昨日の朝便で島に着き
今日は夕方から流木で風呂を焚いた
ここではお湯の出る蛇口もシャワーもないので
風呂に入りたければ 火を焚いて沸かすしかない
面倒であるが その面倒が楽しくてたまらない
自分は決して風呂好きではないし
温泉に目の色を変えるほどでもない
けれど 五右衛門風呂なら
手間がかかっても 自分で沸かして入りたいと思う
太い流木1本で 手が浸けられないほどに沸く
せまい浴室には中くらいの盥が一つ
チンチンに沸いた湯を盥に取り
浴槽に水をじゃんじゃん注いでもまだ熱く
盥に汲み取った湯にも水を注ぎ
体を洗い 頭を洗い しかし浴槽には入らず
一度の風呂焚きで 3日は入りたいので
初日はかけ湯で我慢して
翌朝 心ゆくまで湯に浸かる
入浴のついでに洗濯
と言っても洗濯機などなく 盥の湯で手洗い
汗を洗い落す程度なので これで充分
絞って広げて 朝まで風呂蓋の上におく
酷い汚れであれば 粉石けんと一緒に
盥の中で足で踏み お湯を変えて二度三度‥
木の焼ける匂い 煙の匂いが好きである
ひととき燃え盛って 燻りながら真っ赤な炭になり
いつまでもいつまでも 暗闇の中でほの赤く
しかし ついには白い灰になるが
かまどは余熱を保って
夏なら 朝もう一度湯に浸かることが出来るノダ
他のことは何もせず
火とともに過ごして 風呂を焚き
風呂に入って お湯と戯れる
ただそのことに専念する
その時間の流れが 愛おしく
これだけは 誰にも譲らない