遊びと学び,創造の基地・山のあしおと小学校

冒険,遊び,仕事,学習,生活全般を学ぶ、子ども達のための私設小学校

挫折

2008-05-09 14:37:29 | たび・出会い
 富山へ55km
         境関所のお亭 
 長く単調な境川の国道の峠を下り切ると市街地からの道が合流する信号があり、さらにもう一つ信号があって、そこに『牛馬を積んだ車の乗り入れお断り』と書かれた駐車広場があった。その看板に気をとられて線路を渡る踏切があることを見逃したまま通過する。
 そこから国道は越中宮崎駅までの2km近くを北陸線と併走することになろうとは知る由もなく、しばらく歩いているうちに線路の向こうに沢山のテント群があるのに気づく。キャンプ場という看板も見える。
 何とか線路を渡って海側に出たいと思い踏切を探したが一向にそれらしいものは見当たらず、そろそろ駅があってもいいはずだと前方に駅舎の影を求めても何も見当たらず、そう言えばさっき踏切があったような・・,と、その頃になって迂闊に信号を通過したことを悔やんだが、すでに引き返す距離ではなかった。
 17:00,日帰り温泉の入り口で休憩。疲れと足の裏の痛みで座るのも立ち上がるのもよろよろふらふらと容易でない。15分休んだ後に気力を振り絞って立ち上がり、さらに歩くこと30分で越中宮崎駅を見つける。その先100mの踏切を渡ってまた100m戻り、17:45ようやく駅舎に辿り着く。
 糸魚川市役所から宮崎駅までの距離は約28km。

越中宮崎 ヒスイ海岸
 牛と牛つなぎ石~糸魚川市塩の道

 日本海海岸線行脚は初日にして挫折し越中宮崎駅で終わった。明日以降,このままの状態で続行できなければそれは挫折である。旅を続けるのであれば考え方を改めて計画を立て直さなければならない。幸い挫折の原因は明白だ。

市振の関

2008-05-09 10:11:47 | たび・出会い
 海道の松
          市振関所跡 
 最後の3kmは洞門の屋根と海岸の道を歩いたりして10kmにおよんだトンネル群が終わり、15:00に市振漁港に着く。
 国道を離れて市振港への道を右に折れると道はすぐに2つに分かれる。左は町並みの通りで右が港につながる道,その分岐点に『海道の松』と呼ばれる大きな松の木があり、松の下には次のような説明文の看板があった。

 『昔の北陸道はこの海道の松から海岸へ降りて、西からの旅人は、いよいよ寄せくる波におびえながら、天下の険,親不知子不知(おやしらずこしらず)を東へ越えることになったのである。
 また、西へ上る旅人は10キロ余りの波間を命がけでかいくぐり、海道の松にたどりついてようやくホッとして市振の宿へ入ったのである。
 目通り2.5mで200年以上の風雪にたえたと言われ、地元の人々からも大切に守り育てられて来たが、明治16(1890)年には崖の中腹に如砥如矢(とのごとくやのごとし)の国道がつき、大正元(1912)年には汽車が通るに至り、記念の老松が忘れられようとしている。』
 弘法の井戸
          芭蕉の宿 
 海道の松のある分岐点を右に進んで港へ向かうと護岸に沿って擁壁で仕切られた盛土があってそこが公園になっており、植え込みが青々と葉を繁らせて涼しい木陰をつくっていた。その公園に上がる階段に腰かけてトンネル越えの疲れを癒しているうちにウトウトと眠ってしまったらしい。
 右のふくらはぎの痛みは治まったが代わりに左足裏に肉刺が出来ていた。荷物が肩がに食い込んで肩も背も強張っている。昨夜は2時間しか寝ていなかったので疲労が極限に達していたのかもしれない。それらの諸々から解放された刹那の体と心の何と軽やかで快く、吹く風の心地よかったことか・・。
 頭の中に何も浮かんでこない忘我の時間,体がふわっと浮き上がって虚空へ吸い上げられていくような浮揚感・・,随分長い時間,その快感を貪っていたような気がしたが、夢から覚めたように我に返るとまだ30分しかたっておらず、道の反対側では2人の主婦の井戸端会議がそのまま続いていた。
市振の関 市振漁港
 15:35発。市振漁港へは前年5月29日に海釣り教室で来たことがあったので道に見覚えはあるが、この道をこう行けば国道に出るんだった・・,と記憶が道を教えてくれるのではなく、逆に道に記憶を呼び覚まされながら国道へ戻る。

 15:55市振駅通過。16:05道の駅『市振の関』着。糸魚川市役所から23km。10分の休憩の間に駅長にあることを頼んで先を急ぐ。
 市振駅
      道の駅・市振の関  

 16:15市振の関発。すでに初日の目標点には到達していたが、まだ歩ける時間帯なので行ける所まで行こうと言う感じで歩き始める。
 16:35新潟県から富山県朝日町境川に入る。国道の表示では富山まで55km。
境川
 新潟県から 
          富山県へ 

 富山県朝日町境川 
                 
 国道は境川の町並みをはずれて山よりの峠を越えている。海岸線に近い町並みを通ればよかったものを何も考えずにまっすぐ峠に向かったのが間違いの元,長くて単調でしかも照りつける陽光を遮るものが何も無いつまらない道だった。だだっ広いだけの無味乾燥なその道は峠を越えてからも延々と続く。山裾を飾るタニウツギの花だけが唯一の彩り・・。