遊びと学び,創造の基地・山のあしおと小学校

冒険,遊び,仕事,学習,生活全般を学ぶ、子ども達のための私設小学校

秋の海釣り教室・・・10月6日~7日

2007-09-30 12:02:04 | 山のあしおと小学校
 2007年,秋の海釣り教室
日時・日程; 10 月6日(土)~7日(日) 予備日,10月13日(土)~14日(日)
6日:穂高駅発10:00~11:00白馬・買出し11:30~12:30糸魚川・釣り具店13:00~14:00着能生漁港14 :30~釣り準備&夕食等20:00~夜釣り・睡眠~朝まで
7日:05:00・朝食~釣り~10:00片づけ・昼食12:30発~15:00着穂高駅・解散
場所;新潟県能生町能生漁港
集合;場所:JR大糸線・穂高駅  時刻:9時50分
解散;場所:   同       時刻:15時頃
電車利用;(能生駅まで送迎します)
行き
松本 9:10⇒穂高 9:37⇒11:17南小谷11:51⇒12:46糸魚川13:33⇒13:45能生
松本11:10⇒穂高11:35⇒13:14南小谷13:32⇒14:27糸魚川14:44⇒14:57能生
松本14:02⇒穂高14:30⇒14:57大町15:03⇒16:06南小谷16:14⇒17:11糸魚川17 :13⇒17 :26能生
帰り
能生 7:19⇒ 7:31糸魚川 8:15⇒ 9:17南小谷 9:34⇒穂高11:06⇒11:34松本
能生10:11⇒10:25糸魚川10:43⇒11:43南小谷11:56⇒穂高13:36⇒14:06松本

服装;上着・シャツ(長袖)/ズボン/保温着または防寒着/ライフ・ジャケット/雨具(セパレーツ型)・傘/靴・靴下/帽子(熱中症防止のため必ず)
  ※ライフジャケットが3着しかありませんのである人は持参して下さい。
持ち物;釣り竿(3~5m,小型リール付,または5mくらいの渓流竿)/シュラフ/食器セット/水筒またはポリタンクおよび飲料水/懐中電灯またはヘッドランプ・乾電池(予備も)/間食・行動食/ロールペーパー/ビニール袋(5枚以上)/古手ぬぐい(魚を掴んだり手を拭きます)/保険証(コピー可)/その他(現金・地図・時計・常備薬他)
共同装備;
テント1/コンロ・ガス/コッフェル/調理具セット/クーラーボックス/20リットル水タンク/調味料セット/食糧・米,他/発電機/投光器/ライフジャケット3着/携帯ラジオ/救急薬品セット/ビニール袋/ロールペーパー/アイスノン/釣具・チヌ竿2,投げ竿1,渓流竿3~5,ライン,ハリ,オモリ,目印,リリアン,各種仕掛け,ハサミ,スプーン,アミカゴ,餌等/その他(カメラ,フィルム,道路地図,他)
参加費;交通費は実費を分担します。食費,餌代,仕掛け・用具等は各自負担で。
宿泊;テントを用意しますが、車の中で寝ることも出来ます。ただし1台に3~4人が限度なので、狭い場合はテントを張ります。寝具はシュラフ。
食事;釣りの時間を充分に確保したいので、自炊は出来るだけ避けてスーパーかコンビ二の弁当,またはレトルト,インスタント食品等で済ませたいと思います。コンロを用意しますので、お湯を沸かしたり、飯盒でご飯を炊くこともできます。時間に余裕があれば、釣った魚を料理しますが、当日の状況次第と言うことになります。
釣具と仕掛け,餌;
各自が持参,購入するもの・・・Aを基本に用意して下さい。他の釣り方を希望する人は、B以下を参考にして各自で用意して下さい。
A;小アジ釣り・・・初心者向き
 竿は小型スピニングリール付きのもの,仕掛けは小アジ用のサビキ仕掛け2~3セット,アミカゴ2~3個(オモリ代わりになる) 仕掛けをリールのラインにタルカンで結ぶので、ラインは不要。餌は共同で購入。
B;投げ釣り(キス,ハゼ,カレイ,ヒラメ)・・・中級向き
 竿は投げ釣り用のもの。仕掛けはキス,カレイ、ヒラメ用等。餌はアオムシ等,ヒラメは小アジの生餌で狙う。現地の釣具屋さんで各自必要なものを購入して下さい。ただし、コマセ(撒き餌)用の餌は共同で購入します。
C;サヨリ釣り(鉛筆大)・・・中級向き
 竿は4.5~5.4mの渓流竿 ハリはサヨリ3~4号 ラインは1.0~1.5号 オモリは極小のガン玉かカミツブシ,餌は撒き餌用のオキアミ 
D;アオリイカ・・・上級向き
 竿はやや柔らかめのりーる竿 仕掛けはエビの形の餌木
E;その他;チヌ、メバル・・・上級向き 別の機会に」

