遊びと学び,創造の基地・山のあしおと小学校

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入善町芦崎地区の高波被害

2008-05-17 10:52:26 | たび・出会い
 赤茶けて倒れかかる松
     陥没した緩傾斜護岸 
入善町芦崎地区

 園家山の松林から海岸線に沿ってつけられた護岸堤の道路は行き止まりになるが、一旦道路に下りてその先で再び海岸線に出ることが出来る。その堤防道路を歩いていると、行く手の護岸の内側(海側)に植えられた松が赤茶けて道路側に倒れかかり、その外側の路上に消波ブロックがデンと置かれているのが見えた。
 おかしいなと思って堤防の外側(海側)に入って見ると砂浜を覆う緩傾斜護岸の一部が大きく陥没しているのが見えた。その時初めてそこが2月に起こった高波被害の現場であることに思い至り、いきなりその核心部の現場にに入っていたことに驚く。
 立ち入り禁止区域に入り
   高波による破壊状況を見る  

 近くにいた人に当時の状況を聞いてみた。消波ブロックが置かれていた場所は鋼鉄製の水門(写真)があったところで、高波はこの頑丈な水門を押し破って侵入し、大量の水がその地区にあった家屋を押し流したのだと言う。
 鋼鉄製の水門
 飴のようにへし曲げられ
 大量の水が流れ込んだ
 ここに水門があった

 堤防道路を挟んだ向かい側のこの区域に数十戸の家屋があったが、全部流されたと言う。何事もなかったようにきれいに片づけられているその場所は、生々しい現場だったのだ。



 2月24日の高波被害の新聞報道

 『70棟以上の建物に被害が出た黒部市生地地区。同地区の海岸は堤防は完成したが、沖合80メートルに消波ブロックを組み合わせる離岸堤の整備が終わっておらず、被害が大きくなった。同河川事務所は「計画上は、今回の高波被害はある程度防げた」と話す。
 また、砂浜は波を砕きエネルギーを弱める働きがあるが、入善町芦崎地区や黒部市生地地区などの海岸は、全国的にみても浸食が激しい海岸だ。昭和初期は幅100メートル程度の砂浜があったが、今はほとんどない。強い波が絶え間なく押し寄せ、海岸の土砂を削り取ってしまったからだ。
 近くを流れる黒部川が、江戸時代以降の治水事業やダムの完成などで海岸まで土砂を供給しなくなったことも浸食を進める一因となっている。
 豊橋技術科学大学の青木伸一教授(海岸工学)は、「今回発生した波はエネルギーや波高が大きく、津波に近いのではないか。堤防だけの『線』で防ぐのではなく、海岸に到達する前に波のエネルギーを弱めるため、沖合の離岸堤や砂浜の保全など『面』で防御するのが重要」と指摘した。
(2008年3月6日 読売新聞)』