足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

2016年の相場に照準・・・・ヘルケアで躍進するヘッジファンド

2015-11-30 05:19:18 | 投資戦略
先週の事実上の4連休(金曜日の取引は午後1時で終わった)から、トレダーもヘッジファンドもデスクに戻る。
年末ショッピング・シーズンの幕開けでブラック・フライディ(全ての小売りが黒字になる金曜日)の模様が話題だが、むしろ投資家の関心事はサイバー・マンディ(Eコマースの活況の日)に関心が向く。インターネット時代に突入し、PCとタブレット端末でのショピングの方に人気が移ったからだ。家庭で暖炉の前でショッピングを楽しむ時代にはいった。

今週末にはいま一つのイベントがある。11月の雇用統計の発表である。事前の予想では11月の27万1000人に引き続き、20万5000人と新規雇用の改善が進行中。
12月中旬の米連銀のFOMCでは2009年以来の金融緩和策に休止符が打たれる可能性が高まってきた。
ゼロ金利からの脱却は金融市場の正常化に向けて足を踏みだすことを意味する。今回のような利上げは経済には、マイナス面だけでなく、多くの金利生活者のとっては所得の増加というプラスの面もある。
目先、市場人気がどのような反応をするかは別として、経済にとっては悪いことでない。
12月入りを控えて投資銀行や証券会社のストラティジスとの2016年の相場見通しの発表がはじまった。

ゴールドマン・サックスは2016年末のS&P500は現在とほぼ同じ水準で終わるとみる。その間の起伏は別にして、金融政策の転換でPER(株価収益率)の上昇(株価の上げ)は期待できないとみる。
またウォール街では超強気で鳴るブライアン・ベルスキィ(BMO)もほぼ同じ見方で、2016年末の株価水準は現在とほぼ同じとみる。両者の見方が一致するのは珍しい。
これらのシナリオ通りに推移すれば、銘柄選択しだいでは大きなチャンスがある。

話は変わるが日本で知名度は低いが、最近、頭角を現してきたヘッジファンドにベイカー・ブラザーズ・アドバイザーズがある。大学では免疫学で博士号を持つ兄と金融証券の専門家の弟が運営するファンドだ。最近、運用資産は1兆円を超えた。いま注目するヘルスケア関連2銘柄が運用の資産の30%を占めるという大胆な戦略で好成績をあげる。(今週の「トリトンスクエア通信」で詳報)
ヘルケア関連投資の新時代を突っ走る。8月以来、大幅に下落した医薬品株で好成績を満喫している。
彼らが注目するテーマの一つが抗体医薬だ。がん治療に新しい流れが出る。
彼らの運用からは東京市場では武田薬品(4502)、中外製薬(4519)が頭に浮かぶ。ほかにも物色銘柄の拡大のチャンスとみる。

ブラック・フライディ・・・オンライン取引に傾斜

2015-11-27 06:11:42 | 投資戦略
木曜日の勤労感謝祭の休日に続いて、本日は午後1時に株式取引が終わった。投資家は4連休をとりクリスマスに備える。
金曜日には1年間、この日に備えて預金したおカネで日頃、温めていた買い物をする習慣が強い。小売り業者が「大安売り」の看板をかかげて顧客を誘い込み、50%以上の安売りをする。いわゆるブラック・フライディ(すべての小売り業者が黒字になる)。
年々、外出しての買い物の習慣は低下傾向で、自宅でPCやスマートフォンでバーゲンセールの画面とにらめっこし、オンライン取引に集中するようになってきた。車の数も昨年比で低下したというデータが出ており、渋滞も少なくなってきた。
アマゾン・コム(AMZN)のオンライン取引が一段の活況で販売高は新記録が見込まれている。
むしろ投資家の関心事は12月初めの米雇用統計(11月)の数字に集中する。引き続き雇用の改善が続けば12月中旬の連銀FOMCで金融政策の転換が行われる。可能性は日増しに強まっている。
差し当たりは0.25%利上げから始まるが、問題はその後の利上げのテンポである。

