足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

2011年末には円相場は90円になる・・・米エコノミストの見通し

2010-12-31 08:55:03 | 株式

ヘッジファンドの運用者が編んだ金言集から。

「人間には不確実性を無視してものごとを考える習性がある。イラクに大量破壊兵器があると信じたら、その可能性は60%であるとはだれも考えない。

有望銘柄と判断したら儲かるチャンスは100%と判断してしまう。

魅力のない株と判断したら、損する可能性は100%と判断する。

有望銘柄は割高だし、魅力のない株は売られ過ぎだ。

バリュー投資家はこのことは十分に理解している」

(ブルース・グリーンワールド/ファースト・イーグル・ファンド)

東京市場の2010年は終わった。

日経平均は-4.0%、日経ジャスダックは+6.0%、マザーズは+4.0%であった。

米バロンズ誌が先週までのアジア株のドルベースでの変動を掲載している。日本-1.9%、オーストラリア+9.2%、上海-12%、マレーシア+31%、タイ+54%、インドネシア+50%、フイリピン+41%。

アジアでもモンゴル+177%、スリランカ+96%。

米国での金融の量的緩和の影響が新興市場の株価と景気に大きな影響を与えた。

皮肉にも中国が東京市場と手を取り合って下落した。それぞれ固有の問題があるが、共通項は通貨高である。

2011年の株価をみるカギの一つは為替問題である。

本年の対ドルでの世界の通貨の上昇率トップは円で+14.1%。

ブルンバーグが36人のエコノミストの為替相場の見通しを調べたところ、円相場の2011年末の平均値は90円であった。予想通りになれば、2011年の日本株はアジアでは目立つ存在になるだろう。


資金がドル離れ・・・NY株が堅調

2010-12-30 09:38:31 | 株式

“この世界(投資ビジネス)では高度な才能は必要がない。感情の安定が重要だ。熟考したのちは、他人がどう考えようと、事実に従い、自分の結論に従うことである”

(ォーレン・バフェット)

なかなか含蓄のある金言である。

このことばを肝に銘じるのは、天才的なヘッジファンドの運用者の自己反省である。金言集を編集しながら、先行きの投資を考える。ことしの失敗を、バフェットのことばを借りながら編集者は反省している。

2011年の一段の飛躍を胸に秘めていると思う。

昨日のウォール街ではドルが下落した。資金が新興市場や金などの資産に向かった。

円相場だけでなく、ドル以外の通貨が上昇した。

円相場に関しては野田財務相の「注意深く見守っている」ということばに注目は集まっている。

今月はNYダウが+5.0%、日経平均+2.5%。

米国株の強さが際立っている。

新年の世界の株価を象徴している。


日経平均4万円説

2010-12-29 08:16:00 | 株式

下の文章は昨日につづいて「金言集」からの引用である。

“日本の現状は、まるで灯油で取り囲まれたような国だ。

国がなすべきことはマッチに火をつけることである。円相場が外的ショックで80円を超えるようなことがあれば、膨大な政府負債をさらに膨らませてインフレ政策をとる。いままで貯蓄してきた民間のお金がパニックを起こし、日経平均は4万円に戻る。世紀の投機になるだろう“

(スティブン・ドロシー「神の見えざる手:ヘッジファンドのオフレコ」

米国でヘッジファンド分析や世界経済を投資の視点から調査・研究するドロブニー・アソシエィツのドロブニーの言葉である。

日本経済が抱えている深刻な問題の解決の手段を端的に指摘している。このような発想をする政治家やエコノミストが、いまの日本に不在であることが、日本の悲劇である。

戦後の池田首相の所得倍増計画や田中首相の日本列島改造計画のようなグランドデザインを立案して、国民に大きな夢を与えることが喫緊の課題であるのに、だれもこの金言集のような発想を口にしない。

ヘッジファンドは日本株が捨てたものではないことを見抜いている。

話は替わるが、先に「トリトンスクエア通信」で注目した米国のIPO(新規公開)銘柄「E-Commerce China Dangdang(DAND)」に、ウォール街でも注目が集まってきた。2000年に設立されたベンチャー企業でアマゾンの中国版。第3四半期の売上は3倍、利益は+59%であった。成長に加速がかかってきた。いまの東京市場にはみられない株である。


人生で最大のチャンス・・・ビル・ミラー

2010-12-28 07:39:07 | 株式

クリスマスには例年通り、ヘッジファンドのデビッド・グリーンスパン(ブルーリッジ)から金言集(Wit and Wisdom)が送られてきた。ヘッジファンドの世界ではもっとも注目されている運用者の一人である。

手のひらにはいる小冊子であるが、おもに投資に関しての有名人の金言(今年は47)を集めた。なかにはビル・ゲーツも含まれており、人生に関しての言葉も含まれている。毎年、登場するのはバフェットと彼の相棒のチャリー・マンガーである。

それにしてもヘッジファンドという寸時も惜しむビジネスの世界にあって、よくもこれだけ集めたものだとその超人的な作業には毎年、敬服させられる。

その貪欲な知識欲がヘッジファンド運用での大成功にもつながっている。

今回の金言のひとつであるビル・ミラー(投資銀行レッグメイソン)のページを紹介しよう。

“米国の大型株への投資は私の人生での最大のチャンスを提供してくれている。同じようなチャンスは1951年で、この時も債券に対して株式が超割安であった。当時、私は1歳、言葉もしゃべれず、お金もなかった。いまは出来る。このレポートを読んでいるあなたにも出来るはずだ”

(2010年7月)

ビル・ミラーが7月に執筆したレポートからの引用である。彼は20世紀が生んだ3人の偉大な投資家と称せられる(あと2人はバフェット、ピーター・リンチ)。


中東では石油相場が高い・・・新年の関心事

2010-12-27 07:37:23 | 株式

東京市場は本日を含めて3日半の立会い。

ウォール街ではクリスマス休暇が明けるが、影響力のある投資家はデスクを離れ新年初めまでは休む人たちが多い。

米国では週末には月間のうちではもっとも注目の景気指標である雇用統計の発表が金曜日(1228)にある。11月の失業者数は事前の予想では41万人(前月42万人)である。

先週来、エコノミストの間では2011年の景気と株価についての見通しの発表が相次でいるが「連銀の金利の引き上げは2011年には実行されない」というのがコンセンサスである。

目先の関心事は中国の金融政策とヨーロッパの金融不安である。

中国では引続き金融引締めが続くが、様相は日本の1990年末を彷彿とさせる。当時は日本でも物価上昇が問題になりインフレであるかどうかの分岐点として消費者物価+3%というのがコンセンサスであった。中国当局も3%以下になることを目指している。現在は5%超。

2010年と異なり原油価格の上昇が問題になり始めた。新年には商品相場の最大の台風の目になるだろう。

中東では先週、湾岸諸国のカタールで株価の上昇が注目された。小国であるが天然ガスでの産出国として有名。中東で第2のエネルギー会社のインダストリーズ・カタールの株価が急騰した。背景には目先の石油価格の上昇期待がある。世界のエネルギー事情に敏感な株式市場だけに、欧米では関心がもたれている。

私も第2次オイルショック後には何回か訪れた。