足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

ドイツ銀行問題が阻む

2016-09-30 06:23:37 | 投資戦略
ドイツ銀行問題がドイツ株とウォール街を直撃した。
昨日はアジア株が上昇、その人気はヨーロッパ株に移ったが、再びドイツ銀行の住宅抵当証券の不正問題が蒸し返されNY株が急落した。
NY株も午前中は堅調であったが、ドイツ銀行問題が再燃し銀行株が売られその余波が医薬品、バイオに影響し反落した。
リーマンショック時にドイツ銀行に対して信頼感は高く、ヘッジファンドなどは手元流動性の保管の主力を米銀行からドイツ銀行に移行する動きが出るぐらい信用力が高かった。
米司法省が抵当証券の違法販売で1兆4000億円の違約金の支払いを命じた。
日本で例えるなら三菱UFJが問題を起こして騒がれるに等しい事件で、世界の銀行家に与えるショックは大きい。当のドイツ銀行は資産売却で対照すると表明していうが、米国の金融株が軒並み売られたのをみると、世界の株価への人気面での悪影響は避けられない。
NY市場では現在のS&P500の構成銘柄をみるとハイテク21.28%、ヘルスケア14.84%、金融12.75%と3本柱で機関投資家に心理的に与える影響度は大きい。

米国では最大手銀行グループのウェルズファーゴ(WFC)に不正口座開設問題が出て株価が暴落した。バフェットのポートフォリオのトップの金融株である。このような信用力の高い銀行株の不祥事は投資家の心理を大きく揺さぶる。
昨日の世界の株式市場で、売られたNY株の動きは気になるイベントである。

OPECでは生産削減が合意され原油が上昇した。NY市場でも唯一、気を吐いたのはエネルギー関連であり、先行きの相場にはプラス要因であった
円高が一服しはじめた東京市場の復調の先行きにドイツ銀行問題という悪材料が出てきた。

新興市場、第2部が活躍

2016-09-29 06:25:10 | 投資戦略
懸念されていた欧州株だがドイツ銀行は底入れし、安心感が戻ってきた。リーマンショック時の住宅ローン担保証券問題で米司法省から1兆円の和解金支払いを要求されているが、減配、人員削減、資産売却で対処する計画で株価の下落も一服した。
OPEC会合で減産がまとまる方向にあり、原油相場が上昇した。
エクソン(XOM)株が4%上昇したほか、キャタビラーも急騰した。先週来、世界の株価の方向感が消えており、弱材料に敏感であったが、この日は久しぶりに落ち着いた。
魔の9月も終幕にきた。
昨日の日経平均は配当落ちもあって大幅安(-218円)。
その中でマザーズ指数、第2部指数は引き続き逆行高。個人投資家の資金が足の軽い銘柄に向かう。
この動きをみるかぎり元気のよい個人投資家の活躍は健在。外人、国内機関投資家の沈黙に反して活躍する銘柄が散見され存在感を示した。

2日前に新規公開したシルバーエッグ・テクノロジー(3961)はIPO価格が900円であったが、2日目の昨日に初値(2622円)をつけ引け値は3125円買い気配で終わった。
久しぶりの技術力が注目される銘柄だ。流行のAI(人工知能)をベースにしてECサイトの効率化に貢献するサービス開発企業である。時流にのる企業だ。
昨日の終値の時価総額は85億円と小ぶり。引け値でのPER117倍だが、2015年12月期の営業利益7400万円、2016年12月期は1億2000万円予想とすでに利益を上げている。
この種の企業の評価は難しいが利益を出しているだけに、今後の成長性の確度は高い。
難題は株価の評価で、ウォール街で利用されるPSR(株価÷1株売上)でみると現在は11倍。

ちなみに2014年に公開されたセキュリティ対策の人気株FFRI(3694)の現在のPSR23倍で一時は100倍以上に買われた。現在の利益水準は似通っている。
シルバーエッグは話題の銘柄になるだろう。



日経新聞に『ひとり気を吐くゲーム株』という見出しで任天堂論が出た。アナリストの目標株価は1万5200円から4万300円と幅が広い。
このような開きが出るのは、この株が今後も2~3年は市場での売買高のリード役になることを示す。
この分析はこれまでのゲームの人気サイクルをベースにしての議論だろう。
決定的に欠けているのは、ゲーム業界はポケモンGoが社会現象を巻き起こしたような新しい革新期入りしたという認識が欠けていることだ。
亡くなった天才的な任天堂の故岩田社長でさえも2年ぐらい前まではこれからゲーム業界が迎える飛躍期を読めず一時は穴の中にこもることもあった。アップルが生み出したゲーム業界に衝撃を与える革命による飛躍は想像を超えるものであった。
年末から任天堂はスマホゲームに本格的に進出し、業績は従来のゲームサイクルから大きく上方にシフトする成長路線にはいるとみる。
前回の人気サイクルは1996年から2008年であった。この間、株価は4,470円から73,200円と16倍になった。日経新聞でもっとも強気のアナリストの4万円を大きく上回る水準である。任天堂にはこのような飛躍のエネルギーがある。

