足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

ウォール街の見方は強気になる・・日米に温度差

2007-07-31 16:46:38 | 株式

バイロン・ウェインといえば知る人ぞ知る、モルガンスタンレーの名物ストラティジストとして世界の機関投資家の間では、その相場観には定評があった。

彼はヘッジファンドのジョージ・ソロスの無二の親友であり、一時はソロスの旗艦ファンドであるカンタム・ファンドの社外重役でもあった。

現在は老舗のヘッジファンド・ピコツトキャピタルのストラティジスト。専門家の間では定評のあるファンドである。われわれが投資したいと思っても買えないぐらい人気がある。

バイロン・ウェインは「今年の相場は満足のいく結果で終わるとみる」と語っている。

S&P500は現在の水準より+10%上で終わり1,600を超えるとみる。好材料は企業業績、利益率の好転、増配、自社株買いを上げる。

また世界経済が好調で、今年の企業業績は+8%と予想し、PER(株価収益率)は15倍と割安。この結果。益利回りは6.6%で、現在の10年国債の利回り4.8%に比べて割安。バイロン・ウェインの強気の根拠である。

昨日のウォール街では有力なストラティジストが「株価は底値圏」と株式のウェイトを引き上げるよう推奨を始めた。特にいままでサブブライム問題で売り込まれた銀行、証券、住宅のほか、小売に注目するよう具体的な銘柄を上げている。

ウォール街と東京市場の間に相場の先行きに温度差が出てきた。キャッチアップが始まるだろう。


下げ相場の中からうまれた光る数字

2007-07-30 18:41:19 | 株式

欧米の株価をはじめ世界の株式相場が波乱している。

「いま株を売ってしまって資金をどこへ持っていく?」と自問自答してるファンドマネジャーのかなりの人とたちが、株価の下げで将来の投資価値が出てきたことに注目する。

2つの数字に注目しよう。

先週の株価の波乱でシカゴ取引所で売買されているVIX指数が2003年4月以来の高い数字になった。株価の変動率に賭けるオプション取引であるが、別名「不安度指数」とも言われている。

市場の参加者の心理状態を表す指数取引である。われわれが注目してるスイスのヘッジファンドのフェリックス・ズーロッフはここ1ヵ月、「株価の波乱に備えてVIX指数の買いで資産をヘッジする」としてきた。同時に投資家にも、この種の取引に関心を持つように奨めてきた。

有言実行、もちろん彼は7月の運用ではそれを実行したはずである。サブプライム問題に加えて信用市場の一時的な収縮を予見していた。

しかし彼の相場観は基本的には先行きには強気で、あと1年半か2年は上昇相場が続くという確信を持ってる。それだけに短期の変動にどうヘッジするか、リスクを最小にとどめるかに力を入れる。

いまひとつ、今回の下げ相場で好転した数字がある。それはS&P500でみたPER(株価収益率)である。実績ベースで15倍強にまで下がった。1991年1月以来の数字である。このときは湾岸戦争で株価が下がった。また1990年代のスーパーブル相場の後半戦いりになったときだ。

今回のNY株の下落には、この様な数字の産物が出てきた。


今週のNY株

2007-07-29 16:27:04 | 株式

今週の最大の関心事は引き続きNY株の動向である。

先週は週間でダウ平均-4.2%、S&P-4.9%、ナスダック-4.7%の下げが、投資家のセンチメントに与えた影響は大きかった。その影響もあって年初来の指数のパフォーマンスはダウ平均+6.4%、S&P+2.9%,ナスダック+6.1%になってしまった。週間ベースでの下げ率は5年来の大きさで、相場が大底を入れた2005年ぶりの弱気相場を経験した。

今回の下げの理由はサブプライム問題であるが、それが信用市場も及んだ。これまで相場の大きな柱であったM&Aや非上場化を狙っての投資ファンドの活動が縮小する懸念だけではなく、クライスラーの買収のための資金調達に支障が出てきている。

今週の材料は雇用統計(4日)と最終ラウンドに入ってきた企業業績の発表である。特に注目されてるのはGMで、先週はフォードが2年ぶりの黒字決算を発表して株価が反転しただけに、その連想で期待感がある。

今回の相場の下落でPER(株価収益率)は15.3倍になった。これ以上下げれば14倍台に突入する。昨日、本欄で書いたように、有名な投資家のビル・ミラーの「下げは株式の投資価値を高める」という話を書いたが、まさにそのような局面に入ってきてる。


投資リスクは小さくなった

2007-07-28 18:42:14 | 株式

NY株が続落した。今年の値下がり幅の大きい順に並べると①-416ドル(2月27日)②-311ドル(7月26日)③-243ドル(3月13日)④-226ドル(7月24日)⑤-208ドル(7月27日)ーである。

ワーストは先にも書いたように2月末の上海株の暴落に端を発した暴落であった。

今週1週間の下げはS&P500が-4.9%、ダウ平均は-4.2%で今年の年初来の下げの半分近くを吹き飛ばした。

現在の下げ相場は2月~3月の下落時とセンチメントは酷似している。その後、株価は大きく反騰した。ニューヨーク株の動きは外人投資家のセンチメントに大きな影響を与えるだけに、最近のウォール街の動きは気になるところである。

現在の投資をどのように考えればよいか?

こんなときは偉大な投資家の話に耳を傾ける。2006年まで15年間にわたってS&P500を毎年、上回ってきたビル・ミラー(レッグ・メイソンの運用者)の投資哲学のひとつだ。彼は次のように語ってる。

「株価の上昇は投資家の将来の収益率を低下させるし、下落は投資収益率の上昇につながる。2002年夏は、ハッピーな時期であった。どんな株を買ってもその後、利益が出た。

多くの銘柄が超割高になった2000年春よりもはるかに恵まれた時期であった。

現実に存在するリスクと、投資家が考えるリスクの間には開きがある。何か問題を抱えているときは、将来のリスクは大きいと受け止めるし、相場が高いときは、先行きのリスクは小さいとみる。

これは投資家に共通の心理的な現象である」

現在の投資戦略を考える上では含蓄のある言葉である。


NY株の行方は?

2007-07-27 08:56:40 | 株式

NY株が暴落した。

NYダウ平均は今年にはいてからは2月27日のチャイナ・ショック時の-416ドル以来の下げで2番目(昨日は-311ドル)。

住宅市場の不振と信用市場の不安が材料視されるが、今に始まった話ではない。一方、目下、発表中の第2四半期の企業業績は絶好調で、発表前の+4.8%の増益予想が、発表途中であるが+11%と二桁に乗ることは間違いなさそうだ。

ただ過去9ヵ月のうちにダウ平均は1万2000ドル→1万4000ドルと、早いスピードで上昇してきただけに、「調整は当然」という冷静な見方をする投資家も多い。

ビル・ミラーは「私は新高値の銘柄が多いときよりも、新安値の多いほうがわくわくする。企業の投資価値にはそんなに変化がないからだ」と言う。20世紀が生んだ最高の投資家の一人といわれる運用者の話だ。

いずれにしてもNY株の動向が東京市場の投資戦略にも大きな影響を与える。

「トリトンスクエア通信」でいつも使うシカゴのVIX指数が2月末の株価の暴落時を、昨夜は上回った。前回の経験があるだけに投資家はいまが、目先の投資にとってはどんな時かご存知のはず。

3月初めの成功体験を思い出して欲しい。