足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

昨日のNY株の変動率の高さ

2007-03-31 17:43:28 | 株式

昨日のNYダウ平均の変動は上下に大きく動いた。一時は-111ドル安と「ヒヤッ!」とさせる場面があったが、引けは+5.6+ドルで終わった。1日の変動幅は上下に205ドルも動いた。2月末に始まった世界の同時株安を想起させるものであった。

結局は3月はダウ平均+0.7%、S&P500+1%、ナスダック+0.2%と、ほとんど2月末と変化のない1ヵ月であった。

本欄でこれまで何度も書いてきたが、最近のボラティリティー(変動率)の高さは先行きに対する投資家の見方がさまざまで強弱が分かれていることを証明している。ヘッジファンドには慎重論が多い。それだけに大きなショート・ポジションをとってる運用者が多いが、ヘッジファンドにとっては昨今のような波乱の大きい相場展開は大きなチャンスでもある。さまざまなデリバティブや先物を駆使して、相場がどちらの方向に動いても利益を出せるようなポジションを取る。しかしリスク・コントロールには気を配り、「ガラスのお城にいるつもり」で、どこから飛んでくるわからない投石の衝撃だけには神経質になっている。

4月はウォール街は第1四半期の決算発表のシーズンを迎える。今回は比較的に事前の修正はなかった。

対照的なのは東京市場でサプライズドが出始めた。相場観での売買より、個々の銘柄の動きに注力する戦略の時期だ。2月の日本株のパフォーマンスはマイナスで米国を下回った。


なぜ変動率が高まるか?

2007-03-30 19:39:47 | 株式

なぜ世界の株式市場のボラティリティー(変動率)が高くなってきたのか?

ウォール街ではさまざまな見方が出てきている。

まず米国の景気の行方である。昨日の第4四半期のGDPの確定値は+2.5%と、事前の予想の+2.2%を上回ったが、ヘッジファンドの運用者は2007年については年率+2.0%に鈍化するとみている。これまでは+3%が巡航速度とみていたが、それが大きく下方に修正された。

このために企業業績の増益率が鈍化し、2007年はヒト桁台の増益率に落ちる。

このような見方がヘッジファンドの運用者の間でのひとつのコンセンサスになっており、先物などのデリバティブを駆使してのヘッジがいつも高水準になってきた。

このような戦略をとれるのはヘッジファンドにとっては、むしろ好ましい環境で、変動率の大きな相場を利用して成果を上げる。現にわれわれが注目して投資してきたマクロ運用のヘッジファンド(株価指数、金利、為替、商品などに特化して運用)の成果が今年は好調である。

米国のサブプライム・ローン問題は大きな社会問題にもなったが、マクロ運用のヘッジファンドには運用成果を上げるうえでは、願ってもないチャンスであった。

そしていまひとつは中東での地政学的なリスクである。イラクだけではなく、イラン問題が加わってきた。世界の石油供給の20%はイランが属するホルムズ海峡を通過して供給される。イランが海峡を閉鎖すれば第2のオイルショックが発生することは確実である。原油価格はこのような情勢を懸念して上昇を始めた。欧米では原油価格100ドル説が再び語られるようになってきた。エネルギー関連株は長期投資の対象になる。

このような背景が相場のボラティリティーの高さの原因になってきている。

来週からは新営業年度に入る。

投資戦略はウォーレン・バフェットのように長期の投資戦略で行くか、ヘッジファンドの行動のように短期の売買に徹するか、2極化が続いていくだろう。

ヘッジファンドが短期の売買を繰り返しながら、ウォーレン・バフェットの経営するバークシア・ハザウェイ株に投資しているのは理解できる。


新興市場の動きをIT関連でみる

2007-03-29 18:08:29 | 株式

本日のジャスダック、マザーズ、ヘラクレスの新興3市場の株価指数はいずれもマイナスに終わったが、IT関連株の人気には明確に回復の胎動が感じられる。

情報通信関連の上昇率のベスト5はジーダット(3841)+18.26%、エキサイト(3754)+17.31%、AQインタラクテイブ(3838)+16.50%、ネクストジェン(3842)+14.70%、ディーバ(3836)+13.84%であった。

