2010年1月31日
半衿付けの講義風景
4月から始まった紬塾は4回の基本コースと、染織実習付きの8回コースとがありましたが、
どうしてももう1回プラスしないと収まらなくなり、補講という形で行ないました。
着付けのおさらいや半衿の付け方、半巾帯の変わり結びもしました。
またみなさんからの感想にひとつひとつ答える時間もとりました。
最後はメンバーの一人が煎茶点前を披露してくださり
(二条流。200年前の京都の二条城出仕の茶匠 水島二条斉雅荘翁を流祖とする)、
席入りのまねごとや頂き方も教わりながら、予定時間をオーバーして、
盛りだくさんの内容でしたが、楽しい最終回となりました。
今期は私にとりましてもテストケース的な面もありましたが、
来期はさらに充実した内容でつとめたいと思います。
ふつうの市民の中に本物の着物文化を、みなさんと一緒にもう一度築きたいと思います。
このブログを関心を持ってお読みくださり、ありがとうございました。
以下、メンバーのみなさんの感想をご報告いたします。
〈実習付きコース〉※各写真は第6回紬塾でみなさんが織ったものです。
M.Mさん
先生の工房で初めて織りの着物を見せていただいて、
私も一生に1枚は作りたいと思っていたんですけども、
そんなにすごく遠いものというわけでもないんだなという感じで、
少し身近に感じられてきたのがよかったです。
焦らずに少しずつ揃えていけて、自分の生活に少しうるおいができてくれば、
歳を重ねるごとに豊かな気持ちになれるかなと思いました。
織る体験がもう少しあったら、もっとよかったかなと思います。
K.Mさん
今までは、糸の1本というのはそんなにたいしたことではないと感じていたのが、
自分で初めて紡いでそれを機に織り込んで、糸1本の大切さということを実感しました。
それから時間の使い方ということをすごく考えさせられました。
今までは自分の仕事に合わせて時間を区切っていた。
今回この塾では1時間20分という時間が決められていて、その中で自分の仕事をする、
どれだけ織れるかということで緊張もしたし、すごく怖かったんですね。
でも結果的にはむしろ集中ができて、自分の仕事に時間を合わせるのではなくて、
時間に自分の仕事を合わせるということができた。
その時に、そういうやり方をすると無駄がなく、集中できるということを知りました。
無駄がないということは結局ふだんの生活にもつながっていきますね。
それから着付けのことで、着物がこんなに楽に着られるというか、
あるがままでいいんだということです。
着物がたった紐3本で着れるということが、ホントに楽だし、身近に感じられたし、
着ていこうという自信と勇気と、これからの課題をやっていこうという気持ちになりました。
W.Aさん
染色の講義の折に、先生は料理のダシをたとえにひいてらっしゃいました。
紬塾でたんまりといただいた上質のダシを少しでも多く煮込んで、寝かせて、
自分自身の滋味につなげていくことがこれからの私の大きな課題かと思いました。
N.Mさん
ひとつひとつていねいな仕事をきちんとやって初めて布ができるんだということを、
ガッーンという感じで垣間見せられたという感じがいたしました。
ホントに凄いことを今まで女の人たちはやってきてたんだなということを、
そしてそれは楽しい仕事だっただろうなと思いました。
N.Hさん
今までの自分というのはとりつくろって、パパッと生きてきたなということに思い至って、
なんとかしなければなということを思いました。忙しさとかそういうので、
目の前にあることを消化していかないといけないというような、
わりと手先が器用なもので、パパッとやっちゃえますよね。
そういうのが、なにか深いところで、
ちょっと考え直さないといけないのかなということをすごく思いました。
N.Mさん
とても貴重な体験をさせていただきました。
自分の手でやってみて初めてわかったことがたくさんありましたし、
ものの見え方が変わりました。「糸の力」ということとか。
織物をやりたいなあという気持ちもありましたが、先生のように
織物を仕事としてやっていくことはどんなに凄いことかを実感しました。
〈4回コース〉
H.Mさん
最初に先生が言われたことは、着物の一式をいっぺんに全部揃えないといけない
ということはなくて、ひとつひとつ揃えていけばいいということでしたので、
ひとつひとついいものを見て、気に入ったものを買うことを心がけてきました。
H.Nさん
着付けのときに、長襦袢をすべらない紐で締めればそれ1本ですむということでしたので、
家にあったネルで教えられたとおりに作ったんですけれども、
ホントにおっしゃったとおりに全然どうやっても襟元も崩れずに、
