雪の舞う合間,久々に碧空/尾根までわずか40mh
2月23日(土)
前日のわっぱランドでの野外学習の際に忘れて帰ったピッケルを回収に来たついでにわっぱランドのすぐ目の前にある日向山に登って見た。
日向山は標高972m。わっぱランド(860m)の東を走って扇沢へ向かう県道45号線と、大町温泉郷の西隣の犬の窪地区に挟まれた標高差110mほどの丘陵で、爺ヶ岳・白沢天狗山から南東~南々東に延びる尾根の末端に当たる。
雪が深くてなかなか登れない/やっと尾根~振り返る
わっぱランドでの野外学習の反省会の勢いで大町市内の身近な自然をもっと知りたいと言う気になっていた
ので、手っ取り早く目の前にあるこの丘に登って見た。
何の変哲もないアカマツやナラ等が茂る樹林の山(丘)であるが、尾根を辿ればP1122m,P1227m,P1365m,P1687mを経て白沢天狗山(2036m)に至ることが出来るかも知れない・・,等と思ったりしている。
目の前に唐沢岳/北葛岳も・・
除雪車がつくった道路際の雪の壁を乗り越えて樹林帯に入るとすぐ上に稜線が見えておりそこまでは約40mの登り。軽い気持ちで道路から20m程進むとそこから急に立ち上がって結構な斜面となる。雪は膝上までありわずか40mの登りに25分もかかる。
野外学習の場としてどんな活動が出来、あるいは何を学ぶことが出来るかと言うことを考えながら歩くと、この急斜面はかんじきを使って登るのにいい斜度で、しかも下りは尻セードで一気に滑り降りることが出来そうである。
滑り降りた所が広い平原で安全であること,長い尾根に沿って斜面が続いているので、高さ40mの土手を登る感じで横一列になって一斉に登ることが出来そうなこと・・,等々。
北に進んでみた/唯一のサルの食痕
尾根に到達するまでに1ヶ所でサルの食痕を見かけた他は足跡もなく、動物のフィールドサインは殆どなかった。それは尾根に上がってからも同じで、動物に遭遇する可能性は低いと思われた。
斜面の下も途中も尾根の上もあまり太くないが背丈がやたらと高いアカマツやナラの樹林で全体に薄暗く、見晴らしは決してよくないが、尾根に上がると目の前に唐沢岳が見え、北に延びる尾根を辿ると北葛岳と思われる山が見えてきた。
更に進むと北葛岳から先の扇沢上部の山が見えるのではないかと日向山のピーク付近まで歩いたが、樹林がうるさくて確認できず引き返して、同じ所に戻りこの日は終了。
時々雪がきらきらと落ちてくる/鳩峰の奥は不動岳か・・
付:2月B22日(金) 1年生がやって来た~わっぱランド野外学習
昨2月22日に大町市内の小学1年生57名が4人の先生に率いられてわっぱランドにやって来た。
これは同小学校が数年前から取り組んでいる総合学習の1つである野外学習に、大町の自然と文化のガイドに携わる者として積極的に協力して行こうと言う立場で、形としてはぐるったネットワークの活動の一環として関わっているものである。
今回やって来た1年生達は、昨年7月13日に続く2度目の来訪であるが、本来は昨年秋に2回目の野外学習を行う予定で事前準備を進めていたものが当日の悪天候で中止となり、改めて行うことになったもの。
秋には夏の流れを受けて木の実と森の動物達の関わりと言うテーマを用意していたが、ドングリも松ぼっくりもすべて雪の下なので改めて雪のフィールドの中から追跡ハイクが出来そうな足跡をいくつか確保したり、キツツキもしくわムササビが使ったと思われる木の穴を見つける等して子ども達の興味を引きそうな教材を確保しておいた。
望ましいのは実際にサルや野鳥などが出現することであるが、それは先方次第なので期待するに留め、カラ類の混群・巡回に備えて写真を用意した。
一方,雪のフィールドをどう歩かせるかと言う点については、児童数分のかんじきを用意することが出来ると言う条件があったので、迷うことなくかんじきを履かせることにした。
こうして当日を迎えたが、かんじきの装着に想定した以上の時間を要したために予定のシナリオのすべてを消化することができないまま時間切れとなり、低学年のかんじき体験が予想以上に大変な課題であることを思い知らされる結果となった。
それは、60人の子ども達に全員にかんじきを履かせることの難しさについて充分検討せず、具体的な手立てを講じなかったことによる当然の帰結と言えた。