ゴールドマン・サックスは世間で考えているよりも早いスピードで正常な金利目標に向かっての利上げを見込む。景気回復がコンセンサスよりも好調とみているからだ。
問題は株価の方向性だが、同社では2016年の株価は年間でほぼ横ばいで、1年後のS&P500は現在とは大きな変化はないとみる(昨日は2090ポイント)。
このシナリオは投資家にとっては悪いものではなく、景気の基調が上昇トレンドなので、大きく飛び出る業種も考えられる。輸出よりも内需関連をあげている。
われわれが有望視するヘルスケアは人気の柱の一つになるだろう。

米国の週末はショッピングに集中

2015-11-26 06:10:10 | 投資戦略
今週末の米国は買い物客が繰り出すお祭りシーズンのはじまり。
木曜日は勤労感謝祭、金曜日の株式の引きは午後1時に終了。米国で生活しているとクリスマスが近づいたという気分を味わうことができる。1億3000万人の国民がお祭り気分で、日ごろためたお金をもつて街にくりだす。週末は事実上の4連休である。

12月は米連銀が金融政策を転換する可能性が高まる。グールドマン・サックスは2016年にはさらに4回の利上げが行われ、金融正常化に向かって米国は進む。金利上昇は悪いことばかりでない。年金生活者にはゼロ金利よりも、生活の糧である預金金利の上昇は朗報である。
この日のNY株は堅調。11月の一時の短期的な調整局面から抜け出す気配が出てきた。CNNMomeyの「Fear&Greed」(恐怖&貪欲)指数は1週間前の53から60台に回復し市場に押し目買いの人気が復帰してきた。

東京市場では一時ほどインバウンド需要関連の株価の動きが毎月発表の訪日外人数のデータには反応しなくなった。ことしは場合によれば年間2000万人の大台乗せの可能性もあり、引き続き街には訪日客の姿が目立つ。
ただ関連株には選別買いにはいったことはたしか。
インバウンド需要で脚光を集めた洋菓子の寿スピリッツ(2222)の株価の人気は一段と高まってきたが、足元では全体の売上比率は全体のわずか2.5%だ。ただ増加率が2.6倍で、それが同社の製品の見直し人気に直結し会社の経営に弾みが出てきた。経営陣が目をさまし新しい経営政策に踏み切るきっかけにするかどうかが、銘柄を選ぶ需要な視点である。
この会社は大きく展開する時期に入った感じがする。

年末相場は引き続きヘルスケア関連が主導するだろう。ヘルスケア関連が相場の足を引っ張ってきたウォール街でも人気復活の兆しがある。
東京市場の台風の目は引き続き小野薬品(4528)である。