対象魚と釣り方について;
小アジ釣りを何回か経験した人は新しい釣り方をに挑戦して見よう。但し、何を釣りたいか、対象をはっきり決め、自分でしっかり研究して臨むことが肝要。
①多数の参加者の要望に全部応えることは出来ませんので、主として初心者対象の小アジ釣りに対応します。 すでに経験を積んで新しい釣り方に挑戦する人は、自分で用具を用意したり、釣り方を研究して下さい。
②ハゼ,キス、カレイ狙いは小アジと同じ竿が使え、仕掛けも比較的安価ですが、根がかりで仕掛けが切れるので3~4個用意する必要があります。
③竿を2本用意できれば1本を置き竿にして、もう1本で小アジを釣ることが出来ます。但し、貸し竿は竿を持たない人の小アジ釣りに優先的に貸し出しますので、投げ釣り用の竿は各自で用意して下さい。
④サヨリ釣りは仕掛けが簡単で安上がりですが、対象が小さいので釣り方にはコツがあって簡単な釣りではありません。
⑤アオリイカは各自で・・・,ボウズ覚悟でやってみる価値あり。餌木はやや高価。釣れたら最高!

共同購入するもの;
撒き餌用のアミ 保冷用の氷

重要;
①:釣り道具屋さんは漁港から国道をはさんだ向かい側にあります。交通量も多いので買い物に行く時は1人では絶対に行かないこと。
②:夜の海に落ちたら助からないのでライフジャケットを着用します。何かにつまづいてその弾みで落ちることもあるので釣り場では走ったりふざけあいをしないで常に海に神経を集中しておくこと。また、いつもお互いの居場所を確かめながら行動し、決して1人で行動しないこと。できるだけ両手をフリーにしておくために、懐中電灯よりもヘッドランプを使って下さい。
③:竿を地面に置いたまま離れて踏まれないこと。離れる場合はたたむか、何かに立てかけて置くこと。また、釣った魚を取り込んだり、餌や仕掛けを取りつける時に竿を不用意に置くと他の人が歩きにくく、時には踏まれることがあるので置き方に注意すること。他の人の置き竿を踏まないこと。
④:防波堤や港での釣りは周りの人となかよくなる釣りです。つり場では他の釣り人となかよく。人の好意・親切はありがたく受けるのが冒険学校のモットーです!





チヌ

2007-09-30 06:50:35 | 獲れたて瀬戸内・わし&岳じゃが情報
 前回(9/9)の感覚を忘れんうちに再びチヌ釣りに挑戦。満潮は23時過ぎで大潮。釣れたんは15~20cmクラスの小ぶりなチヌが30匹(ほとんどリリース)・メバル・ハゼ。満潮を迎えて以降は一気に喰いが悪くなった。
 ほいじゃけど、前回もあった『強い引き』は今日もあったが相変わらず岩みたいで動きやがらん! そのうち根競べに負けて糸が『プチン』。餌を咥えた後岩にもぐりこむんじゃろうか?あれを釣るには岩にもぐられる前に釣り上げろということじゃろうか?
 このチヌのミャク釣りはいつごろまでできるんじゃろうか?