1年分の期待収益率を1日で提供している。

株価の動きをみているとIT株人気のときを想起させるような内容であった。資金の流れが、「どっと」とはいえないが、銘柄を選択しながら「着実に」、資金が動き始めた感じがする。

先の「トリトンスクエア通信」でも新興市場に胎動が見られるとして取り上げたAQインタラクテイブ、ネクストジェンの2銘柄は本日はストップ高で終わった。

ここに並べた銘柄はエキサイトを除いては、公開して時間の経たない銘柄である。かってならIPO(新規公開)時に相場の人気を出し切ってしまうような、一時的には魅力を感じる銘柄であったが、ここ1年間の新興市場の弱気相場のなかで公開されただけに、人気を出し切ってしまうことがなかった。

本日のこれら新興市場銘柄の動きをみながら投資戦略を立てるヒントが感じられる。新興市場フアンにとってはチャンス到来であるとみる。


2つの注目すべき動き

2007-03-28 18:25:12 | 株式

「いやな予感が走った!」と、1ヵ月前のチャイナ・ショックを想起させる市場であった。中国株が一時は大きく下げた。当局が株価の過熱を引き続き懸念しており、なんらかの規制を発動するのではないかという見方が出たからである。

つれて円相場が117円台にはいり「円のキャリートレードが始まった」とみる向きも出た。トレーダーなどが株価先物でのショート・ポジションを積み上げたようだ。

それに3月決算での配当取りでの保有株を売却する動きが出た。

世界的にデリバティブを利用しての相場の波乱をヘッジする動きが強まり、1日のうちでも株価が大きく上下に変動する習性が、このところますます強まってきている。その変動を「トレンドが変更した」と誤認しないようにしたい。

さて新しい動きが2つ見られる。ひとつは原油相場の動きである。2007年は需給面での均衡時期に当たるとみるのが、昨年来の専門家のコンセンサスであった。

「これまでの原油相場の調整はほんの一時的なものだ。2008~2009年には事態は大きく変化する」とジョン・セグナー(AIM・エネルギー・ファンド)は、米バロンズ誌上で語っている。エネルギー関連の市場での運用では注目されている運用者である。これから石油市場は夏場のドライブ・シーズンにはいり需要期にはいる。われわれも東京市場での石油関連株に注目する時期になるとみる。

本日のいまひとつの注目点は、第1部市場に逆行してマザーズ、ヘラクレスが上昇したことである。特にインターネットやIT関連が強かった。マザーズ市場は昨年1月の高値から、今年の3月初めまでに50%弱の下落になった。

昨年来の下落は資産バブルやITバブルの崩壊とは本質的に異なる性格のものである。株価に合理性が働くところへきてる。われわれは人気銘柄の押し目買いを勧め始めた。


任天堂の社長が世界30人のトップ経営者入り

2007-03-27 18:35:01 | 株式

今週の米バロンズ誌のカバー・ストーリーは世界の優れた経営者30人の選考である。日本からは任天堂の岩田社長が選らばれた。選考には機関投資家の多くの機関投資家の運用者の意見を取り入れた。

株価のパフォーマンス、業績の成果、経営者としての資質、業界での位置づけなどを選考の基準にした。30人のトップの中にはにはバークシァ・ハザウェイのウォーレン・バフェットやニュース・コープのルバート・マードックなどが顔を出している。

“ほんの1年前には次世代のゲーム戦争ではマイクロソフトとソニーが勝利者になり、任天堂は脱落するとみられていた。岩田社長はWiiで大きな変化をもたらした。すばらしい革命的なコンソールの開発で、テニスのラケットを振るように、画面に向かって運動ができる。「脳を鍛える」はベビーブマー層に、思考の鋭敏さ保つための手段として浸透。米国でのゲーム・ソフトのベストセラーにのし上がった。

任天堂の利益は上昇し、手元流動性は60億ドル(7000億円)を超えた。

岩田社長の戦略は単純だ。「ゲーム機器メーカーの競争相手と戦うのではなく、ビデオ・ゲームを無視してきた層との戦いだ」と語る。その前途の可能性をはばむものはいない”

米バロンズ誌の選考の理由である。