初日の28kmは体に大きなダメージを残した。原因は平地の長距離を歩くことに対してあまりにも無知であったことにある。
私の登山は縦走が基本である。日帰りであってもピストンが嫌いで出来れば向こうへ抜けたい・・,軽装備が嫌いでしっかり装備を整えて出来ることなら何日でも幕営したい・・,そのスタイルをそのまま平地の長距離歩行に持ち込んだことが失敗の元である。
山中3泊以上の縦走登山の場合,20~25kgを担ぐのは普通のことで、パーティーによっては30kgにおよぶこともある。だから『生活しながら歩く』と言うことを重視する意味から20kgまでなら大丈夫だろうと軽い気持ちで大型ザックに、テント,シュラフ,コッフェル,コンロ,ガスカートリッジ等の生活用具を詰め込んだ。
悪いことに集団で行動することが多いので1~2人用の用具を持っていない。あらゆるものが3~4人かそれ以上に対応できる大きさであるから、これに食料と衣類を加えればたちまち20kgになる。
それが登山ならどうと言うことはない重さであるのは1歩1歩のペースが平地の3分の1以下だからなのだ。そのことが計算に入っていなかった。
空身であれば人はおそらく時速5kmで歩くことが出来るだろう。軽いデイパックでも4kmで歩ける。そして20kg近い大型ザックの私は、計算では前半を時速3.5kmで歩いていた。
20kmや30kmの距離を歩いたことは何度もあるが、重装備での長距離歩行はまったく経験のない初体験だった私には、荷物とペースの関係が全然分かっていなかった。つまり平地の歩きに関してはど素人だったのだ。
そのツケが右足のふくらはぎに来た。肉離れのような痛さだった。それをかばううちに左足の足裏に肉刺が出来た。肉刺は『蹴り』の力が加わる足指のつけ根の広範囲に出来、我慢して歩いているうちに血豆となった。足指のつけ根をかばうことによって足裏の後ろ側にも肉刺が出来、左足が痛くなると右足に負担がかかり始めて右にも肉刺が出来た。ふくらはぎの痛さは消えたが足裏の痛さが歩きにくさが手伝って後半はガクンとペースが落ちた。
早いペースは肩にも負担をかける。加重と締めつけだけでなく、こすれて肩の皮膚を破ってしまった。ゆっくり歩く時にはあり得ないことだがペースが速いとザックが揺れて肩の皮膚に摩擦が加わるのだ。
2日目以降を歩き続けるなら荷物を減らして立て直すしかなかった。そこで電車に乗って糸魚川市役所に停めてある車に戻り、市振の関まで移動して荷をつくり直した。即ちテントと余分な衣類,予備のガスや必要以上の食料を除いて10kg以下にする。
車を持って来たので幕営の必要がなくなり、結果的として初日に担いだ荷物は何の役にも立たなかったことになる。
考えたら分かりそうなものだが,やって見たからこそ分かったことである。そこが素人たる所以だが、無駄になった大荷物には感謝している。
コースタイム&里程
明科4:30⇒6:20糸魚川市役所P・朝食7:20⇒(3.2)⇒8:10姫川東詰8:17⇒(5.5)⇒10:27第1トンネル出口⇒(4.1)⇒10:57駒返しトンネル出口11:10⇒(1.2)⇒11:30道駅親不知12:00⇒(3.7)⇒13:15天険パーク13:30⇒(3.9)⇒15:00市振漁港15:35⇒(6.3)⇒17:45越中宮崎駅18:49⇒19:50糸魚川市役所20:00⇒20:50市振の関・泊
歩行距離27.8km 歩行時間7時間49分 平均時速約3.5km/h