足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

2006年のNY株をみての投資戦略

2006-12-30 14:17:17 | 株式

昨日のニューヨーク株は続落した。特に引け30分前から下落した。1月2日はフォード元大統領の喪に服して休日になるので、4連休になる。取引所が4連休になるのは珍しく、トレーダーも手持ち玉をしたくないという配慮もあり出来高も大きく減った。

2006年はダウ平均+16.4%、S&P500+13.5%、ナスダック+9.5%であった。ダウ平均は2005年がマイナスであったので、その反動高もみられ一番パフォーマンスがよかった。

ダウ銘柄の値上がり・ベスト5はGM+57.7%,AT&T+45.0%、ヒューレット・パッカード+44.5%、ウォルト・ディズニー+44.0%、エクソン+37.7%と、エクソン以外は意外性があった。企業再生期待と合理化の成功した銘柄である。これは株式投資の永遠のテーマだ。

一方、S&P500のベスト5はアルヘニー・テクノロジー(ATI・鉄鋼、金属チタン関連)+153.9%、テレックス(TEX・自動車、医療機器、宇宙関連)+120.4%、Nビディア(NVDA・画像処理の半導体)+103.7%、オフイス・マックス(OMX・事務用機器の販売)+97.1%、ビッグ・ロッツ(BIG・トップブランド商品の廉価販売)+93.5%であった。アルヘニーは相変わらず人気が強い。

S&P500の業種別では通信+31.7%、エネルギー+23.4%、消費関連+17.7%、公共+17.1%、金融+16.9%、素材+16.4%、生活必需品+12.3%、製造業+11.6、IT関連+7.9%、ヘルスケァー+6.1%であった。

これらの動きをみて2007年を見通すなら、2007年はナスダックのキャッチアップと、ハイテク、製造業の浮上が見込まれるのではないか。

東京市場の有望株をみる参考にしたいと思う。

(お断り)トリトン・ブロッグは3日まで休みます。なお「トリトンスクエア通信」は1月5日(金)に臨時号を予定しています。


元気がでてきた東京市場・・・今月はウオール街よりよかった

2006-12-29 18:42:31 | 株式

2006年の相場も終わった。

東京市場がNY株に大きく出遅れた。「昨年、大きくアウトパフォームしたのだから当然」という理由づけもできるが、それだけの理由で片付けてしまうのには満足できない。日銀が金融政策の変更を検討するような日本経済になった。資産バブル崩壊の最大のガンであった金融システム不安も払拭され、企業業績は5年連続の増益、景気は戦後最長の上昇を記録した。

問題は2001年のエンロン問題に匹敵する粉飾決算であるライブドア問題と村上ファンドという、かっての仕手集団の行動に近いような投機の破綻が、相場のセンチメントを大きく悪化させた。2003年以来の上昇相場の主役であった個人投資家の株価形成における影響力の分析が、専門家の間で十分でなかった。外人投資家や機関投資家の行動につてはかなり精緻な分析は行われているが、オンライン取引の分析にはあまり関心が払われなかった。

東京市場がNY株に大きく負けたのは個人投資家のセンチメントが左右したとみる。

そのセンチメントも12月にはいってから好転の兆しがみられる。今月は日経平均の上昇率はNYダウの2倍であることをみてもわかる。

日本でも個人投資家のセンチメントを計量化する動きが始まったがまだまだ、ウォール街で利用されている指標に比べて質の低いものであり信頼性に欠ける。外人投資家からみれば東京市場の株価形成は欧米に比べて効率性に欠ける。

私なりの指標を実験中だが、その中味は別として最近は個人投資家のセンチメントの回復に手応えを感じる。

新年の銘柄としてミツミ電機(6767)に注目。昨日、発表された11月の鉱工業生産指数でも電子部品・デバイスの出荷が目立った。


亥(いのしし)年の相場

2006-12-28 16:22:18 | 株式

2007年は「亥(いのしし)の年」である。

十二支と相場の関係はテクニカル・アナリストにとっては格好の相場分析の素材である。相場には人気の循環が無視できないだけに、これまでの「亥の年」がどのような相場の動きをしたかをみてみよう。

戦後は4回、経験した。1959年(昭和34年)、1971年(昭和46年)、1983年(昭和58年)、1995年(平成7年)である。

一番、近いところからみていこう。

1995年は資産バブル崩壊相場の過程にあった。この年の大きな出来事は円相場が79円をつけたこと。7月に日米独の3国の足並みが珍しく揃い、ドル安対策のために市場介入した。それをきっかけに株価は底入れし上昇相場にはいつた。