東京・NY市場が反転・・・アマゾン・コムに注目

2016-09-28 05:28:24 | 投資戦略
ニューヨークで恒例の「Delivering Alpha Conference」がCNBCによって開催された。米国の機関投資家、ヘッジファンド、政府関係者などが講演する場だ。世紀の投資家ビル・ミラー、ヘッジファンドのカール・アイカーン、レイ・ダリオ(最大の運用資産会社を運営)、カール・アイカーン、ジヤック・ルー(米財務長官)など豪華なメンバーが集まった。人気が集中したのは世紀の投資家ビル・ミラー(投資銀行レッグ・メイソン)だ。滅多にこの種の催しには顔を出さないが、それだけに参加者はその投資戦略に大きな関心を示した。
ビル・ミラーの具体的な戦略をみてみよう。まずS&P500をロング 10年国債をショートである。
彼は「米国債はS&P500と比較して割高である。金利水準は底値を打った。連銀の次回の利上げは時間の問題である。30年前の1987年9月までさかのぼると(1987年クラシュの1ヵ月前)の10年国債のPERは11倍、S&P500は同15.6倍であった。2016年9月の国債のPERは63.8倍、S&P500は18.5倍である。この収益率をみても株価が国債に比べていか割安かが分かるはずだ。
先行き連銀が利上げをすれば国債の価格は下落する。株式の投資価値は配当利回りと株価の値上がり益を合わせて判断するが、債券は利息だけである。ビル・ミラーは国債と株式の投資価
値を1987年の株式バブル時と現在を比較した。

1987年9月 2016年9月
10年国債 11倍 63.8倍
S&P500 15.6倍 18.5倍
6ヵ月財務証券 15.1倍 222.1倍
株式と同じように国債のPER(国債の時価÷利息)を計算し株式と比較するというビル・ミラー式の基準はユニークであり、説得力がある。
彼は金利について語ったが、米金利は底入れ、今後は正常化に向かうが、ヨーロッパと日本がマイナス金利政策を取る。しかし、これ以上の金利の引き下げには反対する。
以上が相場観で目先の相場の上下変動は気にしない。アマゾン・コム(AMZN)のほか、欧米の銀行株、医薬品について強気見通しを強調した。

昨日のNY株は2日間続落のあと反発した。週末のクリトンとトランプのTV討論後、クリントンが優勢が出たからだ。
また足元の景況感を示す個人消費、サービス業の指標が大きく上昇したことが好感された。
バイオ、ハイテク、銀行株が相場をリードした。先行きには明るさが戻ってきた。

昨日の東京市場も久しぶりにNY株に先行して反騰した。円高基調をはねのけ消費関連、医薬品株が買われた。ウォール街と同じように先行き光りが見える相場であった。

ビル・ミラーの推奨するアマゾン・コムに注目しよう。端株もオンライン取引で売買できる。

欧米の相場も調整いり

2016-09-27 06:15:24 | 投資戦略
NY株は大幅安。
ヨーロッパ株がドイツ銀行問題で大幅安になった。2008年~2009年のリーマンショック時に抵当証券を不正販売したことで米司法省から140億ドル(1兆4000億円)の 罰金を果たされたが、ドイツのメルケル首相は支援を否定したことがきっかけ。
ドイツ銀行は「支援の必要はない」と表明したが株価の下落は止まらず、年初来では50%も急落した。
米国では大統領候補の初のTV討論が行われたが、トランプ候補が優勢で世論調査ではクリントン候補を2ポイント上回った。
ウォール街でも金融株が下げを牽引し銀行株指数が-2.12%、医薬品株が-1.40%になった。
円相場は100.30円と100円割れ寸前の水準で推移した。前日の黒田総裁の講演会には無反応で、先週の日銀の政策内容に不安感を残す。
石油は反騰した。水曜日にアルジェリアでOPEC総会が開かれるが、ロシアが減産の話し合い加わる可能性が出たのを好感した。

東京市場も先週の下落基調から抜け出せない。
年初来の各指数のパフォーマンスをみてみよう。
日経平均-13.1%、第2部-6.8%、ジャスダック-3.6%、マザーズ+5.9%である。
今年の相場は2015年の日経平均+9.0%から反転し波乱を描きながら年初来では-13.1%と弱気相場が続いている。この調子でいくと年間でプラスになるのは難しくマイナスで終わり調整局面の相場になりそうである。
ただ相場の中味をみると第2部は-6.8%、ジャスダックは-3.6%、マザーズは+5.9%と、「スモール・イズ・ビユーテフル」の相場転開である。
外人投資家をはじめ、機関投資家は苦闘したが、個人投資家は大きな傷を残してはいないことになる。トレンドは年内はつづきそうで、投資銘柄もテーマでなく個々の業績を評価する展開が続きそうである。



魔の9月も終幕に来た

2016-09-26 06:05:41 | 投資戦略
日銀政策会合についての議論が先週来、高まり内外での評価は様々である。
日銀の政策手段に妙策が少なくなり、今回の発動された政策については市場でも戸惑いが多い。
典型的な例は円相場で円高トレンドの動きは不変であった。一時は100円を突破し90円台への突入懸念も出たが、なんとか100円台割れを抵抗したのは救いであった。
100円台の攻防は今週の大きな関心事である。
東京市場の不振に比べて救いは先週のNY株の動きであった。
週末は下落したものの週間では3指数ともプラスで終わった。
米国では連銀の緩和姿勢が明確になり第3四半期(7~9月)の企業業績への期待感が高まる。来月には業績発表が始まるが、過去6期間続いた四半期の減益基調が反転するかどうかに関心が移る。
昨年末と先週末の指数の推移は次の通り。
NYダウ平均17,425→18.261ドル(先週末)
S&P500 2,043→2,164(同上)
ナスダック指数5,007→5,305
いずれもプラスで前年末を上回っている。この数値をみる限り現在のNY市場は弱気相場では下値固めをしているといえる。
株価の堅調な業種は公共、通信、消費必需品である。
経験則によると9月は年間で最悪の月だが、向こう1週間で終わる。10月は過去の相場からは光が差す季節にはいる。

最近の東京市場で円相場に関係なく“わが道を往く”のが食品株である。一例をあげると森永製菓(2201)、森永乳業(2264)で年初来、それぞれ+55%、+44%である。同じようなケースがほかの食品株にもみられる。株価をみていると消費の底堅さを暗示している。