ウォーレン・バフェットが過去50年間の投資運用で稼いだ資金は880億ドル(9兆円)になった。1950年代に1万ドルであった原資が88万倍に膨れ上がるという、ウォール街では異例の天文学的な成果を上げた。
稼いだ資金のうち慈善事業に370億ドルを寄付した。富豪のこの種の資金が米経済社会の構造のなかには組み込まれ、資金の回転が国家の繁栄に大きく貢献してきたことは、他の国にはみられない現象である。
最近の株式投資をみると新しい銘柄ではスノウフレイク(SNOW)が注目される。
バフェットが選んだのではなく、ここ数年の間でバフェットの後継者として加わり、その力量が明確になってきたトッド・コームズとテッド・ウイシュラーの選択銘柄である。
時代の流れに乗じて成長を続けるインターネット関連クラウド・ビジネスの成長企業である。いままでは利益が出ていなかったが、2012年には黒字になった。
予想PERは76倍である。バフェットのこれまでの銘柄選択では考えられない高いPERだが、売り上げの成長は89%増で、クラウド関連業界のなかでは大きな成長が期待される。差し当たりは先行きの大幅な利益の上昇を買った。
同じようにブラジルを営業基盤とするストーンCoにも投資したが最近のコロナウイルス問題を背景に成長が見込まれる。成長分野のフィンテックのビジネスの先端を走る企業である。先行きの成長の見通しに賭けたが、これまでのバフェット流の銘柄選択では投資対象としては考えられない企業である。
またリバティ・ラテンアメリカは通信、光回線分野での成長企業で本年は19%増の売り上げを目指す。コロナウイルス問題で成長が期待できる新興企業である。モバイル通信が成長の原動力の企業である。やはり先行きの利益成長に注目する投資だが、これまでのバフェット流の銘柄の選択ではない。足元の数字より成長の将来性に力点を置いた。
バフェットが長年にわたって積み上げた資産が、後継者2人の選択で、新しい資金運用が回転をはじめた。市場がそれをどのように受け止めるかは、これまでバフェットを信頼して投資してきた投資家の資金が、バフェット並みの投資成果をあげるかどうかに掛かっている。バフェットというウォール街でも希有な天才的投資家が、後継者を綿密に選択しただけに、2人の銘柄選択には信頼感をもっていることは確かである。さすがに人材の豊富なウォール街だけにバフェットの後継者として信頼感を高めていくだろう。
第2のバフェットの誕生に期待したい。