中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第10回紬きもの塾「自然で楽に着物を着る」

2018年12月13日 | 紬きもの塾’17~’20
第10回目の紬塾は紬などの着やすい着物を「自然で楽に着る」というテーマでした。

まずは下着や小道具について素材を見ての選び方、扱い方、また、着物の洗い張りをいつすればいいのかと言うような質問もあり、私の見解を述べました。
袷着物は基本的に洗うようにはできていないのでまず汚さないように着ること。ファンデーションなど使う方は顎のあたりはあまり塗らないほうがが、、。化粧の後はよく手を洗わないと、油汚れは時間が経つと黄変のもとになります。
着方も人それぞれで、一様ではないですが、洗い張りに関しては八掛の裾が擦り切れたタイミングで手入れをすればよいのではないでしょうか?
立体感のある真綿紬は汚れにくいです。
肌着や長襦袢、半襦袢についてでは、肌襦袢の襟元をしっかり首元にかかるように着ると長襦袢も汚しません。

私は日々の洗濯の殆どが炭酸塩です。あとは純石鹸を使います。合成洗剤は使いません
肌襦袢、ステテコなど汗がついただけのものなど、よく落ちてすすぎが簡単な炭酸塩がオススメです。
長襦袢は普通の絹の縮みにくい織り地を選び、洗える仕様に生地を伸ばさない仕上げにしてもらえば自分で洗えます。
日常に着物があった時代なら、いくらでも生きた知恵があったのでしょうけれど、今は洗濯さえも機械任せで素材による扱いの違いなどを皮膚感覚、身体感覚で受け止められないようになっていると紬塾の中でも思うことがあります。



着方に関しては、着物は着られる方ばかりでしたので、名古屋帯を仮紐無しで締めるやり方を中心に説明しました。短い帯や、前帯を汚してしまった場合、ポイント柄を見せずに無地を出したいときなどの、太鼓から結ぶやり方も参考までデモンストレーションしました。
前柄がうまく出ない場合の確認方法や、体型による帯仕立て寸法について。
7号サイズぐらいの方が、今の標準寸法の太鼓幅8寸2分ですと大きすぎるように思います。太鼓の端が脇の方へ回り込んでしまう感じになります。反物から仕立てられるときは、帯もマイサイズで仕立てると良いと思います。ただ、マイサイズはジャストサイズという意味ではなく、全体のバランスや帯の柄、質なども考慮するとよいです。

着物は補正をする必要があればすればいいですが、補正をするものと思い込んでいる方もあります。
なるべくその方の体型に沿わせて着れば良いと私は思います。補正肌着はいきいきした着こなしを削ぐように思います。その方の体型そのものが神様が作ってくださった理想形なのですから。
着方や柄、色選びでもカバーできる点もありますし、着方をややこしくすると、ますます着るのが面倒になります。蒸し暑い時に肌着の上に綿のタオルを巻きつけると暑いです。

先日のワッツでの個展で会場にふらっと入ってこられた方が、着物は着たいのだけれど、着付け教室についていかれなくてこんなにめんどくさいならもう着物は諦めたと言っておられました。最初からややこしいことはせず、腰紐1本、胸紐1本で着ればよいのに、、と。慣れてきたら少しずつ自分の理想系にすればよいと思います。

着付けのお手本が身近な人になく、雑誌のモデルさん(人に着せてもらった姿)を参考にするしかなくなってしまったので仕方ないのですが、着物もいいなぁと思ってくださってるのに、着方のせいでやめてしまうのは本当に勿体ないことです。
撮影用の着姿と、実際に目の前で見る着姿は違います。カメラのレンズと肉眼のちがいも大きいです。

確かに自然で美しく、こなれた着方をマスターするには修練が必要であることは言うまでもないことですが、みんなお揃いのような着付けをしないといけないかのような雰囲気になっては悲しいことです。
私自身はグズグズの着方をしていて、、、もう少しピシッと着たいと思って毎回少しずつは気をつけるようにはしています。ただ、基本的に簡単、楽な着方が好きです。(^^ゞ

あと、着物の仕立寸法が着姿に大きく関係しますので、最終回の紬塾でその点をお話します。私も寸法が合わないまま着ている着物はどう頑張っても時間もかかり、スッキリしません。洗い張りのタイミングで直していきます。


上の画像は30代のアシスタントの着姿ですが、彼女も着付けを習ったことはなく、自己流で着ていましたが、紬塾も受講し、今は自然な着方をしています。たまにしか着ませんが、着付けも早いです。最初はリサイクルの着物を着ていましたが、この「木守り」と題した紬着物は私の下で織ってもらったものです。着物も帯も小物も数は数点しかないのですが、気に入ったものを大事に少しずつ増やしていけばいいと思います。帯は向かい鶴文様の和更紗です。帯揚げの芥子色は玉葱で染めたものですが、光によって見え方が大きく変わる色です。

ミニ紬きもの塾の工房版もありますので、私でわかることでしたら、紬を着るにあたっての個別のご相談も承ります。
ホームページからお問い合わせ下さい。





中野みどりHP







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