ヘルスケア株が主導する

2015-11-25 06:22:32 | 投資戦略
25日は勤労感謝の日。
週末の金曜日はクリスマス・ショッピング・シーズンの幕開け。
消費者は安売りの人気商品選びに余念がない。金曜日はブラック・フライディ。日ごろ赤字の小売店も黒字になる。
思えば45年前のブラック・フライディに、人生で初めてニューヨークのマハタンに足を踏み入れ街の騒ぎに驚いたのが昨日のようだ。その時はブラック・フライディなどという知識は頭になく戸惑った。
昨日のNY株は小動き。
10月からの年末相場の第一弾は終わり、12月のサンタクロース・ラリーに向かって相場が突進するかどうか?
ことしは12月の15~16日の米連銀FOMCでの金融政策の転換が濃厚になってきた。金利市場での可能性は70%以上の相場を出しているが、まず引き上げを念頭に置いて投資戦略を立てなければならない。
米国では医薬品会社のM&A(買収)合戦が続く。世界大手企業ファイザー(PFE)が話題のアラガン(AGN)に買収を仕掛けていたが、今週初めに1600億ドル(19兆7000億円)で買収が成立した。
アラガンは昨年、後発企業のアクタビスに買収された企業だ。後発薬で稼いだキャシュフローをテコに新薬開発ですぐれた新薬を連発し急成長した。買収後は被買収企業のアラガンの社名が存続された。アラガンはしわ取り注射薬「ボトックス」で世界的に著名な企業である。アクタビスは後発薬企業をテコに急成長し、ここ10年間、業界の平均を大きく上回る成長を遂げてきた。ジェネリック(後発薬)で稼いだ潤沢な資金をR&D(研究開発)に投じ、バイオ分野でも稼げる製品を育ててきた。この買収劇にはヘッジファンドも加わり大きな利益をあげた。新生アラガンが誕生して間もないのに、業界の王者ファイザーが買収を仕掛けたのには市場は驚いた。それに週末の交渉では買収金額が1日で100億ドル(1兆2000億円)も引き上げられた。
新生アラガンは伝統のあるジェネリック部門をイスラエルの世界的ジェネリック企業テバ・ファーマシューティカルに売却し、パイプライン上にある有望な新薬開発に専念していた。
今回、ファイザーを動かした最大の理由のひとつは節税である。アラガンの本社はアイルランドのダブリンにあり税金が米国よりはるかに低く、新会社には大きな節税効果が生まれる。
米国のヘルケア企業は成長で蓄積したキャシュフローをテコにして、新薬の開発に資金を振り向け次ぎなる成長を図る。これまでからこの種の事例は多くみられたが今回のような大物に標的を絞り短期間にまとめたのは珍しい。先行きウォール街ではヘルスケア人気の復活が始まるだろう。株価の低迷は余力のある企業にはM&Aのチャンスである。

東京市場では日本調剤(3341)をヘルケア関連の新しいスターとして注目したい。もともと調剤薬局チエーン企業だが、後発医薬品の製造に進出するという珍しいビジネスモデルを作り上げ、最近は200億円以上を投じてジェネリック医薬品の製造工場を建設中。小売販売が製造に乗り出すという珍しいケースで株価はこの点を評価し、大幅に上昇しているが、第2の新しい成長ステージにはいった。ヘルケア関連の台風の目になるだろう。

昨日、自社株の放出を決めたがそれに反応して弱含むところは狙い場である。
                

医薬品業界の躍進つづく

2015-11-24 06:34:44 | 投資戦略
NY株は小幅安。年末高に備えてここは一服したいところ。
今週の大きな話題はウォール街での医薬品業界の超大型買収である。
世界最大の医薬品会社ファイザー(PFE)が、成長企業アラガン(AGN)を1500億ドル(18兆円)以上で買収する。ついこの間、ヘッジファンドの間で話題を集めた企業が、M&Aの俎上に上がった。
ファイザーはバイアグラ(勃起不全)で有名な企業で大きな収益源をもつ。またアラガン(AGN)は一時、買収合戦でウォール街を騒がせた成長株。
今回の買収金額は1500億ドル~1600億ドル(18兆円~19兆5000億円)といわれる。現在のファイザーの時価総額は23兆5900億円なので、超大型の医薬品会社が誕生する。ちなみに東京市場で最大の時価総額の武田薬品(4502)は4兆8900億円で、これからしても今回の合併がいかに大きなものでるかがわかる。
ここ数年、ウォール街でヘルスケア業界のM&Aが間断なく起こっている。
バイオ技術の急展開でこれまで不治の病とされてきたがん治療が急速に進歩した。
大型薬品だけでなく患者数が少ない難病の希少性疾病にも光が当たってきた。それに先進国では急速に老齢化が進み医薬品の需要が爆発的に増加している。おかげで大手企業の影にかくれていいた、製薬企業の株価が数年で10倍になるというケースが散見される。このトレンドは、これからも一段と拡大しながら続いていくことになるだろう。
東京市場でもここ1年を振り返ると医薬品株の株価水準が大きく上方にシフトした。このトレンドは新年にも引き継がれていくだろう。ヘルケア業界は投資家にとっては、大きなチャンスを提供してくれる。