こないだ図書館に行きまして、いつもの通り真っ先に村上春樹さんの棚に向かったら、だいぶ前に一度借りたエッセイ「走ることについて~」がありました。
つい、また手に取ってしまった。
いや、村上さんの本ってある方がめずらしいから、あったらとりあえず手にとってみるんですが。もうねじまき鳥はいいやと思うけど!(←すっごく長いから)
で、またつい借りてきてしまった。
制限冊数限界まで借りて(他はほとんどお菓子の本)、持っていったぺらいトートバッグじゃ不安になるくらい重くなってしまって、抱きかかえるようにしてバス乗るはめになったけど…。
でもまた読めてよかった。やっぱりこれすごくおもしろい。手元に絶対置きたい…。
…ブックオフ行ったら探さねば…(めったにないんだけど)。
読みながら気づいた。私、村上さんのエッセイ読むとき、マンガ読む時くらいくすくす笑ったりしてる…。笑える描写が連続してるとかそういうわけでは全然ないのに。
…多分、普通に誰かの話を聞いてる感じなんだろう。
人と会話してたら、それがめちゃおもろいこととかじゃなくても普通に相槌打ったり、普通にちょっと笑ったりとかして聞くことはある。そういう感じにめっちゃ似てる。
エッセイって今まで色々読んだけど、そんな風になることなんてなかった。
…改めて、自分がどれだけ村上さんに影響を受けているのか気づく。
なんの準備もしなくても、全然意識しなくても、あの人の書く言葉にすっと寄っていくことが自然に出来る。本に書かれた文字を目で追っているだけなのに、自分の中では…、昔からずっと知ってる「村上春樹さん」が目の前で話すのをじっと…うんうん、そうですよねって聞いてる感じ。
初めてちゃんと読んだ小説が、「羊をめぐる冒険」だった。
…思えば私は、本が好きだって自分で思っていたし、周りにもそう言われていたけど、…中学生くらいの時に(残念ながらちゃんと覚えてない…)我が家にあったこの本を読むまでは、「小説」なんてまともに読んだことがなかった。国語の教科書で見るくらいだった。じゃあ何を読んでいたのかというと、今でも2冊だけ手元に残っている「世界の名作図書館」というシリーズを繰り返し読んでいた。日本の昔話みたいなのもあったけどそれはほとんど読まずに、グリム童話とか、小公女とか、…赤毛のアン、フランダースの犬、ハイジ、若草物語を繰り返し読み返してた。手元にある2冊には後ろの4つが載っている。確か全部で30冊以上はあって、ほとんどは田舎に送ってしまったけど、2冊はどうしても忘れられなくて返してもらったんだった…。
母が、お友達から借りていた「羊」の本。カバーがなくて、どんな本かは全くわからなかった。だけど「冒険」というタイトルにひかれ、よくわからないけど「羊」なんだからそんな凶悪な物語ではないんだろうなと思って、手に取った。…初めのうちは「これは私が読んでいい話なんだろうか」とドキドキしながら読んでたと思う。意味のわからない箇所も多かったけど、なんとか読みきって……それから村上さんの本を探して読むようになった。もちろんこれは「つくりごと」のお話だとわかっていたけれど、どのお話に出てくる「主人公」も皆、空気が似ていて(三部作は実際同じ人なんだっけか)…しかもいつも一人称の視点だし、混乱しつつも「これはもしや村上さんの話なんだろうか」とか思ってた気がする。
…そうだ、そうだ。
物語の主人公が「僕が」と言う度に、私は村上春樹さんの話を聞いている気持ちになっていた。「僕」と村上さんを重ねて見ていた。物語が進むにつれて主人公の気持ちに寄り添えるようになっていく。…その時私は、村上さんの気持ちに寄り添っている気分でもあったんだ。
いくつも本を読んで…これはそれぞれ別のお話で、主人公達も似てるけど違う人で、もちろん村上さん自身の話じゃなくて…とはっきり意識した後も、その感覚はうっすら残っていた。今でも残っている。
…そうか、そうか。私はずっと、読む時には…村上さんの話を、声を聞いていたんだ。誰のエッセイよりも、声が「聴こえる」理由はそれだったんだ。