今日はそういう感じで着ています。
今まで半衿も硬い芯を入れてピシッとしないといけないとか思ってたんですけど、
それも柔らかいのにしたり、長襦袢によっては初めから芯がついてるのもあって、
それは衿芯を入れなくてもいいんだなということもわかりました。
今までこうしなくちゃいけないとか、紐を何本も結ばなくちゃいけないとか思ってたのが、
ウソのように解き放されました。
T.Mさん
私は着付け教室も行かず、自宅で本を見ながらやってたんですけども、
今回先生からコツを教わって、本を見ながらやってたときと紐の本数が
3本ぐらい少ないんですけども、なのに、襟元がきちんと、
ピッとしてるのが、やっぱりコツがあったんだなと思いました。
もうひとつ、家にあった古い布をほどいてみたんですね。
接ぎをしてあったんですけど解いてみたら、
今だったら捨ててしまいそうなホントに薄くなった布を2枚も3枚も重ねて接いであったので、
昔の人は布を大事にしてたんだなと思いました。
今まではそういうのを見ても、汚いなあとかぐらいにしか思わなかったんですが、
先生のお話をうかがって、布を織るとか大事にするというのは
こういうことなのかなと見るようになりました。
I.Tさん
過去に無料で着付けのお稽古に行って高い着物を買わされたり、
知り合いの方が自宅に来てくださったりしたんですけども…。
やはりあなたの肩は両方でぎくしゃくしてるから、こっちの肩にはタオルを入れて、
こっちはどうのこうのとすごく面倒くさくって、
着物を着て外に出れるということは想像もつかなかったです。
この紬塾で初めて、今日はなにがなんでも着物を着てこようと思って、
今回はコートと襟巻があるからなんとかなるかなと思って、
とにかく今日が第1歩でした。
これからは自分らしさ、Iさんらしい着方ねといわれるような、
そういう着方が自分の身につけられるように
何回も何回も外に着て出るようにしようかなと思っています。
(中略)
紬塾で講義を聞いた日の夜からそのあとの何日間はずうっと胸が騒いでるんですね。
その胸の騒ぎって、母を思い出す胸の騒ぎであるとかいろんなことがあるんです。
そういう機会を持たせていただいてありがとうございました。
最後の締めくくりとしてH.N さんに煎茶を点てていただきました。
3月上旬の更新で第2期の紬塾のお知らせをいたします。
中野みどりのHP
半衿付けの講義風景
4月から始まった紬塾は4回の基本コースと、染織実習付きの8回コースとがありましたが、
どうしてももう1回プラスしないと収まらなくなり、補講という形で行ないました。
着付けのおさらいや半衿の付け方、半巾帯の変わり結びもしました。
またみなさんからの感想にひとつひとつ答える時間もとりました。
最後はメンバーの一人が煎茶点前を披露してくださり
(二条流。200年前の京都の二条城出仕の茶匠 水島二条斉雅荘翁を流祖とする)、
席入りのまねごとや頂き方も教わりながら、予定時間をオーバーして、
盛りだくさんの内容でしたが、楽しい最終回となりました。
今期は私にとりましてもテストケース的な面もありましたが、
来期はさらに充実した内容でつとめたいと思います。
ふつうの市民の中に本物の着物文化を、みなさんと一緒にもう一度築きたいと思います。
このブログを関心を持ってお読みくださり、ありがとうございました。
以下、メンバーのみなさんの感想をご報告いたします。
〈実習付きコース〉※各写真は第6回紬塾でみなさんが織ったものです。
M.Mさん
先生の工房で初めて織りの着物を見せていただいて、
私も一生に1枚は作りたいと思っていたんですけども、
そんなにすごく遠いものというわけでもないんだなという感じで、
少し身近に感じられてきたのがよかったです。
焦らずに少しずつ揃えていけて、自分の生活に少しうるおいができてくれば、
歳を重ねるごとに豊かな気持ちになれるかなと思いました。
織る体験がもう少しあったら、もっとよかったかなと思います。
K.Mさん
今までは、糸の1本というのはそんなにたいしたことではないと感じていたのが、
自分で初めて紡いでそれを機に織り込んで、糸1本の大切さということを実感しました。
それから時間の使い方ということをすごく考えさせられました。
今までは自分の仕事に合わせて時間を区切っていた。
今回この塾では1時間20分という時間が決められていて、その中で自分の仕事をする、
どれだけ織れるかということで緊張もしたし、すごく怖かったんですね。
でも結果的にはむしろ集中ができて、自分の仕事に時間を合わせるのではなくて、
時間に自分の仕事を合わせるということができた。
その時に、そういうやり方をすると無駄がなく、集中できるということを知りました。
