足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

ペーパー・アセットとハード・アセット・・なにを相場は語っているのか?

2005-03-31 20:38:07 | 株式
1970年代のウォール街で流行した資産の分類にペーパー・アセットとハード(硬い)・アセットという言葉があった。
前者は株式、債券など。後者は不動産、金、美術品などである。インフレ時代にはハード・アセットへの投資が有利。
日本は13年におよぶ資産バブルの崩壊で、ハード・アセット離れをしてきたが、最近、ウォール街ではハード・アセットにウエイトを置いた資産運用がいわれるようになってきた。久しぶりのことで、私には懐かしい。
本日の相場は騰落指数が900%を越えた。業種別の値上がりベスト・テンのなかに鉄鋼、海運、鉱業、石油、証券、非鉄と市況産業が6業種もはいった。いまの日本でインフレの話をしても、ピンとこないが、株式市場をみていると明らかにハード・アセットを選好するような動きが出てきているのは、なにをわれわれに語りかけているのだろうか?
株価が先走り過ぎといってしまえばそれまでだが、ウォール街での機関投資家の運用者のパフォーマンスの差は、インフレに賭けるるかどうかで、今年に入ってから大きな差が出てきているのにはは注目したい。
そしていま一つの人気の流れは新興市場の銘柄である。
新興市場への投資はIPO(新規公開)への「早乗り、早降り」か、第2のヤフー探しか、それとも両方か、自分の得意分野を選ぶ。
ただヘッジファンドから学んできた「間違ったと思ったら手を引く」という鉄則を実行してもらいたい。
4月のIPOにも楽しみな銘柄が多い。


ヤフーは1株が2048株になった・・・ビル・ミラーとアベルソン

2005-03-30 18:03:15 | 株式
以前の本欄でも21世紀の生んだ最大の投資家の一人といわれるビル・ミラーのことはご紹介した。彼はウォーレン・バフェット、ピーター・リンチと並び称せられる。ピーターリンチは10年も前に引退したので、20世紀の遺産として残るは2人。共に現職で活躍している。
バフェットとミル・ミラーには好対照的なところがある。バフェットはビル・ゲイツ(マイクロソフトの創業者)とは大の親友だが、ハイテク株やインターネット株には絶対に手を出さない。
ビル・ミラーは全天候型の運用だ。ハイテクもネット株にも手をだす。ITバブル崩壊後、アマゾン・コムを大量に買った。
それを米バロンズ誌の有名な編集主幹のアラン・アベルソンが批判した。それに応えて、このように書いた。
「アベルソンは国宝級のジャーナリストだ。年齢からしてもお墓へ行く年代でもないので、もっと生きていてほしい。しかし私はアベルソンが攻撃するアマゾン・コムを買い続け大株主になった。転換社債にも投資したことを告白する」と語ったのは有名な話だ。
アベルソンは辛口の評論で世界の投資家に毎週、読まれている。アマゾン・コムに対する攻撃は激しかった。「消えるのは時間の問題」というような論調がバロンズ誌には再三に載ったが、ビル・ミラーは買い続けた。そして2003年のネット株復活で大儲けした。世間の風評、批判には耳を傾けず、自分の信じるところを貫徹する。
投資の成功にはフレキシビリティー(柔軟性)が必要といわれるが、ときとしてビル・ミラーのような行動も必要なのか。
1997年に公開された日本のヤフーは、そのときの1株がその後の分割の繰り返しで今日は2048株になった。
そんな夢はどこに求めることができるのか?
相場の軟調期こそチャンスと思うが・・・


新興市場の温度は低下してきた

2005-03-29 17:33:01 | 株式
昨年、マザーズ指数が11月1日に1394ポイントで底入れしたとき、1日の売買代金が130億円と低迷した。逆に今年の同市場の人気の絶頂は1月19日で1日の売買代金が1100億円を超え、ジャスダック市場を上回った。新興市場としては人気があるのはマザーズである。ただ歴史が新しい(1999年12月発足)だけに、相場の温度をみるのは、指数では難しい。上下への反動が激しく罫線とか、ほかのテクニカル指標はいまのところ、利用できないだろう。したがって売買代金で、相場の温度をみることにしている。
最近は売買代金が200億円台の日も出てきた。「陰の極」というには早過ぎるが、市場人気はごく一握りの銘柄を除いては、悲観人気に傾いてきている。
この日は昨年12月に公開されたタカラバイオ(4974・マ)が、3月期の見通しを減額修正してバイオ株の足をひっぱった。ついこの間までは、新興市場の人気株であったのに。
バイオ株の評価は難しい。本日、名証セントレックスにIPO(新規公開)されたエフェクター細胞研究所は、終日、売買が成立しなかった。IPOの初値がつくのに2日も3日もかかるのとは全く逆のケースだ。
新興市場がこれからの日本の再生を担うことを期待しているのだが、ウォール街のようにいつになれば合理的な株価形成が行われるようになるのだろうか?


