金曜日のウォール街をみて感じるのは引けにかけて相場が大きく戻したことである。単なるウィンドウ・ドレッシング以上のセンチメントが相場に内在していた。
それはVIX(恐怖指数・Volatilety Index)が引け直前から大きく下落して30を割り込み28.92と安値をつけたことだ。先行きの不安感が大きく解消した。
この指数はシカゴ・オプション取引所で売買されている指数で相場の先行きのセンチメントを暗示する。相場の先行きに不安感が強いと指数は上がる。昨年10月の金融不安がクライマックス局面になったときは90になった。リーマンブラザーズ破綻(9月)に次いで世界最大の保険会社AIGに政府の資金が注入されたときだ。
最近は5月19日には、30を割れ28になったが、ここ10日間のNY株のもたつきで30台に戻っていた。
木曜日にはオプション専門の証券会社がトレーダー100社を対象にアンケートをとり、VIX指数の先行きの見通しを調査した。74%が目先、40に逆戻りすると回答した。
わずか26%が20まで下落するとみていた。
今回のNY株は3月に底入れして2ヵ月余で+30%以上も上昇した。スピードが速く、ヘッジファンドなどはショートカバー(空売りの買戻し)をするのが精一杯で、現在は、ほとんどがポジションの低いままである。4月以降のパーフォーマンスも期待はづれである。
この当りの事情をVIX指数は反映して「相場は過熱していない」ということを暗示している。過熱の域に達したときはVIXが20になったときかもしれない。
相場の目先を読む上で注目したい。