遊びと学び,創造の基地・山のあしおと小学校

冒険,遊び,仕事,学習,生活全般を学ぶ、子ども達のための私設小学校

闇と光と生き物と

2012-07-30 20:17:48 | 森のくらしの郷&ぐるったネット

 ボンファイアー/集う


大町温泉郷の宿泊客対象の親子ナイトハイキング
  ~初めての試みに 5家族15名の親子が参加~

 第1部 ナイトトラップ

 ナイトトラップにはカナブンとザトウムシ
 東屋の柱にはカマドウマ
 初めて見た~と言う子ども達



 第2部 明かりのない林を歩く

 闇に潜む生き物たちの息遣い
 乾いた空気の匂い
 足裏にふかふかの落ち葉や木の根っこ
 ちょっとした窪みや石ころさえもが 
 色んなことを語りかけて来る
 そんな感じ

 すがりつく子らの
 汗ばんだ手
 暗闇の中でこそ
 自然を畏怖し
 他人を頼り 
 謙虚な己を見出す



 迎え火/


 第3部 鹿島川の河原にて

 林を抜けて河原に降りる
 白樺の皮を燃やして火を見つめ
 それぞれの1日に思いを馳せる。
 中州にファイアーの炎が上がると
 誰もが火の傍に集まり 輪ができる。
 黙っていても通い合うものがある・・
 そんなひととき。

 闇は人々をつなぎ 心を開かせる
 火は心を惹きつけ 心をつなぐ

植物の名前考~1 ママコノシリヌグイ

2012-07-29 01:38:37 | 花・植物・自然界

 ママコノシリヌグイ(タデ科イヌタデ属)~似た仲間はミゾソバ,ウナギツカミ,イシミカワ等。 

 植物の名前考~1 ママコノシリヌグイ 

 ママコノシリヌグイは他の草などに寄りかかりながらに細くて長い蔓性の茎を延ばし、盛んに分岐して薮を形成する。柄のある三角形の葉が互生する。5~10月頃,枝の先に米粒ほどの小さな花が10個ほど集まって咲く。花は基部が白で先端はピンク。ミゾソバの花に酷似する。
 最大の特徴は枝の稜に沿って下向きに鋭い棘が並んでいること。この棘は葉柄と葉の裏にもあり、引き抜こうとして引っ張ると下向きの刺が刺さってかなり痛い。この特徴から『刺ソバ』の別名がある。
 同じような刺をもつものにウナギツカミやイシミカワがあり、これら3種は兄弟と言えるほどよく似ている他、秋に赤い花をつけ、子どものまま事遊びにも使われるミゾソバも刺はないが同じタデ科イヌタデ属の仲間。
 我が農園にも毎年大量に繁茂し、引き抜くのに苦労させられている。よく見ると同属のアキノウナギツカミもあったが写真を撮り損なった。

 この『ママコノシリヌグイ』についてネットや図鑑で調べると『ずいぶん酷い名前をつけたものだ』とか『即刻改名すべきだ』等と批判的なものが多いが、自分は植物の名前の中でも最高傑作ではないか思っている。


 『ママコノシリヌグイ』とはショッキングな命名であるが、初めてこの名前を知った時にはその名の意味するところよりも、発想の奇抜さに度肝を抜かれ、常人にはちょっと考えつかないそのような名前をつけたのは一体誰で、どこからその発想が出て来たのだろう・・? と言う興味と疑問が湧いた。
 3兄弟の1つであるウナギツカミの場合,刺のある茎や葉でウナギを掴めばうまく掴めるのではなかろうか・・,と言う発想は奇抜でも不自然でもなく、いかにも誰かが考えつきそうな名である。
 ※イシミカワの名の由来は全く不明
 だが、鋭い刺のあるこの草で継子の尻を拭おう等と発想する者はそうそういない。
 