 岳くん,夜は少しは冷えるようになったかの? この時期はもう気持ちがメバルに向いていたから、寒い時期のチヌ釣りと言うのはあまり経験がないけど、まだ釣れるんじゃないだろうか・・。
 前回行った時,やはり2回ほど根に潜られたけど、場所はどこでもと言う訳ではなく、同じ場所だったように思う。昼間見てみないと分らないが、捨石が欠けて穴になっている所があるのかも知れない。
 潜られる前にどうこうしようにも多少の遊びがないと駆け引きできないから、無理に引いても切られると思う。潜られたら負けかも知れんが竿を送るように煽ったら外れることもある。でもそういう時のは意外と小さい。
 釣れるものは釣れるし、釣れんものは釣れんと言うことじゃの。
 これからは、昼は河口でのハゼや波止ならアジ,サヨリ等の五目釣り,夜はメバルかな。

 来週,また能生へ行くので、アオリイカを試して見ようと思っているところ。

夏の冒険学校,白馬岳登山教室⑬・・・緊急避難~山小屋へ

2007-09-30 01:34:51 | 山のあしおと小学校
   
 一日中風雨と闘った子ども達に、今夜だけは温かい部屋で寝せてやりたいと言うねぎらいをこめて、子ども達を山荘に泊めることにした。スタッフのテントが使用に耐えられそうにないと言う緊急避難の意味もある。

                      
 夜のメニューは定番となった十目チラシ寿司。この時のためにと持って来た生卵は2個半が割れてしまい、残った3個半で8人分の錦糸卵をつくる。刻みアナゴ,キュウリの千切りにミョウガまで入って豪華版,姉妹の野菜サラダに温かい味噌汁。食後の紅茶,ココアで腹がくちれば後は寝るだけ。
 子ども達4人は山小屋に押し込んで放ったらかしにした。レイが『周りはおじさんばかりで布団を敷く隙間がない・・,』等とぶつくさ言って来たが、何とかなったようだ。
 テントは寒いので自炊小屋の隅に翌朝の食材と炊事道具を固めて置き、椅子を2つ並べてその上で寝る。

              
 この日に狙いを定めたかのような台風5号の襲来に翻弄され、お花畑と360度の大展望の感動を味わうどころか、逆にこれこそが『自然』のありようそのものであることを身をもって知らされた我がユング・フラウの白馬岳登山である。
 散々な目に合いはしたが、のっぴきならない場面に立ち、自ら決断し,行動したと言う事実ははかり知れない重みを持つに違いなく、好天に恵まれた山行とは比較にならないほどの得がたい何かを手に入れたと信じたい。
 果てしない未来の、いつかどこかの場面でそのことが意味を持つことを願う。

おろぬき大根

2007-09-29 14:29:30 | あまってら農園

 ダイコンは1ヶ所に3~5粒づつ播いて、後からがしっかり育ったものを1本だけ残して間引く。その時期がきたのでそろそろ間引かなくてはいけない。
 この地方では間引くことを『おろぬく』と言い、間引いたものには『おろぬき』を冠するので、ダイコンなら『おろぬきダイコン』となる。
 八王子や多摩地方でもおろぬくと言っていたからかなり広範囲の地域の言い方なのだろう。


 おろぬきダイコンは栄養のある良質の美味しい野菜で、葉物が少なくなる今の時期には貴重な食材だ。たっぷり300gを袋に詰めて110円で出すとアッという間で、自分家分は出荷できないはみ出しっ子だけでも余るくらいだ。アブラゲと一緒に炒めて煮るのが定番。
 一度に大量におろぬくと処理が大変なので何回かに分けて間引くが、育ちが早いのでのんびりとはやってられない。
 ①間引いて,②洗って,③選んで,④量って,⑤袋に詰めると言う作業は、選んで量って詰めるだけのモロッコインゲンなどに比べると3倍くらい手間がかかる。なので③,④,⑤を省くため、時には老健施設に届けたりする。
 食材を最も有効に使って喜んでもらえるのが一番! スーパーでは完全無農薬を謳えないもどかしさがある。
 採りに来てくれる人があれば『どうぞ 要るだけ持って行って下さい』なのだが、800mの山の畑まで採りに来る人はなかなかいない。
 ルッコラもタマネギも同じ。