全く知らない人なのに、すごく身近に感じる理由もそれだったんだな。
つい、また手に取ってしまった。
いや、村上さんの本ってある方がめずらしいから、あったらとりあえず手にとってみるんですが。もうねじまき鳥はいいやと思うけど!(←すっごく長いから)
で、またつい借りてきてしまった。
制限冊数限界まで借りて(他はほとんどお菓子の本)、持っていったぺらいトートバッグじゃ不安になるくらい重くなってしまって、抱きかかえるようにしてバス乗るはめになったけど…。
でもまた読めてよかった。やっぱりこれすごくおもしろい。手元に絶対置きたい…。
…ブックオフ行ったら探さねば…(めったにないんだけど)。
読みながら気づいた。私、村上さんのエッセイ読むとき、マンガ読む時くらいくすくす笑ったりしてる…。笑える描写が連続してるとかそういうわけでは全然ないのに。
…多分、普通に誰かの話を聞いてる感じなんだろう。
人と会話してたら、それがめちゃおもろいこととかじゃなくても普通に相槌打ったり、普通にちょっと笑ったりとかして聞くことはある。そういう感じにめっちゃ似てる。
エッセイって今まで色々読んだけど、そんな風になることなんてなかった。
…改めて、自分がどれだけ村上さんに影響を受けているのか気づく。
なんの準備もしなくても、全然意識しなくても、あの人の書く言葉にすっと寄っていくことが自然に出来る。本に書かれた文字を目で追っているだけなのに、自分の中では…、昔からずっと知ってる「村上春樹さん」が目の前で話すのをじっと…うんうん、そうですよねって聞いてる感じ。
初めてちゃんと読んだ小説が、「羊をめぐる冒険」だった。
…思えば私は、本が好きだって自分で思っていたし、周りにもそう言われていたけど、…中学生くらいの時に(残念ながらちゃんと覚えてない…)我が家にあったこの本を読むまでは、「小説」なんてまともに読んだことがなかった。国語の教科書で見るくらいだった。じゃあ何を読んでいたのかというと、今でも2冊だけ手元に残っている「世界の名作図書館」というシリーズを繰り返し読んでいた。日本の昔話みたいなのもあったけどそれはほとんど読まずに、グリム童話とか、小公女とか、…赤毛のアン、フランダースの犬、ハイジ、若草物語を繰り返し読み返してた。手元にある2冊には後ろの4つが載っている。確か全部で30冊以上はあって、ほとんどは田舎に送ってしまったけど、2冊はどうしても忘れられなくて返してもらったんだった…。
母が、お友達から借りていた「羊」の本。カバーがなくて、どんな本かは全くわからなかった。だけど「冒険」というタイトルにひかれ、よくわからないけど「羊」なんだからそんな凶悪な物語ではないんだろうなと思って、手に取った。…初めのうちは「これは私が読んでいい話なんだろうか」とドキドキしながら読んでたと思う。意味のわからない箇所も多かったけど、なんとか読みきって……それから村上さんの本を探して読むようになった。もちろんこれは「つくりごと」のお話だとわかっていたけれど、どのお話に出てくる「主人公」も皆、空気が似ていて(三部作は実際同じ人なんだっけか)…しかもいつも一人称の視点だし、混乱しつつも「これはもしや村上さんの話なんだろうか」とか思ってた気がする。
…そうだ、そうだ。
物語の主人公が「僕が」と言う度に、私は村上春樹さんの話を聞いている気持ちになっていた。「僕」と村上さんを重ねて見ていた。物語が進むにつれて主人公の気持ちに寄り添えるようになっていく。…その時私は、村上さんの気持ちに寄り添っている気分でもあったんだ。
いくつも本を読んで…これはそれぞれ別のお話で、主人公達も似てるけど違う人で、もちろん村上さん自身の話じゃなくて…とはっきり意識した後も、その感覚はうっすら残っていた。今でも残っている。
…そうか、そうか。私はずっと、読む時には…村上さんの話を、声を聞いていたんだ。誰のエッセイよりも、声が「聴こえる」理由はそれだったんだ。
全く知らない人なのに、すごく身近に感じる理由もそれだったんだな。