 たしかにこれで子どもの尻を拭いたらそれこそ血だらけになるに違いない。そう言う恐ろしげな名前であるにもかかわらず、自分にはその語の響きに残忍さや陰湿さが感じられない。それどころか、本来なら避けるべき名前を植物の公式名にすること自体におおおらかさと言うかユーモアを感じて思わず笑ってしまった。難しくて堅苦しそうな学問の世界とのアンバランスが可笑しかったのだ。 
 仮に誰か特定の人が命名したのだとすると、その人はかなり自由な考え方ができる人だと思うが、そう言う人が生真面目で融通の利かなさそうな学者先生達の中に果たしているものだろうか・・。


 ここまで考えてきて、もしかするとこれは誰か特定の人の命名ではなく、昔から人々の間でそう呼ばれていたものを追認したものなのかも知れないと思うようになった。
 そこで、昔から人々の間でママコノシリヌグイと呼ばれていたと仮定して・・・,

 そのような恐ろしげな名を思いついた人は、果たして継子いじめの当事者である継父・継母その人だったのだろうか・・!? と言うと自分にはそうは思えない。
 これを名づけた人は、継子いじめのむごたらしさを現すものとして、刺だらけのこの草で赤子の尻を拭くようなものだと表現したのではないかと思えるのだ。




 この草の名前が仲間内で話題になったある時、ある50代くらいの女性が『赤子の尻は拭けないが、義母の尻なら拭いてやりたい』と言ったことがあった。ギョッとしてふり返るとその人は慌てて『冗談です!』と打ち消したが、その顔は泣き出しそうに歪んでいた。
 その女性が『ママコ』を『ギボ』に置き換えた途端に『~ノシリヌグイ』が一気に現実味を帯びたのを生々しく覚えている。

 これに比べると『ママコノシリヌグイ』にはそのような現実感がない。つまりそれは、実際に行われることではないが、「刺だらけのこの草で嬰児の尻を拭くような惨いこと」なのだとそれを戒める意味で名づけられたものだからではないだろうか。
 シンデレラの話しを引き出すまでもなく、信州・池田町には継子の足を持って逆さに吊るし、すり鉢のような谷底に落としたと言う『継子落とし』伝説を持つ奇勝があり、洋の東西を問わず継子いじめは古くからの深刻なテーマである。嫁姑の問題もしかり。

 時として人の心には魔が巣食う。魔を宿してしまった心はいがみ合い憎しみ合うこともしばしばであり、それは誰にも起こり得る。
 『ママコノシリヌグイ』は逆説的にそれを戒めるに格好の素材としてその名を冠したのではないか・・,と言うのが自分の到達した結論・解釈であり、植物の名前の中で最高傑作ではないかと思う所以である。




 最後にこの草の名を詠んだ歌をと思って探したが、さすがに見つからなかった。

 いや,あった


 現代歌人ファイルその155・やすたけまり
 http://d.hatena.ne.jp/yamawata/20110921/1316612912

 根もとから一センチにはトゲがないママコノシリヌグイこわくない



 すごい観察力,そして柔らかな肯定的感性に共感!

梅干し

2012-07-26 21:29:07 | 暮らし

 熟した梅10kg/10kgの梅に対して20kgの重石


 よく熟した梅10kgを頂き、さっそく梅干しの準備開始。と言っても本来は水につけてアク抜きした後で1つ1つ蔕を取り除くべきところ、忙しいのでざっと洗ってざるで干しただけですぐに漬け込む。
 容器に梅を並べて塩を振り、その上にまた梅を並べて塩を振り~を繰り返し、最後に残った塩を全部振りかけて重石をする。


 2日で梅酢が上がった


 昨年は塩を7%にして梅酢はすぐに上がったが、その後油断して梅酢を濁らせてしまった。今年は更に塩を減らして5%(梅10kgに対して塩500g)に挑戦。重石を強くする(20kg)とすぐに梅酢が上がるが、そこで安心してはいけないことを思い知らされたので、押し(5kg程度)をかけ続ける間に濁りが出そうになったら梅酢ともどもジップロックに入れて冷蔵庫で保存するつもりだ。