夏の冒険学校,白馬岳登山教室⑫・・・ライチョウに導かれ

2007-09-29 08:08:08 | 山のあしおと小学校

 三国境を出発した直後,反対側から登ってきた登山者が『ライチョウをみましたよ!』と声をかけてくれた。この『ライチョウが・・・』の言葉に子ども達は鋭く反応し、『えっ! ライチョウだって,どこどこ?』『見たいィ・・・!』と、今にも駆け出さんばかりだ。
 『そうだ! こう言うガスで視界が悪い日にはライチョウが安心して出てくるんだ・・』と言っている目の前に2羽のヒナをつれた1羽のメスと、少し離れた所にもう1羽の若鳥がいるのを発見。『いたッ』と叫ぶと2人がすっ飛んで来た。子ども達は親子のライチョウに心奪われ、ヒナの後をゆっくりとついて歩く。
 次々と登ってくる登山者からも口々に『あっちにもいるよ!』と声をかけられ。2人はすっかりライチョウのトリコになった。

 

 突然,前方のガスの中から『おぉ~い』と呼ぶシェーンの声を聞く。声の意外な近さに驚きながらも本隊に追いついたことに安堵し、残り3分の1に到達したことで何とか無事に帰れる見通しを得てホッとする。一行は、登りの時に風をよけて避難したあの崖の棚で待ってくれていたのだ。
 レイが『ライチョウがいたんだよ~!』と興奮気味に叫ぶと『いたいた。さっき見たよ』の返事。
 そこは休まず通過して小蓮華の登りにかかる辺りで紅い冠のある固体に遭遇。『ここにもいるよぉ,オスだよぉ~』と呼ぶと走ってきて『すごぉ~い,7羽も見たよ・・』とつぶやき、しゃがみこんでそのまま動かなくなった。
 ライチョウに魅せれた子ども達にとって、風も雨も寒さももはや脅威ではなく、こうして次々と現れるライチョウに引きずられて子ども達は難局を乗り越えた。
 
 小蓮華を下り、さらに前ピークを過ぎて大池を見下ろす場所まで戻るとようやく雨が上がり、風も幾分弱くなる。山荘前の広場は色とりどりのテントで埋まっていた。


 15:10帰着。緊張からすっかり解放された子ども達は大はしゃぎしながら20分後に,スタッフは花を楽しんでさらにその20分後に戻ってきた。

夏の冒険学校,白馬岳登山教室⑪・・・さらなる試練

2007-09-28 00:00:01 | 山のあしおと小学校

 11:40,一足先に出て山頂で一行を待つ。が、10分後にやってきた中にシノとレイの姿がなく、先に行ってもらって2人を待つ。12時を過ぎても現れない2人に、焦れると言うより、この先大池まで果たして歩き通せるか・・,と言う不安を感じ、スタッフを先に行かせたことを悔やんだ。
 10mもない視界の中にようやく現れた2人はふらふらとおぼつかない足取りで明らかに戦意をなくしているのが見て取れ、他のスタッフが誰もいない中で今度は私自身が決断を迫られる羽目になった。この時,風雨ともに最も強くなっていた。
 

(晴れていれば何と言うこともない道)
 選択肢は2つ。このまま2人を連れて大池まで帰るか、それとも2人を山荘に残し、翌朝迎えに来て大雪渓から下山するか・・。もう一つ,私も残って明朝早く一緒に大池に戻ると言う選択肢があったのだが、もし2人だけで残ると言えば私も残るつもりだったのでそれは伏せて、前2者の選択を問いかけてみた。
 『2人だけ残る・・』と言うことが脅迫になっている面は否定できないので『山小屋には事情を言ってよく頼んでおくから絶対安全だし、明日朝はできるだけ早く来るから』と言い聞かせて返答を待つ。
 このまま2人を連れて帰るには風も雨も強すぎたが、2人の答えは『大池に帰る』だった。