第1の問題点は爪かんじきと平地用の爪のないかんじき(便宜上平かんじきとする)の2種類があってそれぞれに取りつけ方の難しさがあり、特に爪かんじきは足の小さな子ども達には難しすぎたこと,一方の平かんじきも先端に取りつける紐の位置にバラつきがある等の問題があって、完全にはマニュアル化されていなかったこと等である。
爪かんじきは子ども達の足には大きすぎて取りつけにくく、また平かんじきは長靴の先端が横にずれてうまく固定できずすぐに外れてしまうと言う問題が起こり、教えている間にも次々と『外れた』と訴えてくる子が続出して40分の予定が1時間たってもスタートできないと言う事態になった。
このため、3つに分けたグループのうち、見切り発車して外れたら途中で履かせると言うやり方に切り替えたグループと、徹底して全員に履かせることを重視したグループとの間に大きな差が出来て、予定のシナリオ通りに運ばないまま終わりを迎えることとなった。
こう言う不手際があったにも関わらず、ある偶然~サルの集団の出現~によって事態が好転。子ども達は狂喜して群れに駈け寄り、遅れていたグループはそれをきっかけにサルの話しに引き込まれて大いに満足した。
早くスタートしたグループはその恩恵に浴すことが出来なかったが、それでも遠目にサルの集団を見て大喜びしていた。
このような状況下でも子ども達は雪のフィールドに対して興味津々で、雪の上の落ち葉や松ぼっくり,ハンノキの実等を目ざとく見つけて見せに来たり、下見の際に私達が気づかなかった鳥の巣を見つけたり・・,最後はツボ足になって雪の上を駈け廻って遊び、アッと言う間の2時間半が終った。
子ども達が帰った後の反省会で出たことは、かんじき装着のこと(問題点は前述の通り),サルの集団に助けられたこと,子ども達は生き生きと活発だったこと,見切り発車の是非等々。
自分のグループは平かんじきばかりだったが、外れた子に履き直しさせているうちに靴先が外れる原因が分かり、事後それを4人で検討した結果、縛る紐の正しい取りつけ方が分かってきた。
つまるところ平かんじきの取りつけ方に習熟していなかったことが原因だったわけだが、それは以前に使用した人が間違って取りつけた紐をそのまま使うことによって生じるバラつきによるものである。つまり前に使用した人にきちんと正しいつけ方が伝授されていないために、それが繰り返されてどこまでも引き継がれていたのである。
※爪かんじきの問題点の分析と対策は未解明。
これらのことを総合し、また体が軽い上に学校や家の周りを常日頃からツボ足で歩くことに慣れている1年生の子ども達に対して、敢えてかんじきを体験させる必要はなかったのではないかと言う声が出た。
もちろん今回の経験を経て得た見解であるが、その点を深く検討することなく、無条件にかんじきを履かせるものと決めてかかったことは反省点として上げられなくてはならない。
では、1年生にかんじきを履かせる必要はない,あるいは時期尚早であるとして、どの段階でかんじきを教えるべきか、あるいは教えないのか・・。
そして、仮りに3~4年生くらいになったら自分達つくったかんじきを履かせることが出来るのではないかと誰かが言い、果たしてその機会はあるのかとまた誰かが言ったところから話しが膨らみ始めた。
私達はこれまで学校からの要請に応じて、1年生の子ども達だけを対象にわっぱランドでの活動に取り組んできたが、それは単発の一過性の取り組みであると言う点ではその時々の思いつきでしかなかったではないか・・,子ども達に自然を教える,あるいは自然から学ばせると言う観点に立った時、果たしてそれでいいのか・・,と言う話しになった。
端的に言えば、今日の1年生に対して『2年生になってからもおいでよ~』と言いたいではないか・・,そうだとすると私達は次に何を用意すればいいのかを考えるべきではないか,と言うことである。
そうであるなら、実際に子ども達が来るかどうかは別にして、私達は1年生から6年生までの教材とカリキュラムをつくって置くべきではないか,それはわっぱランドを飛び出して大町のどこの自然であってもいいのではないか・・,と言う風に発展し、更に幼児から小中高校生のみならず、青年や成人をも対象にした野外での学習・教育を考える取り組みを進めようではないか等々・・と発展。
このようにして自然&野外学習・教育のモデルをつくろうではないかと言うことになった次第。
できることから始めようと言うことで引き続き日向山やわっぱランド,温泉郷周辺の自然をそう言う目で見直して行くことにする。