 紫蘇を漬ける


 2種類の紫蘇/6%の塩の半量で強く揉む


 紫蘇には裏表ともに紫色の紫蘇の他に表が紫で裏が鮮やかな緑色のものがある。前者は色を出すのによく、後者は香りづけにいいと言われる。



 1回目の灰汁は捨てる/残りの塩でもう一度強く揉む


 紫蘇1.2kgに対して6%の塩の半量を振りかけて強く揉む。 ビニール袋に入れて足で踏むくらい強く揉むと黒い灰汁が出る。



 この灰汁は柴漬けに利用した/鮮やかな紫の汁



 固く絞ってこの灰汁を捨て、残りの塩で再び強く揉み、この灰汁も捨てて硬く絞り梅が充分に漬け上がるまで冷蔵保存する。2番目の灰汁は芝漬けに利用した。



 冷蔵庫で保存/梅の漬けあがりを待つ


 固く絞って冷蔵庫へ/梅が完全に漬かったら紫蘇を入れるが、それはしばらく先。

ナスタチウム~食べる花

2012-07-24 18:48:53 | あまってら農園

 ナスタチウムの花を使った料理の一例~松本市内の某レストランで・・。


 ナスタチウム(金蓮花)
 ペルー,コロンビア,ブラジル原産の一年生蔓性植物。属名のトロパエオルムはギリシャ語のtropaion "トロフィー"という意味で、下の写真のように葉を盾、花をヘルメットに見立てている。
 原産地の住民が葉をクレッス(仏語でクレソン)のよう​に食用にしていたのでインディアンクレッスという名をつけられた。



 17品目サラダ~バナナ以外は全部自前/アナゴチラシ寿司


 茎はやや肉質で軟弱。長い葉柄があって葉は径10cmくらいの円形,ハスの葉状に似る。夏から秋にかけて葉腋から出る長い花梗上に濃紅,明るい赤,橙,黄色の花をつ​ける。

 ナスタチウムの花や葉にはさわやかな辛味があり、サラダやサンドイッチなどに利用される。
 蕾や花,未熟の果実はサラダにしたり、ピクスルにしてケーパー(ブラックオリーブ)のようにそのまま食べたるか,或いはスパイス的にソースや料理の香りづけにしてもよい。
 ビタミンCや鉄分などが多く含まれ、強壮作用があると言われる。

エイドステーションにて~スペシャライズドデイズ ロングライド

2012-07-23 00:10:23 | 安曇野

 次々と飛び込んでくるライダー達/第7エイドステーション


 『すべてのサイクリストたちへ贈る最高の2日間』がコンセプトのスペシャライズドデイズが21・22日の両日にわたって白馬村を中心に開催された。
 この大会はスペシャライズドのバイクでなくても自由に参加でき、また競技イベントだけでないのが大きな特徴で、家族や気の合う仲間と参加しやすいようファミリーに向けた種目やMTB講習なども行われると言うイベント。



 次々とやって来るライダーさん達 


 自作の畑の野菜を遣ってエイドステーションで出す300人分の食べ物を提供して欲しいと言う要請があり、一度は断ったが地元に住む者の務めと考え直して引き受け、80kmコースのエイドステーションで次々と飛び込んでくるライダーに飲食物を提供,激励した。ライダーが集中する時間帯にはテンテコ舞いだった。



 ピン球いd以下のジャガイモ・・,なかなか使い勝手がいい


 この日のために用意したのは半端モノの小玉ジャガイモを蒸してオリーブオイルで焦げ目をつけたもの。ローズマリ-を効かせて塩だけで味をつけた。
 ピン球大以下の小玉のジャガイモをどう料理するか、色々と人に聞いて見た。茹でて塩かバター,マヨネーズだけでいい,とか、甘辛く煮つける,甘味噌を絡める等の案を頂いたが、共通していたのは皮を剥かず、また切らずにそのまま調理できをのが利点だと言うこと。
 で、茹でると崩れやすいので蒸して油で炒め焦げ目をつけると言う,マンマ・ミーア(出荷先のイタリアンレストラン)のシェフの案でやってみた。
 600個のジャガイモを1つ1つ洗って芽や傷を取り除くのに5時間,蒸すのに4時間,炒めるのにさらに3時間かかって、終わった時には夜が明けていた。



 この3段蒸し器ヶ大活躍した/こんな感じ(重ねて入れてもよかったかも・・)


