金相場が10.10ドル高の$750をつけた(12月先物)。
1980年につけた$850に向けて着実な足取りで上昇トレンドをたどっている。
今回の上昇のきっかけは7月に問題が表面化したサブプライム問題で、金融市場の先行きに不安が高まったことである。ドルがユーロに対して売られ連日にわたって安値を更新し、今週は7日間にわたって安値を更新した。金は「不安」のバロメータといわれるが、ドル通貨のヘッジの対象として金が選好されている。
ここであげた理由はいままで言い尽くされてきているが、今週の金相場の上昇の原動力になったのはインドの買いである。世界最大の需要国であるが、季節的にみて金の需要が増える時期を迎えて例年になく金需要の規模が大きいようだ。
季節的というのは結婚と贈答用に貴金属業者が在庫を増やす。それに最近のインド株の高騰にもみられるように、景気の好調で消費者の所得水準が上がり、金の需要もこれまでのトレンドを超えて増加してきている。慌てたのは産金会社で、ここ1年の金相場の低迷をみて先物で金を売りヘッジしてきたのを買い戻したようである。
石油が第2次オイルショック時の水準の2倍以上になったのに、金相場が高値を抜けていないのをみて商品相場で運用するヘッジファンドも9月初めから買いを膨らませている。
今回の金相場の需要をみる上で、いまひとつ注目したいのはETF(上場投資信託)の登場である。ウォール街でいち早く商品として登場したが、大阪証券取引所でも金相場と連動する投信が売買されている。金投資の選択肢が世界的に20年前よりもはるかに拡大している。需要要因である。
金に連動して昨日は白金、銀も買われた。
株式市場でも非鉄株や金関連の株の人気は一段と先行き高まるとみる。