資家にはチャンスだ。