 『前進』を決めた以上,一刻も早くパーティーに追いつきたかったが、2人を安心させるために普段通りのペースで色んな話しをしながらゆっくり下る。あるいは自分自身の不安を隠すためであったかもしれない・・。
 向かい風は気持ちをひるませ、追い風は身体のバランスを崩す。少しでも高度を下げて風圧を和らげたいが、風は相変わらず黒部側から強く吹くので稜線を歩けば吹きさらされる状況は変わらない。風裏に入ろうにも信州側は絶壁である。三国境までのこの下りが、2人にとって一番厳しかったに違いない。
 12:52三国境に着く。風を避け、気持ちを風のストレスから一時でも解放するための休憩をとる。
 13:03発。その時,すれ違った登山者がかけてくれた言葉が奇跡をもたらした。



夏の冒険学校,白馬岳登山教室⑩・・・登頂

2007-09-26 10:56:20 | 山のあしおと小学校

 白馬鑓ヶ岳から白馬岳を望む。稜線を向こうからこちらに歩いて来た。頂上の右の雲に隠れた辺りが小蓮華岳。その中間が三国境。頂上と雪渓の間に白馬山荘が見えている。右手前の尾根のように見える山は杓子岳。

 9:10,全員山頂に向かうべく登山道に戻る。風雨ともに一段と強くなっていたが、気持ちのギアを入れ替えた分,いくらか足どりがしっかりしてきた。
 稜線に戻ってふり返った山の大きさから、すでに小蓮華岳を通過していたことにようやく気づく。そうだとするともはや三国境は目の前。そして9:20,三国境に到達。『あと1時間』と励まして通過。


 10:10,シノとレイを先頭にユング・フラウのメンバー全員が登頂。濃いガスで何も見えず、感激はイマイチだが、子ども達の顔は明るく、登り切った安堵と充足の表情を見ることが出来た。

 10:25,白馬山荘に下ってレストランで休憩。がっしりしたつくりで中はピカピカに磨かれた床に豪華なテーブル,重厚な内壁。そのままでいいと言われても思わず登山靴を脱いでしまう。入り口の近くにストーブが焚かれており、体が自然にそこへ引き寄せられて行く。
 熱い飲み物で体を中から温め、ついでに大奮発して食事をとる。ぬくぬくと長居をすると気分が緩んで帰りの道程が心配になるが、今は心身を平常に戻すことが先決である。ストーブにしがみついて離れられない方がむしろあぶない。

                              

 存分に休んで11:40出発。大池に向かう。
 
 

夏の冒険学校,白馬岳登山教室⑨・・・決断の時

2007-09-26 09:52:32 | 山のあしおと小学校

 決断の時を迎えていた。すでに第1目標の小蓮華岳は超えている。
 『これから先,どうするかここで決めよう。天候はすぐによくなるとは思えない。この状態がしばらく続くか、もっと悪くなるかもしれない。この天候でここまで来ただけでもスゴイことだから、ここでやめて引き返すことはちっとも恥ずかしいことじゃない。引き返すと言う判断も時には大切なことだ。』『白馬岳の頂上までは残り約3分の1,だけど、大池まで帰らなくてはならないからそれを加えると残りは3分の2だ。自分の体力,気持ちを考えて、行くか帰るかを決めろ。帰るなら私が一緒に帰る。他の人には山頂まで行ってもらうから、ここで帰っても他の人に迷惑をかけると思わなくていい』と2人に決断を促した。


 普段,あまり感情を表に出さないシノであるが、その表情からは相当へばっていることが伺われた。しばらくじっと考えていたシノはしかし『行きます』と答えた。その返答は『帰らせよう』と思い始めていた私を戸惑わせたが、それ以上に窮したのはレイだった。

