宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生
”日の許に新しきものなし”という諺を、さらに証明するために私はもう一度、時代を遡ってボストンのDr.ランダールのもとで修行したアメリカの歯科医師パームリーの業績を指摘したいと思う。
Dr.ロットは、パームリーが個人口腔衛生について極めて熱心な歯科医師であると記述している。確かにこの問題について話したり、著したりするときの彼の熱心さは目を見張るほどであった。パームリーは赴くところ。どこでも宣教師のような熱心さをもって口腔衛生の福音を説いて回ったのである。
彼は病気について次のように記述している。”その病気はゆっくりと潜行して、長期間にわたりながら知らない間に進行していく。そして最後にその恐るべき敵は姿を現すのである。たとえて言うならば敵が街の入り口に到達したかどうかを気づく前に、すでに街中が廃墟となってしまうようなものである。歯が清潔に保たれている限り、病気は決して発現することはない。
パームリーは歯に付着した食物残差の発酵が一般的な原因であると語っている。そして、このように述べている。”私が推奨する器具で歯と歯肉とを定期的に清掃するならば、ウ蝕は起こりえないということを自信を持って言うことができる。これがこの重要な器官である歯を、生涯に渡り健全な状態で保持していくための方法についての私の明快な見解である。”
彼の言う器具とはブラシ、ペースト、フロスシルク、そして口腔内をみるミラーである。これらは110年を経た今日の私たちが患者に指示する器具と〃ようなものである。
パームリーは1859年に65歳で亡くなった。彼は自らが説いたことを実行した人物として知られている。同業者は彼の患者を、そのきれいな歯によって言い当てることができるとしばしば語っているほどである。