2人に1人、普通の人がIQ100。10人に1人、東大クラスがIQ120。2300人に1人、天才級となるとIQ150。2000万人に1人、万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチがIQ180。ところがどっこい、太田三砂貴(オオタミサキ)君はなんとIQ188。5億人に1人、アインシュタインに比肩するという。埼玉出身、東京在住、紛れもない日本人、当年とって24歳、男性。今月11日TBS『1番だけが知っている』で、才媛1番(元MENSA日本人女性第1号)である中野信子先生が紹介した“知っているIQ1番”として登場した。
自身IQ146の中野先生が太田君と出会ったのは8年前のJAPAN MENSA。次元が違うその天才に驚愕したという。16歳、高三の時に最年少でMENSA合格・入会。どころか、さらに上位のOlymp IQ Societyにも入会が認められた。MENSAメンバーが数ヶ月かかる問題を彼は数週間、独力で解くレベルだと中野先生は話す。以下、その天才ぶりを番組内容に沿って挙げる。
──4歳でバイオハザード(TVゲームのひとつ)を全クリア/5歳までに国旗や星座、電車など丸暗記できた/小さい頃から作品を見るとその人の知能指数が大体わかった/幼稚園児の時、世の中の美しいものは均等が取れていることに気づき「1:1:1.618」という美の黄金比を見ただけで感じ取ることができた/3か月で英語をマスター/誰にも習ったことがないのにピアノが弾けた/感性だけで画法が分からなくても描ける/16歳にして独学で交響曲を作曲できた/ブレーズ・パスカルの哲学書「パンセ」を常に持ち歩いている/自然が教科書だといい、さまざまな学びを得ている
ところが、IQ188ゆえの苦しみがあった。
【時間が解らない】小5のころ、時間のイメージが全く解らず時間とは一体何なのかというそもそもの疑問にぶつかった。そんな折、母親と行ったプラネタリウムで衝撃を受ける。そこではアインシュタインの特殊相対性理論と一般相対性理論について解説がされていて、それを見た太田少年は「こんな解釈が世の中に存在するのか!」と身震いするほど感動。相対性理論を理解し、「時間」の意味をつかんだ。
【異常な感性】他の子どもたちとなかなか馴染めなかった。感受性が高すぎて、友達が遊んでいる姿を見るだけで「平和で美しい」と自然に涙が出てきた。
【文字で気持ち悪くなる】中学で高校生レベルの数学を全て理解していた。高校生の時には独学で大学レベルの物理を勉強。しかし一方、文字が読めないという問題も抱えていた。例えば品川の「品」が立体的に映り、気持ちが悪くなる。
【歪な形が苦手】いびつな形には違和感や気味の悪さを感じ、生理的に受け付けない。
など、常人とは異質ゆえにさまざまな苦悩を背負ってきた。──
両親はいたってフツー。トラック運転手の父と専業主婦の母、2人とも高卒。兄弟3人。彼以外は並の学力。遊ぶのが子どもの仕事だと、勉強を強いることはなかったそうだ。高校を卒業し大学を希望したが、手に職をつけるのが肝心だという親の意向でプログラミングの専門学校へ進んだ。成績トップで、4年のカリキュラムを1年でマスター。学ぶ必要に疑問を抱き、1年で中退。大手IT企業に就職したものの、高卒のため回されたのはコールセンター。学歴社会に嫌気が差し渡米。またも学歴の壁に阻まれ、敢え無く帰国。今、地方の公立大学目指し受験勉強中である。
『東大王』なぞは跣で逃げる異次元の頭脳。それがなぜ東大ではないのか? 中野先生は「今の彼は東大に受かる学力とは程遠いんです。これがIQを語る上でのジレンマで、IQが高いイコール勉強ができるというわけではないんです。今の受験は記憶力が高ければ受かるというシステムで、真に頭がいいから受かるとはいかないんです」と説明する。
一見どこにでもいそうな今風のイケメン。物腰優しく、ギラついた印象はまったくない。そんな彼の脳を中野先生が脳科学者の立場から解析を試みるそうだ。今度の放送に併せて撮ったスキャン画像を見たところでは、アインシュタインと同じく空間認知能力を司る部分が際立って優れているらしい。今後詳しく調べるという。専門家ならずとも、日本史上初、世界十指に入るIQ188には興味が尽きない。
乱世なら彼の半生は変わっていたにちがいない。平時の学歴社会がIQ188の飛躍を阻んだ。それが哀しい。
よくスペルを間違え、簡単な数字や記号を記憶するのが苦手だったアインシュタイン。インタビューで光速度の数値を答えられず記者から揶揄されると、「本やノートに書いてあることをどうして憶えておかなければならないのかね?」と切り返したエピソードは有名だ。かつてスイスの名門工科大学を受験した折、総合点が合格ラインに届かず失敗。しかし同校の校長は彼の数学と物理の点数が最高ランクだったことに注目し、迂回路を用意して翌年の入学に道を開いてくれた。これがアインシュタインのブレークスルーにつながった。ここだ!
天才が哀しみの裡に世に隠れるか、それとも顕れるか。花が咲くか萎むか。そこには天佑ともいうべきメンターの存在がある。ひょっとしたらこの絶世のIQ188にとって中野信子先生がそうであるかもしれないし、そうであれと望みたい。少なくとも彼を世に押し出したのは中野先生だ。
平成の突然変異。平成が生んだIQ188。やれAIだそれAIだという世の中だが、歪な形で薄気味悪くなるAIなんかいない。「品」を立体で認識し嗚咽するAIなんぞどこにある? あったら連れて来いだ。人類の飛躍は常に浮き世離れした天才の頭脳が担ってきた。常識を引っ剝がすのは現し世から家出した異界のオツムだ。この超現実的オツムには東大王は疎か、AIだって跣で逃げる。AIへのふたつとないアンチテーゼか、カウンターパンチか。IQ188よ、哀しみを超えよとひたすらに祈る。 □