 レイは体力的には限界とは思えなかったが、気持ちはいっぱいいっぱいだったのだろう。シノが『行く』という決断をしたために、便乗して一緒に『帰る』と言う選択肢を失って追い詰められた。返答を迫られるとふいに目を真っ赤にして、大きな目よりもさらに大きな涙をポロポロとこぼした。私は内心『しめた!』と思った。
 レイに限らず、子ども達は自分をギリギリまで追い詰めることをあまりしない。大変なことになりそうな課題を突きつけられるといち早く身をかわし、おとな達も敢えてそれ以上を求めないからそう言う場面がないのだ。そういう意味では千載一遇の場面を迎えていたと言える。


 その場にいた全員が固唾を呑んで見守る中、レイは搾り出すように小さく『い・・くぅ・・』と言った。
 1人は無理を承知で体力の壁を乗り越えようとし、1人は気持ちの弱さに決別する決断をした2人の小学生であるが、稜線の登山道に戻ると風も雨も一段と強くなっていた。


夏の冒険学校,白馬岳登山教室⑧・・・風雨強まる

2007-09-25 22:16:55 | 山のあしおと小学校

 8月4日(土)
 6:15出発。この時点では風は強かったが雨はそれほどでもなく、希望的観測ながら誰もが徐々に回復するだろうという期待を持って歩き始めたと思われ、花を楽しみながら歩く余裕があった。モモとノゾミはしっかりした歩きぶり,寡黙なシノとは対照的にレイはうるさいほどの元気さである。
 7:00,小休止5分。風は一向に収まる気配がなく、雨もパラつく中,雷鳥坂をゆっくり登る。大池から見える一番高いピークを越えると船窪と呼ばれる二重山稜にさしかかる。二重になった山稜の間の窪地はシナノキンバイの咲くお花畑なので、そこで強風を避けて休ませようと思っていたが、立ち入り禁止になっていて入れず、その先に格好の窪地があるのだが、そこは中高年の集団に占領されていて休むに適した場所が得られない。
 7:40,登山道から少しだけ黒部側に外れた岩陰に身を寄せて休む。レイは相変わらず元気でうるさいくらいだが、シノの口数が少なく、足どりが重くて寒そうなのが気になる。
 7:55発。ほどなく小蓮華岳と思われるピークの下を通過する。本来なら登山道は小蓮華岳のピークを通っているのだが、山頂付近で崩落があって立ち入り禁止になっており、登山道はピークを避けていつもより下を通っていた。そのことに気づかず通過したことを後で知る。


 強風に加えて時折雨が強く降るようになるとシノの動きがさらに緩慢になり、顔から生気が消えて行った。8:20,立ち止まって1枚余分に着せる。その様子を見ていたレイも急に口数が少なくなる。
 8:40,再び歩き始めるがレイまで元気がない。ここまで強風に晒され通しで体温を奪われ、また強度のストレスを受け続けてきているので風を避けて体を温め、緊張と不安を和らげる必要を感じ、風のないスペースを探す。
 8:50,思い切って登山道を外れ、信州側に崖を少し下がって稜線の陰の風のないスペースに避難する。
 稜線からちょっと下がっただけで黒部側からの風がピタリと止み、そうすると吹き曝しの寒さはどこへ行ったかと言うほどの穏やかさに包まれて、それだけで人心地を取り戻すことが出来る。それがその時点で最も必要なことだったのだ。


 シノとレイの士気は下がり切っていたが、先ずシノの体を温めることが先決だった。ぬれてはいないようだったが湿っている下着を着替えさせることにする。女性スタッフと3人の子ども達がシノを囲み、イチ・二ノ・サンで下着を脱がせて素早く着せ、その上にシャツとセーター,雨具を着せる。女性スタッフがいてくれたお陰で対応できることだった。
 落ち着いたところでシノとレイのそれからの行程について2人の気持ちを確かめる。

 

あまってら農園の歴史④・・・抜根から耕作へ

2007-09-25 07:56:17 | あまってら農園

 大きな木であっても手鋸で1時間も頑張れば子ども達でも倒すことが出来るが、抜根はそうは行かない。直径10cmの木でも根を掘りあげるには2時間も3時間もかかり、子ども達の手に余る。20cmを越えるとおとなでも半日仕事となる。
 時間が限られた仕事ではないのだからそれもいい,のんびりやれば・・・と思っていたところ,地主さんが重機を入れて一気に抜根し、デコボコだった地面を均してくれた。お陰で原野の上,5分の1ほどの広さの畑が出来て翌春にはジャガイモの植えつけが可能となった。