1983年は、10年余にわたるNY株の低迷が前年に大底入れになり80年代のスーパー・ブルサイクルの出発点になった。もちろん東京市場もこの影響を受け上昇した。

1971年は8月にニクソン・ショックが発生、円相場がその後、大きく上昇するきっかけになった。当時の日本は現在の中国と似ており、世界経済で、もつとも注目される成長国であった。日本は円高ショックを跳ね除け、グローバル化の第1歩を踏み出した。株価は通念を打ち破り、大きく上昇した。

1959年は岩戸景気の2~3合目で前年に株価が底入れした。その後は戦後最大の大相場の一つを形成した。

このようにみていくと共通していえることは「株価は高かった」ということである。

私の「10年フタ相場仮説」からすると、中期の上げ相場サイクルの中盤(1959年、1971年、1983年)か長期上昇相場の始まり(1995年)のいずれかに当たる。

さて2007年はどちらか?

経験則では中期サイクルの中盤に当たるのではないか。

大和総研の資料によると「40敗」で、年間のパフォーマンスは最善の年である。

ファンダメンタルからしても経験則どおりの相場展開の可能性が高い。


NY市場からみる銘柄戦略

2006-12-27 19:05:25 | 株式

余すところあと2日間になった。

年内のことよりも新年のことを考えるときにきた。

2003年に始まった世界的な株高現象は、5年目に引き継がれる。今年のニューヨーク株は3つの角度の高い経験則を破った。

まず「中間選挙の年は株安」ということ。1年前のウォール街のストラティジストはこの種の経験則は問題にせず、企業業績と金利に関心をもった。業績は4半期連続でフタ桁増益になった。1当たり利益は上昇したが、PER(株価収益率)は上がらなかった。その種の発想が当たった。

いまひとつの確度の高い「5月に売って11月に買い戻す」という戦法が効かなかった。5月はじめには天井になり7月まで下げたが、その後は秋にかけて大幅上昇しダウ平均は12000ドル台に乗せた。多くの機関投資家が市場平均に出遅れたのは夏場の弱気をそのまま続けたからである。

最後に「ハイテクやインターネットは第4四半期に動く」という経験則である。これもみごとに外れてしまった。年間を通してハイテク株は市場平均に比べて遅れた。

このような経験則が外れたおおきな理由は世界的な過剰流動性で、特に企業の手元流動性の豊かなことである。世界のM&A400兆円を超えた。この流れは相場のテクニカルな分析とはぶつかり合う。目的は企業成長であり、割安な資産を求めての資金の流れである。アナリストの価値分析を超えた経営者の企業家精神の活発化から出たものである。

2007年の有望株をみつけるのには、今年の失敗から出発しなければならない。

キーワードを絞るなら国際商品市況関連、M&A、ハイテクである。新年の有望株の発掘のヒントにしたい。


取り残された東京市場・・・反動に期待

2006-12-26 17:41:10 | 株式

東京市場+6.5%、ベトナム+154%、上海+102%、インドネシア+42%、香港+29%、NYダウ+15%。先週までの各国の今年のパフォーマンスである。

東京で運用するあるヘッジファンドは11月までに2.7倍にしたところもある。このファンドは小型ファンドならいざ知らず運用資産は私の推定では2000億円超の規模だ。

今年は米国の運用者でも市場平均を上回るのが難しく、大半がベンチマークのS&P500を下回った(同指数は先週末まで+13%)。

20世紀が生んだ偉大な3大投資家のビル・ミラーも市場平均を下回った。15年間にわたって市場平均を上回るという輝かしい記録をつくってきたが、記録更新はならなかった。多くの機関投資家は「ビル・ミラーでさえ市場平均を下回るのだから・・・」と、今年の相場環境の難しさを語っている。

「日本株は2005年の途方もない上昇相場に続いて、ことしの景気の回復、デフレ終焉を見込んで大相場を期待した。投資家は金利の低い円資金を調達した。

しかしライブドアの不始末とアクティビストの村上事件で小型株が暴落した」(25日付・バロンズ誌)

東京市場が不振であった大きな理由は大幅な上昇の反動と、国内のスキャンダル問題にあるとしている。日本経済のファンダメンタルとは別次元の問題である。

そして「アジアではもっとも忘れられた市場であった」と専門家の意見を紹介している。

世界の株式市場が新年も上昇を続けるならば、東京市場も再び陽の目をみる可能性を指摘する向きも出てきている。

先週来のIPO(新規公開)市場でもインターネット関連に人気が出てきた。ユニークなビジネス・モデルの銘柄が登場してきている。新年の動きを先取りしているとみる。