大町労山きってのクライマーKさん/同、Yさん
大町市への転居後、労山長野県連にコンタクトして大町労山に加入し、1月から正式に会員となった。古巣の広島・佐伯FHCに在籍中から加入していた遭対基金が、無事故でそのまま継続されるのが大きい。
大町労山は、松川村,大町市,白馬村,小谷村等,大北地区在住の会員20余名を有し、かつてマナスル,シシャパンマに登頂したことのあるトップクライマーから薮山専門のハイカーまで、幅広い登山者を擁する中規模の会で、月2回の例会を軸に、冬期も活発に山行活動を展開している。
折よく労山長野県連の登山学校として、以前から一度経験したいと思っていたアイスクライミングの実践講習が行われることとなり、絶好の機会とばかり、ベテラン会員3氏と共にこれに参加し、厳寒の大鹿村隠れ谷にて実践講習を受けた。
前夜が1月後半の例会だったので、会議後参加者全員がnobou宅に泊まりこんで雑魚寝し、4:40に出発,7:00前に大鹿村役場に着いて他の会の参加者と合流し現地に向かう。
登山口着7:40。主管者挨拶の後,道なき林間を歩いて8:15に隠谷(仮称)入り口に着き、ここでアイゼン,ハーネス等を装着。8:30,早い人から登攀開始。2mの滝を2つ越えた先の5mの滝から本格的なクライミングとなるが、ここでK氏からWアックスの手ほどきを受ける(9:20~9:50)。
5mの滝からは直登を避けて大きく高巻きし、ズルズルと崩れやすい岩屑の急斜面を遮二無二登って10:40に目的地である30mの大滝の下に出る。
30mの滝に挑むトップバッターの女性クライマー
すでに滝上からはメインのザイルが下され、トップバッターの女性クライマーが取りついて衆目を浴びながら登攀を始めているところで(10:42)、下から3分の2くらいのややかぶり気味の直壁でやや苦戦し、鈍る腕を交互に休めながら10分あまり(10:44~10:54)でこの壁を乗り切って11:03滝上に到達し、快心の笑みと共に懸垂で降りてきた。
トレーニングを繰り返す/ノンアックスでトライ
その後、次々と参加者が滝を登り、またトレーニング用に張られた3本のザイルを使って10m程のクライミングを繰り返すなどして15時近くまで冷凍庫のような渓間で過ごす。下はズボンだけ,上はセーターを着るのが面倒でシャツ2枚とオーバーヤッケだけだったので超寒かった。
自分は体験して見るくらいの気持ちで参加したので30mの滝を登って見たいと言う気持ちの高まりはなく、10mのトレーニングに留めて他者のクライミングを見ることに徹する。
アイスクライミングは岩登りと同じく3点支持が基本で、スタンスが重要と言うことだが、初心者はどの程度の蹴りこみでしっかり止まるのか、その加減が分からないだけに目いっぱい蹴りこみ、しかも1発で決まらず何回か繰り返すので必要以上に筋力を消費してしまいがちで、夜になって大腿の内転筋に痙攣が来た。
アイゼンの爪だけで立つので脚を内側に絞り気味に使うからだろう。両脚に来たが、特に普段使わない利き足でない方の脚は強烈だった。
バイルを打ち込む腕も逆腕が鈍りやすい。普段にはない動きによるものではあるが、別にバイルでぶら下がる訳ではないので、無駄な動きが多いと言うことなのだろう。
大町労山のエース,Sさん
アイスハンマーやアイスアックス,登攀用具等,アイスクライミングは用具に負う所が大きく、金がかかることこの上ない。
この先,続けるかどうか・・,一旦帰って反芻し、もう一度やりたいと思えば装備を揃えるところから始めることになるだろうと思う。道具を借りてやっているうちは本気にはなれないだろうと思うが、今のところアイスバイルまで買う気も余裕もない。
そうこうしているうちに、期間限定のシーズンは過ぎて行く。大町から大鹿村までは往復約300km。中信や北信のどこかに氷瀑があるとしても雪が深すぎて近寄れず、雪の少ない南信に行かないとトレーニングの場所がないと言うのも皮肉なことだ。
大町労山,若手のYさん