 もう1品はキュウリの浅漬け。出来れば10品目以上の野菜を遣ったサラダにしたかったが、如何せんベースになる葉物がゼロで断念した。
 数が足りないので地場産の店で150本ほど買って2つに切り、浅漬けの基に漬け込んだが、足りない気がして畑のキュウリをありったけ収穫し、4つ割りにしたものを更に2つまたは3つに切ってこれを粉末の浅漬けの基に漬け込み、塩麹を入れて押しをしてみた。
 結果的にはこれで充分数は足りていてしかもこちらの方が味がよく、買った方は無駄だった。



 ブルーべり-9kg/器に盛ればたったこれだけ~ブルーベリーニハ勝てませぬ


 他には別の方からブルーベリーの提供があり人気はダントツだったが、キュウリも好評だった。
 ジャガイモははじめは敬遠気味だったが、かまわずどんどん押しつけて出しているうちに『これは旨い』と言う声につられて次々と手が伸び、中には12個食べた人もいてほぼ完売だった。

 1人で300人分,600個のジャガイモの料理を提供すると言う体験は初めてのことなので、1個1個丁寧にゴシゴシこするなどして下処理に気を遣い手間をかけたが、出来上がりを見ると下処理にあまり神経を使う必要はなく、大雑把に洗うだけで充分だと感じた。
 蒸した後に油で炒めると皮の表面の傷や汚れなどは気にならなくなる。極端に言えば砂や泥さえ落ちていればいいと言う感じだ。つまりそれこそが小玉のジャガイモの利点なのだろう。

 自分のつくる野菜が結構美味しいと言うこと,つくったも品も悪くないことが分かり,いい体験をさせてもらった。



 17品目サラダ~バナナ以外は全部わが農園の野菜

 本当はこれを出したかった!  来年はイベントに合わせてつくる

実えんどう・うすい & ぶんどう ~ グリーンピースとは何か

2012-07-20 11:04:24 | 山のあしおと小学校

 44粒中,少なくとも14粒は出荷不可。裏返せばさらに増えそう・・


 種苗店で『グリーンピース』を注文すると送られて来るのは『うすい』と言う品種の種で、これを『グリーンピース』と言っているが、『グリーンピース』と書いてはない。それは、グリーンピースと言われているものが品種名ではなく『実えんどう』の若くて青い実をさす,つまり実えんどうの一時期の呼び方だからだ。
 因みにグリーンピースを成熟させた実は青えんどうと言い、ウグイス豆などに使われる。また蜜まめの中に入っている豆は赤えんどうの実だそうだ。

 『うすい』の名の由来は、明治時代にアメリカから入ってきた実えんどうが、大阪府羽曳野市碓井(うすい)で栽培されたことによるようだが、現在ではより栽培に適した和歌山県での栽培が盛んになっているそうだ。

 一方,ぶんどう豆は『ぶんどう』として現在も中・四国地方でつくられているようで、自分が子どもの頃に鞘から実を取りだしたり豆ごはんとして食べたのはこちら。
 その当時はグリーンピース等と言うものの存在を知らなかったが、初めてグリーンピースを見た時には、確かにこれは『グリーン』なピースだと思った。ぶんどうとは明らかに違う、いかにも外国から来た~と言う感じだったことを覚えている。
 ぶんどう豆は少し黄色くなるくらいにまで熟したものを豆ごはんにしていたが、グリーンピースよりやや大き目で実が充実していたように思う。
 ぶんどうの名は大きさがほとんど変わらない粒が10個くらい揃っているので、秤の分銅として使われたことに由来するとか・・。

 ぶんどう豆も外国から入って来たものと思われるが、大阪で『うすい』になった実えんどうが、どういう経緯で中・四国地方の『ぶんどう』になったのか興味深いところで、調べてみようと思っている。

グリーンピース

2012-07-18 07:10:31 | 山のあしおと小学校

 グリーンピース『うすい』/


 大粒で傷のないものを選ぶ。500g分を鞘から出して選ぶのに2時間かかった。


 この地域ではグリーンピースは何故か売れない。茹でて軽く塩を降ったものを盛っておつまみ風に出すと『こんな食べ方は初めてだ』と言われてこっちが驚く。

 グリーンピースはパスタやオムライス等に少量使うのが普通で、大量に食べると言う食習慣がないのかもしれない。市販品を買うからであろうか・・。そう言えば栽培されているのを見かけたことがないし、産直売り場に出荷されたものも見たことがない。






