世界でもっとも優れた投資家であるウォーレン・バフェットが2019年度の年次報告書を公開した。ことしの成果は+15%で、S&P500の+20%をわずかだが下回った。
バークシア・ハザウェイは典型的な投資会社だが投資信託と異なるのは一群の企業に集中投資することである。運用者は創業以来ウォーレン・バフェットとチャリー・マンガーであった。
時価総額は世界では7番目の大企業である。バフェットはことしには90歳台いりする高齢だが、こえまで会社の最大のリスクは バフェット亡き後の引継ぎをどうするかが問題であった。この点は最近、株主総会で毎回、質問がでるが、バフェットからはこの点だけは明快な回答がみられなかった。
昨年のバークシア・ハザウェイの純利益は814億ドルを記録した。事業を多角化したコングリマリットでなく、大量投資しているのは金融、消費関連、運輸などで、これまではハイテク企業への投資を意識的に避けてきた。
ただ、ハイテクを避けるという鉄則を完全に撤回、アップル、アリババなどにも大量投資をはじめた。米国で産業界でのハイテクの存在感が時間の経過とともに重要性が高まっていくのをみて、自分の投資哲学を修正するあたり、バフェットの運用の柔軟性には注目される。
彼はこれまでの運用方針に危機感を抱きはじめた。
「ハイテクにはいくら勉強しても専門家に追いつくのは難しい」という掟を破り、時価総額の成長の大きい銘柄に投資をはじめた。
バフェットの投資哲学の転換は、われわれの運用でも大いに参考にしたい。
最近の言動からするとバフェットは次のハイテク銘柄の検討にも手を出していると思う。