足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

相場を再考する

2006-05-31 18:09:17 | 株式

先週の「トリトンスクエア通信」では「相場は目先,底入れ」とした。523日の日経平均15599円のときである。本日は15467円と先週の安値を下回り、新興市場の代表であるマザーズ指数はさらに、先週より-10%となった。

なにか基本的に読み違いをしていたことがあったのか?先週来の相場展開をみながら気になっていたことである。

今週のリチャード・クー(野村総合研究所)の「マンデーミーティング・メモ」を読みながら、ここ2~3ヵ月、頭の中にもやもやしていたことを、リチャード・クー氏がずばり指摘した。

「不均衡問題への警告が株式市場と債券市場の変化を引き起こした?」という問題の提起である。

足元の世界経済に景気減速を示唆するものがないのに、株価が下がるのは政策面での経済の減速につながる出来事が出たのではないかを考える必要がある。それは米国の経常赤字に対してG7IMF4月から5月にかけて強い警告を発し出したことだ。

この指摘は単純明快で説得力がある。さすがはと改めて敬服したい。

そこでのわれわれの関心事は米国の新財務長官のポールソン、米連銀、日銀、ヨーロッパのECBがどういう行動を取るかといことにある。相場のファンダメンタル、テクニカル以上に、政策の動きが世界の株価の動きを左右するようになってきた。


半値になったマザーズ市場

2006-05-30 19:07:37 | 株式

本日の新興市場の特色は昨日の薄商いから反転して売買代金が増加してきたことである。

新興市場の代表であるマザーズ指数はことしの116日の2799.06ポイントから本日までで-49%とほぼ半値になった。おそらく売買代金の増加は底値での見切売りと、値ごろ感からの買いが出てきたのだろう。

ウォール街は日本時間の今夜の取引から今週が始まる。

5月は月初来、NYダウは-0.8%とほぼ横ばい、ナスダックは-4%である。市場のモメンタム・プレィヤーであるヘッジファンドは意外に落着いており先行きに対してはそんなに弱気ではない。

特に目先の相場の動きには無視して中期で戦略を立てるヘッジファンドは余裕を持っている。

「問題は短期で成果を求める運用者には、難しい環境である」と有名なバートン・ビッグスは、今週の米バロンズ誌に語っている。彼は長い間、モルガンスタンレーの看板ストらティジストして、おもに国際投資の分野で活躍してきた。2003年に同僚と一緒に独立し、トラキス・パートナーズというヘッジファンドを設立し、20036月~20064月までに+53.4%(その間のS&P500+43.3%)の成果を上げた。彼の名声で資金は簡単に集まり、現在の運用資産は16億ドル(1800億円)になった。1960年代半ばにもヘッジファンドを運用した経験を持つ。

「当時と比べて現在の市場には効率性が高まっている。したがって短期の市場のゆがみで勝負するのは難しい。しかし中期投資は別だ」という。短期が難しいのはトレィダーの影響力が大きくなったからである。

彼のいう視点で東京の新興市場を考え直したらどうだろうか?ライブドア事件という効率性とは別の次元での材料で暴落した相場である。効率性をかならず取り戻すと思う。


IPO(新規公開)再論

2006-05-29 17:46:43 | 株式

本日IPO(新規公開)予定のエイチアイテクノロジー(3806HC)が「1株当たり当期純利益」の計算に誤りがあったとして公開を取り下げた。昨日の本ブロッグで公開予定としたのを訂正、お詫び申し上げます。

今月は結局、3社だが昨年も4社であり、ゴールデン・ウィークという季節要因が働いた。

6月は24社と急増する。昨年6月も20社を超えた。

新興市場のフアンは「これまでの新興市場の損をとり戻す」と待ちかねている向きも多いだろう。

問題は昨年6月と同じように公開される銘柄が玉石混交であることだ。さまざまなビジネスモデルの銘柄が登場するが、なによりものチェックポイントは「そのビジネスモデルに成長性があるかどうか?」の検討である。この点はなかなか難しい。

私はひとつのスクリーングの方法としてウォール街で人気があるかどうかを検討する。ベンチャー企業を育てることについての先輩国であるからだ。

ついで理論株価を計算する。理論株価は、6月の例ではIPO価格を下回る銘柄も出ている。この点は人気が先走っても、投資には注意しなければならない。

インターネット関連とバイオ関連は、理論株価の方程式は使えないので別の視点から分析する。

6月のIPO銘柄をみて注目したい(価格しだいだが)のは、3分の1ぐらいである。経験の浅い投資家には難しい。最近の新興市場の暴落はIPO価格の計算には全く織り込まれていないことを強調しておきたい。


IPO(新規公開)の季節が来る

2006-05-28 20:52:18 | 株式

今週からIPO(新規公開)が本格化する。

5月はこれまで5月2日の平河ヒューテック(5821・東2)が公開されただけで季節性もあって(例年、連休のある5月は低調)少ない。今月はあと1銘柄がある。

30日(火)の健康コーポレション(2928・札)である。

今月初めの平河ヒューテックは、IPOの少ないこともあって異常な人気がついた。IPO価格1500円に対して2430円に寄り、高値は2450円があったが先週末は1371円であった。現在の投資価値も成長性も抜きにしてIPOということだけで飛びつくという人気は消えていなかった。

6月は久しぶりにIPO数が20銘柄を超える。玉石混交である。

「よくこんな銘柄が公開されるな・・」という銘柄が少なくとも3分の1はある。慎重に対処することである。さし当たり目先は健康コーポレションが札幌市場では久しぶりに注目したい銘柄である。

「トリトンスクエア通信」では、その分析に6月は力を入れる。


日本証券金融

2006-05-27 16:53:25 | 株式

個人投資家の市場への参入がここ3年間の東京市場を大きく変化させてきた。

恩恵を受けたのはオンライン証券会社であるが、このところ手数料の引き下げという競争で先行きの利益成長に懸念が出てきて株価が調整している。そんな中にあって独占的な地位でオンライン取引の活況の恩恵をうけているのが日本証券金融(8511)。

顧客から融資の申し込みを受けたら証券会が仲介して信用取引の融資の申し込みを日本証券金融にする。オンライン取引のうち80%が信用取引といわれるが、その増加をエンジョイできる数少ない存在である。ウォール街にはみられない日本独特のシステムであり、ビジネスである。

2006年3月期は当初の予想を大きく上回った。売り上げ290億円→372億円、経常利益52億円→82億円であった。

2007年の予想は売り上げ390億円、経常利益127億円である。

2006年3月期の1日の売買代金の平均が2兆2500億円であったが、今期に入ってからは確実にその水準を上回っており、株価の下落時でもそんなに減らかった。

会社の見通しは確実に達成できる。

2007年3月期には日銀の利上げが確実で、現在の貸付金利0.60%が+025%上がると年間で20億円の増益要因になる。投資家は金利上昇をヘッジできる。

NY証券取引所、ナスダックがユーロネクスト、ロンドン取引所をめぐって買収戦争にはいっており、証券市場関連の銘柄には新しい価値観で評価しようという人気が出てきた。

村上ファンドが大株主になったし、外人の持ち株も急増してきている。配当は24円(2005年3月期・14円)にした。経営が株主のほうに顔を向けてきた。

短期、中長期でも狙える株である。