 豆ごはんはだし昆布に酒と塩少々を入れ、たっぷりのグリーンピースと一緒に炊き上げるが、炊きあがったご飯に塩茹でしたグリーンピースを混ぜ込んで蒸らすだけでもよく、その方が色鮮やかに仕上がる。

 本当に作りたいのはグリーンピースではなく、広島地方で『ぶんどう』と言っているグリーンピースによく似た豆で、種が手に入らないので諦めていたが、最近になって広島や四国で今も『ぶんどう豆』がつくられていることが分かったので、来年は手に入れたいと思っている。



 中玉トマトレッドオーレ/黄色いカリフラワー

平ノ小屋へ・2

2012-07-05 10:31:01 | アルプス

 橋が壊れている/壊れていない橋も・・


 8:51橋が壊れた小沢を渡る。水量がなく難なく通過できたが、思えばそれがその先の何十と言う丸太の橋,丸太の階段の始まりで、その多くが壊れている上に雨で滑り、難渋を強いられることになる始まりでもあった。



 見事なブナ林


 なおも続くブナの純林を快ピッチで進み、9:06,やや大きめの沢を渡る。橋の前後には階段があり、どちらも傷んではいないが雨で滑るので慎重になる。



 御山谷を渡る/


 さらに10分進んで大きな沢~御山谷に到達。修復されたと思われる頑丈な橋を渡り長めの階段を登った先の道が崩落し、靴幅1つ分のスタンスと木の根のホールドでここを抜けると、広葉樹林帯仁混じってネズコの大木が見られるようになる。



 雨不利やまず/休憩


 雨は大粒になり上がる気配がなく、ズボンもシャツも雨を吸って寒くなる。気温も低めなのでこの時点で雨具を着るべきだったが『まぁいいだろう』着なかった。



 ネズコの根元には/人が入れるほどの洞があった


 9:41,雨を避けて大きなネズコの根元で休む。根穴があって2人くらいはビバークできそうで、そういう所はチェックしておく。



 振り返るとすぐそこにロッジ/そしてまた沢


 10分休んで出発。樹種が変わってネズコの森になってきた。巨木を見上げた拍子にふり返ると御山谷を挟んだ向こうにロッジくろよんが見えて『えぇぇ・・・!?』と声が上がる。 
 一生懸命距離を稼いだつもりでも、大きな沢の奥まで進んで折り返し、半島の先まで来るとかなり前に通過した場所が入り江を挟んですぐ目の前にあったりするのは下の廊下の水平道と同じ。対岸の道を見て『まだこんな所かよぉ~』とぼやくのもまた同じで少々ガックリ・・。でもまぁ,半分くらいは来ただろうとは楽観に過ぎ、先の方がまだ長かった。



 タニウツギ/瘤ネズコ


 遊歩道は湖面から30mないし40m程の高さをほぼ等高線に沿ってつけられているので、沢があれば入り江状の奥まで進んで渡り、岬,または半島状に突き出した部分ではほぼその先端まで歩かされるが、時には高巻きして短絡する所もあってそれは20mから50m,所によっては標高差120mにおよぶ所もあって決して水平道ではない。
 加えて沢の部分ではほぼ湖面(約1430m)近くにまで下るのでアップダウンにはかなり激しいものがある。御山谷から中の谷に至る御山谷半島の道は1550mまで登らされる完全な山道である。こう言う所では針葉樹が優勢となる。



 ネズコのトンネル


 10:33ネズコの森の中で大きな瘤のある古木を発見。11:02雪渓のある細い沢を通過。11:36複数のネズコが絡み合ってできた複雑怪奇なトンネルを潜る。ふり返って見るその全貌の異様さにはワクワクさせるものがある・・。まさに森の不思議,生命の神秘そのものである。

 続く

 

黒部湖畔遊歩道・平ノ小屋へ

2012-07-03 16:50:56 | アルプス

 黒部ダムから立山連峰を見上げる/森の支配人・トモさんの熱弁に聞き入る(昨年)



