島々谷川第3号砂防ダム~殆ど砂で埋め尽くされている/同実測図
写真は島々谷川・徳本峠越えコース起点から約3kmの所にある第3号砂防ダム。見取り図からも分かるようにかなり屈曲の強いアーチである。
3号ダム上部のつり橋からダムを見る/同,上流を見る
ダムの上部は砂で埋め尽くされているが、これでも堆砂率は竣工以来半世紀経って半分くらいだそうだ。
島々谷川は上流の二俣で北沢と南沢に分かれるが、北沢には第4号,第5号と2つの砂防ダムがあり、そのさらに上流には第6号砂防ダムがつくられようとしている。
4号ダム上部は5・6号ダム建設による土砂で埋まる/トンネル掘削による廃土を盛った堤防
4号ダムにも土砂が堆砂しているが、これは上部の5号ダムに工事に伴って流出した土砂であると考えられているが、砂防事務所はそれを認めようとしない。
また5号ダムを埋め尽くす土砂は、トンネルの掘削によって出た土を盛り土してつくった堤防が流出したもので、これは砂防事務所も認めている。
つまり、4号,5号共に人為によって掘り出された土砂を止めるだけの機能を果たしているに過ぎず、本来は必要なかったものだったことになる。
6号ダム建設予定地付近の大岩壁/沸き立つ黄葉
その上にさらに6号ダムをつくろうとしているのであるが、下流の3号ダムが竣工(1962年)以来半世紀,完成(1978年)後34年を経てなお半分しか堆砂していないことを考えると、その必要性の根拠が見当たらない。3号~5号の土砂を浚渫・排出すれば6号の必要性はなくなるのである。
徳本峠越えの道/参加者一同
10月27日(土),労山県連自然保護委員会による自然保護学習講座『砂防ダム見学会』が行われ、渓流保護ネットワーク代表の田口康夫氏を講師に迎え、島々谷川,徳本峠越えコース起点から二俣・北沢5号ダムまでを往復して砂防ダムの現状と問題点を学んだ。
下流の河床(黒い線まであった)が下がって基部が抉れる/それを補強する無駄
先ず最初に入り口付近の堤防を見る。自然の流れに任せておけば土砂が平均的に分散して下流に運ばれるが、砂防ダムにより土砂が下流に運ばれなくなると、写真のようにかつて黒い線の所まであった河床が下がって護岸壁の基部が抉れ、それを補強するために更に護岸工事が必要となる。
また最終的に海岸線に運ばれるべき土砂が供給されないため、海岸線が後退して行く。
日本中の約10万基の砂防ダムの下流で同様のことが起こっている・・,との説明。
つり橋からダム上部の堆砂を見る/
徳本峠越え入り口の駐車場にはゲートがあるが、施錠はされていないので手でバーを押し上げて通過し、3号ダムまでは車で移動。3号ダムの堆砂状況等を確認した後、歩いて二俣・北沢方面に向かう。
3号ダムの上部にはぎっしりと堆砂しているが、それでも堰堤まではなお2mほどの余裕がある。かつてここは浚渫してトラックで運び出した経緯があり、渓流ネットは土砂の浚渫・搬出を提唱している。
また、堆積した土砂を下流に放流するために、ダムをスリット化することを提唱している。スリット化とはダムの中央部に3m程のスリット(縦)を入れて土砂と水を流そうと言うもので、新しくダムをつくるよりはるかに安上がりとのこと。既存のダムのスリット化は容易には進まないが、新しくつくるダムについてはスリット化は有効なものとして受け入れられ始めているそうだ。
洪水の元凶となる廃土置き場/はち切れんばかりの金網
所々に不自然に広い場所があり、ハンノキが群生していたりする。そこは工事に伴う廃土を捨てた場所で、このように渓流沿いに廃土を捨てるとそれによって狭隘化した部分で勢いを増した流れがすぐ下流に水衝をつくり、堤防を突き崩して決壊させることになる。
自然が創り出した地形を人間の都合で変えるとこう言うことが起こるのだそうだ。そう言う場所が無数にあり、渓流ネットは廃土は完全に渓流の外に排出するよう主張している。
カツラの落葉~カラメルの匂いがする/サワラか・・・
チャナメツムタケ~なんとデカイ!/ヌメリスギタケモドキ~見事だった!
支沢の流れ~反対側は安曇野の黒沢滝/ここをダムで潰すのか・・!
寄りそうイワナの雌雄/産懸命に卵床をつくる♀
徳本峠越えの道から急斜面の山々を見上げると針葉樹の濃い緑と紅や黄に燃える広葉樹の織りなす色合いが美しく、また足元の落ち葉からはほんのりと甘いにおいが漂う。
キノコはあまり多くはなかったがチャナメやナラタケ,ヌメリスギタケ等が見られた。
対岸の森の中で吠えるサル,カケスの飛翔,イワナの群遊,その産卵を待つカワガラス,不意に飛び立つヤマドリ・・。
楽しい学びだった。
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