無駄がないということは結局ふだんの生活にもつながっていきますね。
それから着付けのことで、着物がこんなに楽に着られるというか、
あるがままでいいんだということです。
着物がたった紐3本で着れるということが、ホントに楽だし、身近に感じられたし、
着ていこうという自信と勇気と、これからの課題をやっていこうという気持ちになりました。
W.Aさん
染色の講義の折に、先生は料理のダシをたとえにひいてらっしゃいました。
紬塾でたんまりといただいた上質のダシを少しでも多く煮込んで、寝かせて、
自分自身の滋味につなげていくことがこれからの私の大きな課題かと思いました。
N.Mさん
ひとつひとつていねいな仕事をきちんとやって初めて布ができるんだということを、
ガッーンという感じで垣間見せられたという感じがいたしました。
ホントに凄いことを今まで女の人たちはやってきてたんだなということを、
そしてそれは楽しい仕事だっただろうなと思いました。
N.Hさん
今までの自分というのはとりつくろって、パパッと生きてきたなということに思い至って、
なんとかしなければなということを思いました。忙しさとかそういうので、
目の前にあることを消化していかないといけないというような、
わりと手先が器用なもので、パパッとやっちゃえますよね。
そういうのが、なにか深いところで、
ちょっと考え直さないといけないのかなということをすごく思いました。
N.Mさん
とても貴重な体験をさせていただきました。
自分の手でやってみて初めてわかったことがたくさんありましたし、
ものの見え方が変わりました。「糸の力」ということとか。
織物をやりたいなあという気持ちもありましたが、先生のように
織物を仕事としてやっていくことはどんなに凄いことかを実感しました。
〈4回コース〉
H.Mさん
最初に先生が言われたことは、着物の一式をいっぺんに全部揃えないといけない
ということはなくて、ひとつひとつ揃えていけばいいということでしたので、
ひとつひとついいものを見て、気に入ったものを買うことを心がけてきました。
H.Nさん
着付けのときに、長襦袢をすべらない紐で締めればそれ1本ですむということでしたので、
家にあったネルで教えられたとおりに作ったんですけれども、
ホントにおっしゃったとおりに全然どうやっても襟元も崩れずに、
今日はそういう感じで着ています。
今まで半衿も硬い芯を入れてピシッとしないといけないとか思ってたんですけど、
それも柔らかいのにしたり、長襦袢によっては初めから芯がついてるのもあって、
それは衿芯を入れなくてもいいんだなということもわかりました。
今までこうしなくちゃいけないとか、紐を何本も結ばなくちゃいけないとか思ってたのが、
ウソのように解き放されました。
T.Mさん
私は着付け教室も行かず、自宅で本を見ながらやってたんですけども、
今回先生からコツを教わって、本を見ながらやってたときと紐の本数が
3本ぐらい少ないんですけども、なのに、襟元がきちんと、
ピッとしてるのが、やっぱりコツがあったんだなと思いました。
もうひとつ、家にあった古い布をほどいてみたんですね。
接ぎをしてあったんですけど解いてみたら、
今だったら捨ててしまいそうなホントに薄くなった布を2枚も3枚も重ねて接いであったので、
昔の人は布を大事にしてたんだなと思いました。
今まではそういうのを見ても、汚いなあとかぐらいにしか思わなかったんですが、
先生のお話をうかがって、布を織るとか大事にするというのは
こういうことなのかなと見るようになりました。
I.Tさん
過去に無料で着付けのお稽古に行って高い着物を買わされたり、
知り合いの方が自宅に来てくださったりしたんですけども…。
やはりあなたの肩は両方でぎくしゃくしてるから、こっちの肩にはタオルを入れて、
こっちはどうのこうのとすごく面倒くさくって、
着物を着て外に出れるということは想像もつかなかったです。
この紬塾で初めて、今日はなにがなんでも着物を着てこようと思って、
今回はコートと襟巻があるからなんとかなるかなと思って、
とにかく今日が第1歩でした。
これからは自分らしさ、Iさんらしい着方ねといわれるような、
そういう着方が自分の身につけられるように
何回も何回も外に着て出るようにしようかなと思っています。
(中略)
紬塾で講義を聞いた日の夜からそのあとの何日間はずうっと胸が騒いでるんですね。
その胸の騒ぎって、母を思い出す胸の騒ぎであるとかいろんなことがあるんです。
そういう機会を持たせていただいてありがとうございました。
最後の締めくくりとしてH.N さんに煎茶を点てていただきました。
3月上旬の更新で第2期の紬塾のお知らせをいたします。
中野みどりのHP