ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

ソウルにて

2013-09-05 06:55:07 | 生活

火曜日から韓国ソウルに来ている。CJK5G workshopという会議で、中国、日本、韓国の研究者が集まって第5世代の移動通信を議論する会議である。第5世代がどういうものになるかはまだ誰もイメージを持っていないので実態は移動通信がどう発展していくか、という議論である。昔の知り合いが集まっていて楽しいワークショップである

昨夜は、ホストである韓国の人と、中国、台湾の人と一緒に飲みに行った。そこで学校で使う地図の話題が出て、私にとっては印象的だったので紹介しておこう。日本地図では尖閣列島や竹島に加えて北方4島も日本のことになっているのは、日本人なら良く知っていることである。韓国では、北朝鮮も韓国のことになっているそうである。中国は台湾を中国のことにしている。一番すごいのは台湾で中国本土、更にモンゴルも中国のことにしているそうである。

蒋介石が台湾に移ったときにモンゴルはまだ中国領だった。それでモンゴルも台湾の一部にしているらしい。中国で毛沢東が統一したときにはモンゴルは既に独立していたので中国はモンゴルを加えていない。世界の電波管理上はモンゴルはアジアではなく、ヨーロッパ地域になっているらしい。それはこれを決めた時期にはソビエトの圧力が強く、実質的のソビエトの影響を受けていたからだという。

日本の国境紛争に比べるとはるかに大きなものを各国は抱えている。対応力に違いが出るのもここから来ているのか、と思った。

もう一つ、中国の面白い話を聞いた。中国では今、20年物の古酒などの超高級酒の価格が大幅に下がっており、まだ下がる続けているとのことである。これは習近平国家主席の汚職撲滅キャンペーンの影響で高級官僚、共産党の幹部などが贈り物を受け取ることを禁止されているだけでなく、買うことも禁止になっているかららしい。この状態はかなり続くと見て、ため込んでいた業者が損切りをしてでも売りに出しているからだという。

こういう機会があると、色々な話が聞けて面白いし、各国への理解も深まる気がする。

 

 


ノキアの携帯電話事業を振り返る

2013-09-04 13:17:34 | 経済

アメリカのマイクロソフトがフィンランドのノキアの携帯電話部門を買収すると発表した。ノキアと言えば携帯電話端末の会社というイメージがあるが、NSNというネットワーク機器の部門もある。NSNはNokia Siemens Networksという名前でノキアとシーメンスの合弁会社だったのをノキアがシーメンス株を買い取ってNSN (Nokia Solutions and Networks)に改名したばかりである。今後ノキアはネットワーク機器の会社となるのだろう。

ノキアはテレビなどを作っている家電機器の会社だったが1990年頃にヨルマ・オリラCEOが携帯電話の将来性を見込んでデジタル携帯電話に集中投資して世界第1の携帯電話端末の会社となった。2000年から2006年くらいまでは世界の30%から40%の市場シェアを持っていた。

2006年にCEOがオリペッカ・カラスボに代わりインターネットサービスを重視し始めた。この頃からノキアの停滞が始まったと思う。2007年にiPhoneが発売されAndroidが発表されてノキアの苦戦は明確な物になった。他の端末ベンダが一斉にAndroid採用に走る中、ノキアは独自路線を貫き、シェアはどんどん低下、業績は急速に悪化した。2010年、ノキアの取締役会はカラスボCEOを退任させ、マイクロソフトからステファン・エロップCEOを迎え入れ、OSとしてWindows Phoneを採用したが、業績は上向かず、今回のマイクロソフトに買収されるに至った。

ノキアがなぜAndroidを嫌ったのかは私にとっては謎であるが、ヨーロッパの政財界のモバイル分野がGoogleに支配されることを嫌った圧力があったのではないかと想像している。マイクロソフトに買収されればヨーロッパから見れば大差ないように思うのでその作戦は失敗したということだろう。

業績が悪化したとはいえ、端末の販売台数では現在でもAppleより多く、世界2位である。これはスマートフォンでは無いフィーチャーフォンで強いからである。ノキアの強さはしっかりした無線技術に支えられた工場の生産管理と製品の品質管理にあると私は思っている。無線技術はQualcommから買うことになるので重要度は下がってくるのかもしれないが、品質管理は重要である。マイクロソフトがハードウェアの品質管理力を維持できるのかどうか、疑問がある。

ノキアのカラスボCEOはノキアをダメにしたCEOという烙印を押されるのだろうが、インターネットサービスの重要性は理解していたし、シンビアンOSに続いてLinuxを使ったMeegoなども開発していた。それがあっさりとiOSとAndroidに抜かれてしまったのはなぜだろうと思う。私から見てもノキアのインターネットサービスはさえない感じがしていた。やはりシリコンバレーの肌感覚が無いと、こういう分野は難しいのか、と思ってしまう。

マイクロソフトに変わってスマートフォンはある程度挽回すると思っているが、新興国での端末でどこまで強さを発揮できるか、ノキアが持っていたシンプルだが安心して使えるという特徴をうまく出して行けるのかに今後のマイクロソフトの端末ビジネスはかかっているように思う。


シリアへの軍事行動をイギリス議会が拒否

2013-09-01 12:06:09 | 社会

シリア政権の化学兵器使用に対してアメリカ・イギリス・フランスが軍事行動を本気で考え始めて事態は緊迫している。一時はすぐにでも空爆という雰囲気だったが、イギリス議会が否定したということで今は微妙な状況になってきている。

イギリス議会で議論があり、軍事行動が否定され、キャメロン首相が軍事行動をあきらめる声明を発表した一連の動きに対して、私は日本の国会との大きな違いを感じている。イギリスは日本と同じ議院内閣制で、議会での多数派から首相が任命される。キャメロン首相は与党のトップであり、その与党のトップが力説した行動が議会で否決され、首相が「国民が望んでいないと判断するので軍事行動は行わない」、という声明を出した点が日本ではあり得ない話のように感じるのである。

詳しいことは分からないのだが、与党保守党は与党としての決定を下し党議拘束をかけることをせずに議員個人の判断に任せたということだと想像される。そうでなくてはこの一連の動きは理解できない。野党労働党の党首は反対意見を表明していたので、大きな枠組みで与党は賛成、野党は反対という動きはあったのだろうが、与党から造反議員が出たから処罰するというような話は出ていない。

これが日本だったらどうだろうか、安倍総理が決めれば自民党は無条件に賛成、野党は無条件に反対、公明党がどうするか迷う、ということで議員個人の判断が入るとはとても思えない。日本だと採決する前に結果が分かるということになるだろう。

イギリスでは党の意見と議員個人の意見はどこで分かれているのだろうか、と思う。想像だが、マニフェストにあることは基本的に等の意見に従う。突発的な出来事に対しては個人の意見で判断する、というような分類になっているのではないだろうか。日本では何でも党の決めた通りに投票し、従わないのは自分に利害のある話、というような分かれ方になっているような気がする。

日本の国会議員個人個人がシリア問題に対して日本はどう対応すべきかしっかりした意見を持っているとは思えない、という私の見方はあまりに日本の議員を信用していなすぎるだろうか?

ちなみに私個人の意見は反アサドで軍事介入すべきだと思っているし、もっと早く軍事介入すべきだったと思っている。