遊びと学び,創造の基地・山のあしおと小学校

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タコ繰りの手順

2014-08-27 08:00:44 | 平郡島にて・平郡島から


 タコ繰りの手順 ・・・ タコ壺の引き上げは次の手順で行われる。

 先ず、海底から引き揚げたメインロープを舳にあるローラーに乗せる。船はニュートラルで自力走行はせず、ローラーの回転でロープを引き上げ(寄せ)ることによってのみ前進する。それ故、潮の干満による潮流にあわせて潮が流れる方向に進むよう作業する。
 潮の流れに乗って作業すれば順調に進む作業も、途中で潮が変わって逆流になると捗らなくなるだけでなく、潮流に押し戻されてローラーが逆回転し、危険でさえある。このため、出漁時間は潮の流れに合わせたものとなり、作業時間も〇時〇分頃まで~、と限られてくる。
 ローラーの回転は遅くも早くも出来るし、トラブルの際等は必要に応じてバックも出来るが、通常は作業者の熟練度とコンビネーションによって決まり、当然ながら初心者の自分が入る分だけ遅くなっている。





 舳に陣取った1人がローラーによって引き上げられてくるタコ壺のロープを掴んで素早く手前に引き寄せ、中を確かめてからタコが入っていれば後の甲板に置き、入っていなければすぐに海に戻す。
 この時のツボのロープに手をかけるタイミングが難しい。早すぎるとツボの咽喉元を掴むことが出きす、ロープを掴んでもツボを自由に操作できない。遅すぎるとツボの結び目がローラーに乗ってしまい、ツボがローラーに振り回されることになる。それを避けようとすると、指をローラーに巻き込まれる危険がある。これには技術的な問題だけでなく、上背や腕の長さ等、体格の問題も絡んでくる。





 後方に陣取った1人がタコ壺からタコを出し、空になった壺を海に戻す。と言ってもツボに手を突っ込んで引っ張り出そうとするとタコはピッタリと壺の内側に貼りついて金輪際取り出せなくなる。
 タコをツボから出すには、あらかじめ用意してある塩水をかける。すると濃い塩水を目に浴びたタコはたまらず自分から出て来るのである。
 壺と壺の間隔が10m程あるので、その間にタコが出てくればよいのだが、なかなか出てこない場合や時には2つ,3つと連続して入っている場合もあり、だからと言って順番を越えて後のツボを先に海に戻すことはできないので、忙しい時にはタコを取りだせないまま海に戻すこともある。戻しても次に入ることは確実なので無理はしないのだ。





 タコを繰ると言うのはそれだけの作業であるが、後ろにいる作業者にはタコを船底の生け簀に放り込んだり、生け簀の状態を良好に保つと言う作業がある。
 タコは大きさによって別々の生け簀に入れるが、生け簀の収容力に限りがあり、満杯になると酸素不足でタコが生け簀から這い上がってきたりする。(タコが取水口を塞いでしまって新鮮な海水が入って来なくなることもある)
 あまりに獲れすぎるとタコが死んでしまうことがあるので、そうなる前に〆る必要がある。後方の作業者は、タコが入っていなければ何もすることがなく暇を持て余すが、獲れすぎると超多忙になるのである。





7月27日(日)
 中2日ないし3日おいて次の漁に出るのが本来だが、前日,200個ほどを残したまま中途で終っているので、その残り分を引き上げるため2日続きの出漁となる。

 7時前に出て漁場に着くと、前日帰る際につけて置いたウキが見当たらず、改めてサジで探り当ててからの引き上げ開始となる。
 はじめは船の舳に陣取って、ローラーで引き上げられてくるツボを取り、タコが入って入れば後ろに置き、空であればすぐに海に戻すと言う役を教わったものの、タコツボのロープに手をかけて引き寄せるタイミングが難しく、また体格の違いもあってローラーの回転に追いつかないので、後ろでタコが入っているツボからタコを出して、ツボを海に戻す役に代わってもらう。





 サジで探り当てた辺りの壺は前日引き上げて再投入したもので殆ど入っていなかったが、少し進んで前日残したツボになってからは俄然忙しくなる。
 そこから先の壺は投入後、中4日もおいているので次々と上がって来る壺の4割以上にタコが入っていて生け簀に放り込む暇さえなく、船上をタコが這いまわると言う状況で、3つ目の生け簀も満杯になり、苦し紛れに這い上がって来たタコが強い陽射しにデレ~と伸びてきたので慌てて〆にかかる等、大わらわとなる。




 9:40に潮流が変わりローラーの回転がきつくなったが、未だ半数近くが残って要るので潮に逆らってさらに作業を続行し、11時に終了。
 4つ目の生け簀も満杯の推定200kg、Takaさん必死の生け締めも追いつかないほどの大漁となって意気揚々と引き揚げる。

ぎりぎりセーフの土用干し

2014-08-06 11:05:59 | 喰う寝る○太

 上:6月11日漬け込みの梅/下:7月6日漬け込みの梅


 6月8日・11日(上)と7月6日(下)に漬けこんだ梅の土用干し。
 今年の土用の入りは7月20日で、夏の土用の期間は平均して18.82日なので、今日8月6日までが土用で、ギリギリセーフの土用干しと言うことになる。