NY株は目先き売られすぎという見方も

2005-03-28 18:51:19 | 株式
今日の相場の中味は、日経平均の上昇のわりには「一体なにが高かったのか?」と首をかしげさせるものであった。
円安を反映してハイテク、そして銀行株の上昇がが日経平均を支えた。
今週はいよいよ第1四半期の最終の週である。やはり気になるのは先週来のウォール街のインフレ懸念である。連銀FOMC後
これほど明確に金融市場がFFレートの引き上げに反応したのは初めてであった。インフレ懸念をはっきりと意識し始めた。
ただ今週の米バロンズ誌によると、NY株は短期的には弱気筋が増え、もう少しこの状況が続けば「4月相場には期待できる」というネッド・デービスの見方を紹介している。これまでの市場のデータを新しい視点から加工して、相場の現状を分析する。テクニカル・アナリストはこれまでの経験則から分析するが、ネッド・デービスの魅力は、いあままであまり使われなかった経験則を活用する。そのためにコンピュータを駆使して様々なデータ加工をする。
彼は「相場は3月7日にS&P500が3年半ぶりの高値をつけた後、4.4%下落したが、反騰の時期が季節性もあって4月にはくる」とみる。
彼自身、トレーディングをする実践家である。実績に裏付けられているだけに、その見通しには信頼する人も多い。
具体的に根拠を挙げていないので、インベスター・センチメント指数をみてみた。ニュースレターを出すプロの強気の見方は3週間前の65%から46%まで低下した。
個人投資家の強気は同期間49.7%から23.2%に低下、弱気の指数が24.8%から41.9%と大きく上昇した。
逆張りの発想からは、ネッド・デービスの言うことが裏付けられている。


日米の株価の差は本物か?

2005-03-27 18:44:56 | 株式
トリトンスクエアの川淵の桜並木のつぼみが膨らみ、一部は開花した。4月いっぱいは楽しめるように、時間差をおいて開花する。いちど観桜に来られたら。桜だけではない。春は様々な草木の花が開く。
株式相場もそうあって欲しいが・・・
年初来の日米の株価を比較してみると、
S&P500=-3.3%、ダウ平均=-3.2%、ナスダック=-8.5%、長期金利(10年国債)=4.23%→4.6%
日経平均=+2.3%、第2部=+22.0%、日経ジャスダゥク=+13.3%、長期金利(同上)=1.431%→1.365%
ここに並べた数字をみると、相場の流れに日米の間に違いが出てきているのがわかる。
日本の株価が好調、特に第2部、新興市場の上昇が目立つ。
いま一つは金利だ。米国ははっきりと上昇してきた。昨年6月の利上げの開始以来、長期金利がなかなか反転しなかった。
グリーンスパン議長をいらいらさせたが、ようやく政策の意図を市場が汲み取り始めた。日本はデフレ脱却が数字に現れず、それまでは金融政策を変えないという日銀のメセージを汲み取っている。日米の株価のパフォーマンスの差は、ようやく株価形成に合理性が反映されようとしているのか?
今週は金曜日に米国では雇用統計の発表がある。予想は22万5000人増だ(2月=26万2000人)。予想を上回ることを市場は警戒し始めた。久しぶりのことである。インフレ警戒に軸足をはっきり踏み入れた。パラダイムの転換である。
トリトンスクエア通信の3月16日号でオプト(2389・JQ)を取り上げた。金曜日は久しぶりのストップ高。これかでも遅くない。
3ヵ年の中期経営計画(2005~2007年)では売り上げ2倍、営業利益3.9倍と発表した。昨年2月公開以来の予想と実績発表の数値を見ていると、経営陣の見通しに対する信頼は高い。第2のミニ・ヤフーになるかもしれない。ことし1年間、持つつもりで投資をする。