足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

時間は秒読みの段階にはいった・・・米金融安定化法案

2008-09-30 10:18:33 | 株式

期待された米国の金融安定法案であるが、僅差で否決された。

“夢のような話だ。今回の金融危機が発生して以来、最悪の事態である。なぜ反対票が多いのか、完全に理解するまでは相場は売られるだろう”

“台所に火が着いているに、それが家全体に及ぶのを見ていられるのか”

多くの有権者からはこのような、悲鳴に近い声が上がっている。

与党である共和党の反対票で否決された。

時間の問題で金融安定化法は通ることは確実であるが、失われた時間の代償は日々、大きくなっていく。

今回のNYダウ平均の下落-777ドルは幅としては史上最大であるが、率では-6.89%と、198710月のクラシュ-22.61%には及ばない。

それにしても、このまま放置されることはない。

下院を通過させるにはどうすればよいか、ポールソン財務長官とバーナンキ議長の再検討が始まった。

時間的には一刻一秒を争う時にきているのは確実である。

金融安定化法の柱である7000億ドル(75兆円)を投じた場合の、損失をどうするか?

世界の債券王といわれるビル・グロスは「税金を使っても、今回の措置では必ず利益が上がる」と発言している。

明日から「魔」の10月にはいる。

そのことも政策当局の頭には十分にあるはずだ。

連銀の利下げの確度が一段と高まった。


議会がバフェットの意見を求めた

2008-09-29 16:16:39 | 株式

週末のポールソン財務長官と両院の関係議員とのやりとりは、まるでドキュメンタリー映画をみるような感じであった。

インターネットの流すニュースのおかげである。特にグーグルがはじめた「グーグル・クローム」という新閲覧ソフトは、同社のうたい文句どおりスピードが速く、これまでのマイクロソフトの製品より、はるかに使い勝手がよいし、入手したい情報が、こちらの手の内を見透かしたように、画面に侵入してくる。まさにどこからくるのか、「侵入」ということばがぴったりである。

ワシントン・ポストによると、土曜日(現地時間)3時過ぎ、ウォーレン・バフェットと親しい議員が電話でバフェットの意見を求めた。金融安定化法案の議論が大詰めを迎えているときである。

バフェットはかねて「現在は真珠湾攻撃を受けたときのようなショックを国民が受けている」と語っているほど、金融市場には未知の事態に対しての恐怖感を読んでいる。

この議員にバフェットは何を話したかは、知る由もないが、その後、ポールソン財務長官との議論の席に、バフェットの意見が持ち込まれた。

このような事態の推移が、PCのモニターの前で座っているだけで、知ることができる。

「グーグル・クローム」が、蜘蛛の巣のように張りめぐらされた糸を伝って飛び込んでくるのは実にありがたい。

本日の東京市場は、議会での法案の先行きに不透明さを感じた。

心理的な因果が支配する市場人気のときだけに、波乱は仕方がないが、今週中にはひとつの方向性が出てくると思う。


金融市場の救済法案の成立は時間の問題・・・利下げも可能性

2008-09-26 07:31:59 | 株式

昨夜のウォール街では金融市場の救済法案が議会を通過するとみて、金融株がリードし始めた。

今週の大きな話題は、ウォーレン・バフェットがゴールドマン・サックスに投資を決めたことだ。優先株と株式買い付け権のワラントへの投資である。両者を実行すれば1000億ドル(1600億円)の支出になる。

バフェットは「米国経済は真珠湾攻撃のときに等しい危機にある。政府がこの事態を認識して救済策を出したことが、今回の投資の決断につながった」と、政府の動きを評価した。

バフェットが政府の行動を読んだように、法案の通過は時間の問題になってきた。

しかしこれで問題はすべて解決するわけではない。

バフェットのように、万人が弱気になったときに投資(長期)をするという哲学からは、「買い」のチャンスであるが、肝心の住宅市場の不振が続き、景気は悪化し、金融業界の業績不振が続く。