 観光放水/


 黒部ダム奥のの原生林に1000年の時を感じるツァーに向けて

 大町市のぐるったネットワークは『黒部ダム奥の原生林に1000年の時を感じるツアー』と称する企画に取り組み、そのガイドのための研修を積み重ねている。
 これまでは主としてダム堰堤から約2kmの通称『御山谷』と言うロッジくろよん近くの展望広場までの湖畔遊歩道沿いに繰り広げられる赤ちゃんの森から1000年を越える森への変遷の『物語り』を構築すべく研修を重ねてきた。



 皮だけで立つブナ~木皮田君/子ども達も参加(昨年)


 実際に、この堰堤からわずか2kmの短い区間の中に、誕生から極相とも言える森林に至る変遷が凝縮されており、そのドラマを語るにはそこを調べつくすことで充分であると言えるのだが、それはダムと平ノ小屋を結ぶ黒部湖畔遊歩道全体(約9km)の2割強にすぎず、たとえ御山谷から先の森がそこまでの延長と同じだとしても,その全体を見ておいた方がより実感を伴って『1000年の森』を語ることが出来るであろうと考えた。



 オオカメノキの実/先日の台風で・・?


 同様に垂直的な植相の変化や広がりを把握すべく、御山谷からケーブルカーの終点黒部平までの区間を歩き、黒部ダムの湖畔遊歩道とその周辺を立体的,総合的に捉えて物語りに厚みを加えると共に、新たなコースの開発にも繋げたいと考えている。



 何エビネだっけ・・?/アカモノ


 今回は、7月8日(日)に行われる今年最初の募集ツアーを前に、7月1日,2日の両日に亘ってその最終の打ち合わせを兼ねた研修を行い、その一環としてガイド研修本隊とは別に3名が平ノ小屋までのルートを調査に当たった・・,と言えば物々しいが、平たく言えば調査を名目に平ノ小屋ルートを往復し、あわよくば針ノ木谷に渡ってイワナを釣って来ようと言う下心満載の『はみ出し調査隊』である。



 ロッジくろよん発8:23/タンボ沢



 はみ出し調査隊,平ノ小屋へ

 7月1日(日)
 6:30に大町温泉郷で落ちあいそれぞれの車で扇沢へ。扇沢発7:30のトロリーでダム着7:45。明け方からポツリポツリと降り始めた雨は強くなるでもなく止むでもなく、蒸し暑いので着れば内からのぬれの方が大きいだろうと雨具をつけずに歩き始め、8:02カンパ橋通過。ロッジくろよん着8:18。5分休んで8:23発。



 タンボ沢の河原/対岸の梯子を登ると・・


 ロッジの下から斜面を下って8:35,タンボ沢の広い河原に立つ。水量はそこそこだが流れは激しく3本の丸太を並べた手すり付きの橋があり、これを渡って対岸のアルミの梯子を登ると落ち葉の積もった柔らかな道となり、そこからブナ帯となる。
 ブナ年令で言えば壮年から中年くらいで巨木と言うほどではない大木が心地よくゆったりと広がっている。



 雪圧による根曲り/右岸(後立山側)は針葉樹が多い


 黒部川を挟む左岸の立山側には、こういう上から運ばれて来た土砂が堆積した場所があってそこにブナやダケカンバ,ウダイカンバ等の広葉樹の広がりが見られる。雪の量も多く、強い雪圧で申し合わせたように根の部分が湾曲して独特の曲線美をつくっている。
 一方、黒部川の右岸・後立山側は急峻な斜面で強い風を受けて雪がつきにくく、土砂の堆積も少なくて広葉樹が発達する要素がなく、見られるのはツガを代表とする針葉樹がほとんどである。1本の川を挟んでかほどに極端な違いを見せると言う点で黒部川は特異な存在なのだそうだ。



 ベニバナイチヤクソウ/倒木あり


 ブナ林の緑に染まり、足元のベニバナイチヤクソウやアカモノの花を愛でながらのんびり歩く。12:00の渡船には余裕で間に合うと、この時は思っていた。
                                 続く