 再開墾を一番喜んでくれたのは実は地主さんだったのかもしれない。何しろあちこちに点在する山林や原野化した畑の手入れに手が廻らず、心ならずも荒れるに任せているのだから、それが畑として甦り、管理してもらえるならありがたいことで、『大いに利用してくれ』と言って何かと便宜をはかって下さる。ついでに地続きのカラマツ林の除間伐も任せる,間伐材は好きに使えと言うこととなり、こうして双方があり難がるいい関係を結べることとなった。




 畑を持たない者が畑を借りて農業の真似事をするには法的にクリアーしなければならない問題があるが、貸借契約をキチンと結べば不可能ではなく、双方の合意さえ成立するなら、利用可能な畑は無尽蔵と言うくらいあるのだ。 
 

常念岳異影

2007-09-24 23:50:48 | アルプス
 
 夕陽が沈んだ後,常念岳の山影が手前の雲に映っている珍しい光景を見た。

 どうしてこのような影が出来たのかその条件を考えて見た。その条件は・・,
①影が出来るためにはそこに何らかの物体がなくてはならない。
②その影が裏から透けて見えると言うことは、その物体が極めて希薄でなくてはならない。
③その物体は影が出来る位置にのみ存在する。(常念岳から私の位置まで連続していない)。
④日没直後である。
 と言うことだろうか・・。
 この4つの条件を満たす状況は、常念岳の山頂周辺にだけ極めて薄いガスまたはダストの層があると言うことだろうと思う。それはしかしそれほど珍しいことではないだろうと思うが、実際にこのような二重の影(常念岳も第1の影)を見たのは初めてである。
 

あまってら農園の歴史③・・・少年団伐木隊登場!

2007-09-24 09:45:18 | あまってら農園

 2001年,矢の沢地区を拠点として、登山,キャンプ,釣り,カヌー,野菜づくり,燻製教室,藁ゾウリづくり等,遊び,冒険と農作業を結合した子ども達の自治組織,『あまってら少年団・冒険学校』をつくった。
 『あまってら少年団・冒険学校』は、自然を舞台とする様々な冒険や遊びとともに、自然とどう向き合うかと言う,自然と人との関わりについても学ぶ場でありたいと願っている。 
 立ち木の伐木は危険な作業であるし、15mもある木を切ることには抵抗がある者もいる。それを解かって敢えて切らせるのは、その意義とノウハウを子ども達に教えることを通して自然とどう向き合うかと言うテーマに迫りたいからだ。


 伐木に当たっては、指揮者となる子どもと補助する子どもを決め、指揮者のリードで切り始める。最初に受け口の切込みの入れ方を指導し、倒す方向に対して正確にこれと直交する切り口を木の直径の3分の1ほど入れる。この時,そこにいる子ども達全員に倒れる木の先端の位置を予想させてそこに印をつけさせる。


 受け口が決まったら追い口の位置を決めて切り始める。手鋸なので時間がかかるが辛抱強く切り続ける。時間が長引くと緊張感が切れてダレが生じ、いつの間に切り進みすぎていることがあるので指導者は目が離せない。
 追い切りが木の直径の半分に達したらいつ倒れるか分らないので、指揮者の指示でその場にいる全員を安全な場所に避難させる。また、切る者の逃げ道の安全を再確認して最後の追い切りに入る。直径の半分を超えて、木が傾き始めたら、慌てず後方に避難し、後は木が自重で倒れるのを見守る。但し真後ろは避ける。


 周りの潅木をなぎ倒し、蔓を引きちぎりながら地響きを立て倒れる様はすさまじく、子ども達は息を呑んで見守る。先端は子ども達の予想をはるかに超えた位置に達している。
 こうやって30本あまりの木を1本1本倒して行った。