金融株を除いたS&P500の予想PER(株価収益率)は12倍になった。

過去70年間の株式相場ではPER10倍は大底で、PER20倍超で、株を売れば成功率が高かった。限りなく底に来ている。

問題の景気の悪化であるが、バーナンキ議長が金利下げに動く可能性が高まってきた。

次回のFOMC1028~29日であるが、それ以前での緊急利下げの可能性が急に高まってきた。

金融危機という敵と戦うためには、武器を投じるタイミングが重要であることは、ポールソン財務長官もバーナンキ議長も熟知している。


VIX(恐怖)指数が異常値をつけた

2008-09-25 07:43:50 | 株式

先週はVIX(恐怖)指数が最高値をつけた。

シカゴ・オプション取引所で売買している「相場のボラティリティ(変動率)」に賭ける指数であるが、昨年初めごろから急に注目されはじめた。

先行き相場の不透明感が高まると、VIX指数が上昇する。今年は1月(欧米金融機関の損失)、3(ベアースターンズ破綻)7(住宅公社への資金注入)35を超えた。

ヘッジファンドなどは、相場の先行きに不安感が出てくるとVIX指数を買う。

これまでの指数の高値は35を超えるとストップし、相場の落ち着きとともに下落した。8月末には一時的に20を割れ、住宅公社への救済策で金融不安も峠を越えたとみる、投資家が増えた。

しかし先週は42.16とこれまでにない異常な数字を記録した。

リーマン破綻、メリルの買収、AIG救済と短時日の間に、問題がいっぺんに吹き上げた。このような問題の連鎖反応が、先行きの恐怖心を駆り立てた。

安泰とみられていたゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーの株まで売られた。

政府が急遽、緊急市場の救済策を出し、VIX指数は30台で推移している。

昨日は35である。

これまでの経験則でいくと、30以上は市場では先行きに不安感が強いことを表す。

この指数を逆張りに利用する向きも多く、市場の不安感が高まったときは「株を売る時期ではなく、投資のとき」というのが富豪ウォーレン・バフェットの投資哲学である。

彼は言行一致、ゴールドマン・サックスの出資を決めた。

VIX指数は10年に一度のチャンスを暗示しているのだろう。

東京市場でも金融株にチャンスが来ている。


一日で+50~+60%の株式も出てきた・・・ウォール街

2008-09-24 08:52:11 | 株式

東京市場が休み中の1日を含めて、今週のウォール街は先週末2日分の上昇率の31を消した。議会での金融市場の救済案の審議が始まったが、反対論も出てきて、成り行きに一喜一憂する。

バーナンキ議長は「救済策が通らなければ、1930年代の恐慌の再来の可能性」と強調する。

ただ、ウォール街での株式市場での金融株の動きには変化が出てきた。

7月の相場の下落のきっかけになった住宅公社2社の株価がこのところ上昇し始めた。

昨日はファニメィ(FNM)が+65%と$1.31で引けた。先の安値は$0.35であった。

フレディマック(FRE)も+55%$1.32の引け。安値は$0.25であった。それぞれ安値から3.7倍~5.2倍の上昇率である。1日の上昇率は低位株でもあってすごい。

一時は国有化され株式価値はゼロになるとみられ売り急いだが、最近は投機家の買戻しか、あるいはファンダメンタル面からみた、確信をもった機関投資家の買いがあるのか?

外部からは知る由もないが、6月まで大量投資を続けてきた世紀の投資家のビル・ミラーはどう動いているのか?

昨日の注目したい動きのひとつは、ウォーレン・バフェットがゴールドマン・サックス(GS)に50億ドル(5300億円)投資するというニュースが流れた。優先株で資金をいれる。

ウォール街の動きに、だれよりも精通する投資家の行動だけに注目したい。

また三菱UFJのモルガンスタンレー(MS)への投資もウォール街では歓迎されている。

久しぶりに日本のプレゼンスが出た。

ウォール街は表面は別として、底流では地盤固めの動きが出てきている。