足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

株価がディスカウント・メカニズムを発揮

2011-03-31 07:57:02 | 株式

NY株は週末に出る3月の雇用統計への期待感が強まり続伸した。

週小型株指数のラッセル2000200710月来の高値である。

懸念した中東情勢、日本の震災というこれまでの懸念材料もこの日は消えてしまった。

根底にあるのは先行きの景気の好調な回復である。

中国で第2位のネット・ブラウイザー株がウォール街で公開され人気を呼んだ。

Qihoo360 technology(QIHU)である。IPO価格の$14.50に対して$27で始まり$33.40で終わった。相変わらず中国のネット株人気は強い。3億人のネット人口で世界トップにあり、普及率はこれからも急上昇を続ける。

海外のメディアでは日本の震災のニュースも減ってきた。株価には世の中のできごとを織り込むディスカウント・メカニズムがあるが、震災は懸念材料としては織込んだ。

ロバート・フェルドマン(モルガンスタンレーのエコノミスト)が日本政府は40兆円の思い切った支出を提案している。投資を出し惜しめば日本は失われた30年を経験しなければならないと警告する。

NY株をはじめ世界の株価に助けられ東京市場も落ち着いてきた。

目先はブラザー工業(6448)に注目したい。


相場は災害の影響を悲観し過ぎ・・・レッグメイソンの分析

2011-03-30 08:00:30 | 株式

NY株は堅調で、S&P5001319.4450日移動平均(1306.11)を上回って引けたことに安心感が出てきた。

材料としてはカンファレンス・ボードの消費者信頼指数(3月)が事前の予想62.2ほど落ち込まず63.4であったことも好感した。

日本の災害、リベア紛争で消費者マインドが冷え込むことを気にしていたが、数字をみた市場はひと安心。

そういえば本日のウォール街関連のメデイアの見出しからは日本の災害の文字が消えているケースが多かった。

投資銀行レッグメイソンは「日本の危機につて」のレポートを先週末にまとめた。

「今回の悲劇は2つの視点で分析しなければならない。まず地震/津波であるが、これはいままでの歴史的な先例をもとに分析できる。しかし問題は原発の事故で、被害の拡大については推定が難しい。相場には先行きを読むメカニズムがあり問題の展開については価格が時の経過とともに織り込んでいく。現時点では日本の悲劇が及ぼす、日本経済、世界経済、株式相場への影響を過大評価している」。

明快な結論である。かなり科学的な資料からユニークな分析を行っている。

さすがは20世紀が生んだ偉大な投資家ビル・ミラーを育てた投資銀行である。

われわれもその見方を参考にして戦略を立てたい。


米ネットフリックスに注目・・・日本ではどこが追随するか?

2011-03-29 07:58:34 | 株式

ウォール街ではネットフリックス(NFLX)の株価が下値を着実に切り上げている。もともと郵送によるDVDのビデオの貸し出しのビジネスモデルで成功した企業であるが、ここへきてビデオをオンライン上でダウンロードするビジネスが定着し、業績の伸びが一段と加速してきた。株価はここ3年間で6倍以上に上昇した。リーマンショックの影響もほとんど受けなかった。最近は過去のテレビの番組のダウンロードもビジネスに加わり業績に寄与し始めた。

株価は一方通行の上昇で、これまでヘッジファンドや個人投資家のショート(空売り)が積み上がりウォール街でも珍しい仕手株人気で注目されてきた。

業績はサプライズ決算が続き、決算発表後にはショートカバーが入り株価の人気を盛り上げてきた。

3月中旬にはゴールドマン・サックスが目標値を$210から$300に引き上げた。

それに追随して目標値を引き揚げるほかの証券会社のアナリストがふえてきた。

ウォール街のハイテク株の代表株はアップル(AAPL)であるが、過去3年間の株価の上昇率は2.5倍で、ネットフリックスのパフォーマンスには及ばない。

東京市場でも米国で成功したビジネスモデルが、時間の遅れはあっても必ず出現するが、いまのところネットフリックスのような株は出現していない。

どこが先陣を切って成功するか?

インターネット業界での成長分野の一つである。


腰の据わった外人買い

2011-03-28 07:59:06 | 株式

今月の世界の投資家の最大の関心事は中東問題と東日本大震災である。

中東問題は週末の中東地区の株価をみるかぎり、好転の方向に向かい始めた。ドバイの株価がここ1ヵ月来の高値になり、2ヵ月ぶりに再開したエジプト株が安定化の方向に進んでいる。リベアでの戦況が再び反政府勢力に有利に進んできたことも好感されている。

日本株は外人投資家の出動でここ2週間は大幅な反騰になった。背景には株価が世界でも最も割安になったというボトムアップ分析の視点からの買いがはいった。単なる人気要因だけでないところに注目される。

今週末には3月の米国の雇用統計の発表がある。2月に続いて好調な数字が期待できる。それに4月には第1四半期の好調な決算発表も控える。

NY株の人気が東京市場を左右するメカニズムがすっかり定着しているだけに、ヘッジファンド、年金という大型の資金が流入を続けていることには注目したい。

米国経済がリーマンショックから本格的な立ち直りの道筋にはいっただけに、日本には幸いであった。

週末にはヨーロッパ、日曜日には米国で任天堂の3DSが発売になった。米国では1週間前からニューヨークのベストバイの旗艦店に並ぶフアンが出て話題を巻き起こしている。

評価にはネット上では様々な記事が流れており、関心はソーシャルゲームとの戦いにある。たまたま週末、iPad2が発売されたのと重なったのも象徴的であった。

米国での3DSの販売価格は$250であるが、UBMTechInsights3DSの現物を分解して試算したところによると$101という数字が出た。

携帯ゲームとしては据え置き型並みの価格設定になったが、この数字が信頼できるなら任天堂への大きな利益の寄与になる。

それにしても海外の調査機関の分析力には頭が下がる。


VIX(恐怖)指数が急低下・・・世界の株価は連騰

2011-03-26 09:09:16 | 株式

ウォール街ではVIX(恐怖)指数が急低下した。

先週前半には日本の地震・津波の災害と原子力発電所の事故で先行きに不安感が拡大し、一時は30台まで急騰したが、昨日は17になった。

特に気にしていたのは福島原子力発電所の放射性物質漏れの拡散であるが、大きな問題に発展しなかったことが安心材料になった。

世界45ヵ国の株価指数のMSCI All-Country World indexが、ここ7日間の連騰。昨年11月以来のことである。中東動乱、日本の災害、NY株の過熱という3つの材料が重なった3月相場も、落ち着きの方向を取り戻し、前向きの方向に投資家の視点が向いてきた。

4月には第1四半期の決算発表が始まる。今週はオラクルの好決算がハイテク株買い人気につながった。

今回の世界の株価の下落時にも、着実に下値を切り上げてきた市場がある。ロシア株である。昨日も新高値を記録した。

資源関連の銘柄が多いうえに、このところ経済は成長路線を走り外貨準備高も中国、日本の後を追いかけるようになってきた。1998年のロシア危機で国家が破綻のふちに追い込まれたのは、つい先日のように思うが10年余で大きく変貌した。

世界の経済構造は猛烈なスピードで変化している。

今週初めにアジア諸国を巡る旅に出たウォーレン・バフェットは震災の日本を素通りしたが、昨日はインドに滞在した。帰国後、どんな新しい発想を投資に生かすか?

われわれも新興市場に再び目を向けるときが来たように思う。