夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

歴史研究者と歴史家・・♪   《初出2006.6.13.》

2008-04-30 21:21:35 | 読書、小説・随筆
ここ数日、色々と考え込んだことがあった。

今月の『文藝春秋』の中で、
作家の塩野七生・女史が『日本人へ』を連載しているが、
今月は『歴史事実と歴史認識』のタイトルで綴られている。

この中で、アジア歴史資料センター長をしている歴史学者の石井米雄・氏の
インタビューでの発言を紹介している。


【最近、「歴史認識」という言葉が跋扈(ぼっこ)していますが、これは要注意です。
例えば、韓国人と日本人が同じ歴史認識を共有できるわけがありません。
しかし、「歴史事実」は共有できる。
アーカイブ(資料館)の意味と価値は、まさにそこにあるのです。

また、歴史ぐらい政治に利用されたものはありません。
現在の中国・韓国を見ても、それは一目瞭然です。
日本は戦争期、「鬼畜米英」というスローガンで戦いました。
歴史認識はきわめて政治的でイデロジカルなものであり、
そのような状態で「歴史認識」を共有するということは不可能です。
被害者と加害者の共通認識は、ありえないことだからです。

日本人は、「事実」と「認識」を、厳密に考える時期に来ていると思います。
アジア歴史資料センターは、「歴史認識」を行うところでなく、
「歴史事実」を確認するところなのです。】

その後、塩野七生・女史の綴りに寄ると、
【歴史が「事実」を連ねるだけで書けるのならば歴史研究家で充分だが、
その事実をどう認識するかも重要だから、昔から歴史家が存在してのである。】


以上、無断引用をさせて頂きました。

これほど明晰に歴史について名言、明記したお2人に、
私の拙(つたな)い知識に於いて、初めてである。

ともすれば、その日の心次第で、ぐらつき私は恥じている。
齢を重ねた今、改めてこのお2人から、ご教示を頂いている。




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