中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第5回紬塾 名古屋帯を締める―前柄、太鼓柄をよく見る

2019年12月13日 | 紬きもの塾’17~’20
紬きもの塾は、前半は糸や染め、織りを中心に話を進め、後半はとことん着る着ものの合理性、そして実際に着物を着ることに関して学んでいきます。
11期の紬塾も残すところあと1回になりました。

今回は名古屋帯の寸法などの詳細を勉強しました。
今期参加のみなさまは、着物をよく着る方で、着付けの講師をしてらっしゃる方もあり、特に着方はやる必要もないかと思いましたが、帯結びに関して、太鼓のたたみあとが出てしまう、前柄の出し方で結びにくいものがある、短くて使えない、長くて締めにくい…など、帯に関してのお悩みがあり、問題点を徹底解明することにしました。

着付け教室で習った締め方に忠実なのはいいのですが、太鼓中心を把握されてなかったようで、今回スッキリ解決となりました!

帯も、ものによって、長さや柄の配置に幅があり、ワンパターンのやり方で締めますと、締めにくい帯、、、となってしまいます。
太鼓中心と前中心、関東腹、関西腹をよく見て手先の長さを決めていくと柄がうまく出てきます。
多少のことは融通が利くので、太鼓柄にせよ、前柄にせよ、中心にしたり、少しずらしたり、好みで締め分ければよいと思いますが、まずは自分の帯の全長、太鼓中心、前中心を測ってみるとよいです。

関東巻きしかしていなかった帯を、関西巻きにしたら、何のことはない、きれいに前柄が、中心よりやや左寄りに収まり、ご本人もビックリ!(*_*)
短くて太鼓柄が出ないとおっしゃっていた方は、帯枕の当てる位置が違っていて、確かに全長9尺の長さではちょっと短いのですが、なんとか使える範囲ということもわかりました。20~30年前の帯は、新しい帯反で仕立てても、仕立て上がり9尺3寸位でした。今は9尺8寸から一丈あるものもあります。着物も帯もなんでも大きめになり、使いにくくなっているようにも思います。

締め方は、捻じるやり方でも、仮ひもを使っても構わないのですが、手と垂れの交点から帯枕を当てる位置が太鼓柄の出し方に関わります。今はその長さをたっぷりとる締め方が雑誌などでも見受けられますが、帯枕を当てる位置は垂先から2尺3寸前後になります。そのように柄はついているはずです。



帯芯を使って柄の配置をわかりやすく見てもらうものを今回用意しました。
垂れは2寸(人差し指のながさ)のところに糸印を付けています。

太鼓中心(1尺8寸)から上下4寸のところに縫い印をつけてあります。
ここが太鼓になるところです。多少の中心のずれ(1~1.5寸)は大丈夫で、帯を二つ折りにたたんだ時の折りあとも正しく帯枕を当ててあるなら、太鼓に出ることはないのです。

今まで、私の帯を締めてくださっている方の中にも、何人か畳んである時の折り目が太鼓に出てしまっている方を見ましたが、帯枕の中(背中)に帯がたっぷり入ってしまっていることになります。また逆に、太鼓中心が太鼓の折り返し(立ち上がり)にたっぷり入りすぎて、中心が下の方になっていたケースもありました。もちろんそれでも意図的にそうするなら、それはそれでいいと思いますが、、。

前柄はさすがに自分で見えますので調整すればいいのですが、前中心の位置も4尺2寸から4尺4寸くらいあって、自分の好みの位置にずらして調整します。


この帯は関東、関西、どちらの巻き方でしょうか?上のトップの太鼓の画像を見るとわかると思いますが、関東巻きです。左右の地色(縞)が少し違っています。
この帯は私に肌映りのいいブルーグレー系が上の方に来るように巻くことが多いです。でも着物によって関西腹も使います。

このような段縞の場合でも、前中心をどこにするか、鏡を見ながら決めます。
制作する際も、もちろん中心を決めてはいるのですが、ずらしてダメということでもないですので、着る方が全体を見ながら決めればよいわけです。

この日は、久し振りに若いころに買った(これも母に借金して買ったのですが、、、^-^;)、薩摩絣を着てみました。ブログの前記事の弓浜絣とは対照的な綿絣です。この自作の紬帯は芯が柔らかく、少し締めにくいのですが、超長綿の薄手の滑らかな木綿にはかっちりし過ぎず、良いかと思います。

帯芯と帯地との関係で帯の表情も変わります。仕立て屋さんも悩むところだそうです。仕立て依頼の際に希望が言えるようになれば一人前でしょうか・・。

それから、どなたも尺指しをお持ちでなかったのですが、着物をずっと着ようと思う方は二尺指しと一尺指しはぜひ持ってほしいと思います。
とてもシンプルに長さや幅を掴むことができます。自分の着物の寸法も覚えやすいです。

他には半衿付けも衿芯を半衿でくるみ、それごと洗うやり方も参考までにご紹介しました。自然な衿の形になります。

今回も盛りだくさんでヘビーな内容でした。
帯結びに関してのお悩み相談も「ミニ紬塾@工房版」でも承ります。




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