 写真は6月11日漬け込みの梅と7月6日漬け込みの梅で、両者に約1ヶ月の差があるのが梅の色に現れているものと思われる。食べてみると先に漬けた方が塩が馴染んで甘味があるのに比して、後の方は塩っぱさが際立つ。








 前者ははじめ5%で漬けたが、カビが浮いてきたてたので途中で1%追加。それでも梅酢が濁って来たので更にもう1%追加して結果的には7%となった上にホワイトリカーを少量投入した。
 梅10㎏に対して30㎏の重石をかけて一気に梅酢を上げ(その後は10㎏に落とす)たので、はじめの荷重で潰れウメが出るのもやむなしとする。


 後者は5%を諦めてはじめから8%にしたところ、カビはごくわずかだった。荷重を2倍程度にした分梅酢がやや少なく、梅自体も塩気が勝ってねっとり感が少ない感じがする。

 前者の梅酢は5ℓほど採れた。出来れば加熱は避けたいところだが、濁ってしまったので水きりネットで数回濾して煮沸し、梅酒用の8ℓ瓶で時間をかけて沈殿させることにした。
 後者(5ℓ)はカビの影響は殆どなかったので、塩もみして置いた紫蘇を入れてそのまま梅酒用の瓶に保存。
 土用干しが終った時点で梅と合わせるが、梅はヒタヒタに浸かる程度でいいので、残りは柴漬け等の調味液として使う。

 梅酢は何にでも使える最高の調味液ナノダ!!

打率3割~船上をタコが這いまわる…平郡島タコ繰り日記

2014-08-06 08:06:13 | 平郡島にて・平郡島から




 平郡島でのタコ壺漁,今期3度目の出漁は、500個の壺の3割に当たる約150杯のタコが入ると言う豊漁だった。

 これまでの作業
7月22日(火)
 島に着いたその日の夕方,250個のタコ壺を船に積み込み、メインロープに結束する作業を補佐。タコ壺の結び方はブーリン結びに似ていると思った。これは今夏中にマスターしたい。






7月23日(水) 今期初の壺入れ。
 9時過ぎに港を出て漁場に向かう。タコ壺漁師のTakaさんには細々とした作業がゴマンとあるので、漁場までの片道40分の行き帰りの操船を任せられる。
 漁場に着くと、まず発泡スチロールの大きな目印を結んだロープ、次いで錨代わりとなる大石を投入し、そこから充分な間隔をとってタコ壺を投入して行く。
 この作業は、潮の流れを読みながら船をまっすぐに、かつ壺と壺の間隔が緩まないようにゆっくり前進させる必要があるので当然takaさんが操船し、自分が壺を投入する役になる。
 こうして初日の作業は250個の壺を入れ、エンドの発泡スチロールを浮かべて約3時間で終了。







7月26日(土)
 中2日置いて初の壺揚げ(~タコ繰りと言う)。タコ壺漁をぜひとも見せて欲しいと言う女性が乗船して11時に出漁。この日の計画では先日投入した250個の壺を引き上げた後、新たに用意した250個をつないで500個にする予定だったのだが、トラブルが発生した。

 漁場に着くとまず最初にあるべきウキを探し、これをハッカーで引き寄せて錨代わりの石を引き上げ、そこからローラーでロープを手繰り寄せながら壺を上げて行くのだが、肝心のそのウキが見つからない。
 やむなくそのまま船を進めてテール側のウキを探す。ところが頼みのもう1つのウキも見つからない。
 一帯は大型のタンカーや貨物船がひっきりなしに行き来する海上交通の激しい所なのでウキをつけたロープが切られることはしばしばで、まともにウキが見つかることの方が少ないのだと言う。






 そう言う場合はサジと呼ばれる重い金属の塊に角が生えたような錘で海底を探り、メインロープをひっかけて探すしかなく、さっそくその作業に切り換えられてメインロープに対して直角に絡むように船を蛇行させながら進むこと20分で意外と簡単に探り当てることができた。
 探り当てたメインロープはそこで一旦切り、一方の端にはウキと重石をつけて沈め、もう一方のロープをローラーにかけて壺を引き上げるのである。






 切った部分は始点から200個くらいの所で、この200個は海に戻して残りの50個を引き上げると、普通は率にして1割程度のところ、何と4割近い壺にタコが入っていた。
 気をよくして最後の壺の先に新たな250個の壺を繋いで投入し、先刻沈めた一方の端から逆方向に向かっての引き揚げ作業にかかるべく、切断点に戻って見ると、さっきつけたばかりのウキが見つからない。
 ほんの1時間ばかりの間にまたまたウキのロープを切られたのだ。これには参った!!
 Takaさんは『バタバタしていてロープを結束していなかったのかな…!?』と首を傾げていたが、自分がしっかり見ていたからそれはない。







 かくしてタコ繰り初日は不完全燃焼に終わったが、わずか50個で20杯、約15kgの収穫は、今期のタコ漁の好調さを示す上で充分すぎる数である。
                                                                                                       ~続く