博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

于正版『神雕侠侶』その7

2015年04月02日 | 武侠ドラマ
于正版『神雕侠侶』第31~36話まで見ました。

李莫愁の氷魄銀針の毒により、情花の毒が一時中和状態となった楊過。しかし郭芙と口論の末に片腕を斬り落とされ、襄陽城から逃亡。そしてタイトルに着いている神雕と出会います。今回の神雕はフルCGです!(2006年の張紀中制作ドラマ版ではCGと着ぐるみの併用)そしてここで独孤求敗の回想シーンが。物語の時点で故人になっていて語り部がいなくても回想シーンになるんですね……



上の画像のごとく、若い頃にイケメンだった独孤求敗は悪漢たちに追われる女性荷香を救い、次第に惹かれていきますが、実は彼女はその悪漢たちが独孤求敗を陥れるためのスパイなのでした。彼らの罠に掛かり、彼女によって断崖絶壁から墜落させられますが、落下する独孤求敗を空中で救ったのが神雕だったという次第。「崖から落ちて死んだ人なんいません」の元祖である絶情谷のシーンの前に、こんなどうでもいい場面でこのネタをやってしまうのですか(困惑) で、生きて戻って来た独孤求敗に落とし前を付けさせられ、荷香は自殺したという次第。何か金庸と言うより古龍作品に出て来そうなエピソードです……

一方、小龍女はひたすら自分を汚した甄志丙・趙志敬をストーキングし、その過程で周伯通と再会。金輪国師の毒蜘蛛にやられた周伯通と洞窟に立て籠もり、アホにしかマスター出来ないとされる左右互縛術(右手と左手で違う技を使う)を修得したりしております。で、何とか洞窟を脱出した後は終南山に向かうことに。

そして神雕とともに独孤求敗の残した玄鉄剣の修練を重ねる楊過ですが、実は上段の独孤求敗の回想に続きがありました!実は死んだはずの荷香が生きていて、独孤求敗を陥れたことを後悔していたという話なんですが、まさか続きがあるとは思いませんでした。脚本の于正のことを甘く見てましたね……

で、片腕を斬り落とされた落とし前を付けるべく、郭芙を探す楊過。その郭芙を逃す過程で黄蓉が郭襄を抱える李莫愁と出くわしたりしてますが、何かこの2人が初対面のような口ぶりなんですよね。このドラマでは冒頭のあたりでこの2人が対面していたと思うのですが…… そして2人が戦っている間に郭襄を攫う楊過。

そしてその頃、絶情谷では情花の毒の解毒薬を入手するべくやって来た朱子柳らが裘千尺に捕らえられ……
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2015年3月に読んだ本

2015年04月02日 | 読書メーター
中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)感想インターネット史のみならず、90年代以降の中国世相史、サブカル史ともなっている。従来のチャイナカルチャー本では捉えにくかった時代的な文脈を読み取れるようなまとめ方となっている。本書では中国政府による国内のネット統制を「ワールドワイドウェブからの独立」と評価しているが、(その評価が妥当かどうかは議論があるだろうが、それはさておくとして、)外国のコンテンツの後追いしか出来ない中国がその「パクリ」行為の繰り返しによって独自のネット世界の形成を成し遂げていくさまは、「愚公移山」を連想させる。読了日:3月2日 著者:山谷剛史

中国語五十年 (1973年) (岩波新書)中国語五十年 (1973年) (岩波新書)感想中国語学・中国文学の大家による中国語学習・研究半生記。戦前の中国語学習がどんなものだったかが窺える。本書27~28頁の、あるテキストを自分で指定して中国の人にそれを読んで講義してもらうという学習法は現在でも有効だろう。105頁で言及されている「中国の古文のための辞典」「現代語をやった人たちがそれによって古文がよめるような辞典」はまだ作られていないのではないか。(中国で刊行された古代漢語の解説書の翻訳はありますが……)読了日:3月7日 著者:倉石武四郎

小さいおうち小さいおうち感想映画版が良かったので原作も読んでみることに。日中戦争開戦のあたりから終戦までの東京の生活が事細かに描かれているが、文房具屋が後家がやる商売と見られていたことや、興亜奉公日に児童が持参する日の丸弁当の底におかずが隠されていたこと、「翼賛型~」という流行語があったこと等々は一体何を資料としているのだろうか。(末尾の対談で触れられている著者の祖母の思い出話などに基づいているのかもしれないが)読了日:3月9日 著者:中島京子

静粛に・天才只今勉強中! 1~最新巻 [マーケットプレイス コミックセット]静粛に・天才只今勉強中! 1~最新巻 [マーケットプレイス コミックセット]感想ジョゼフ・フーシェをモデルとしたコティの半生を描いています。その事績はフーシェと一緒なので、なぜ名前を変えたのかがわからないのですが…… フランス革命勃発からナポレオンの天下までを物凄く淡々と描いています。途中で打ち切りにあったんでしょうか?モスクワ遠征のあたりで終わっているのが惜しまれます。 読了日:3月10日 著者:倉田江美

漢字の運命 (1952年) (岩波新書〈第93〉)漢字の運命 (1952年) (岩波新書〈第93〉)感想近代中国での漢字標音化の試みについてまとめ、最後の一章で日本での状況について触れる。初版が中国で漢語拼音方式が公布される以前に出版されたことを踏まえると、本書自体が漢字標音化の試みの史料と化していると言えよう。最終章で日本の人名漢字の制限について言及しているが、現在の「キラキラネーム」の氾濫する状況を著者が知ったらどう思うのだろうか。読了日:3月11日 著者:倉石武四郎

中国古代再発見 (1979年) (岩波新書)中国古代再発見 (1979年) (岩波新書)感想貝塚茂樹の著作としてはほとんど注目されていないものだが、1970年代末頃までの中国考古学や古史研究の成果を簡潔にまとめている。無論貝塚茂樹の学問のエッセンスも盛り込まれている。ただ、内容は今となってはやや古くなっており、21世紀の今読むものとしては中途半端か。読了日:3月13日 著者:貝塚茂樹

天の血脈(5) (アフタヌーンKC)天の血脈(5) (アフタヌーンKC)感想嬉田先生が一方的にライバル視する白鳥庫吉が登場、イサナが現代へ?、柳斗星も再登場と、見所あふれる巻となっております。やはり話に古代史成分が絡んでくると盛り上がるなと。読了日:3月17日 著者:安彦良和

伊藤博文 近代日本を創った男 (講談社学術文庫)伊藤博文 近代日本を創った男 (講談社学術文庫)感想本書では伊藤博文が大日本帝国憲法制定にあたり君主機関説を取り入れ、明治天皇にもその理念を理解させたと評価し、また将来的にはイギリス型の政党政治を展望していたこと、一方で憲法の不備も承知し、内閣が陸海軍を統制するなどの方向で憲法改正を考えていたこと、日露戦争直前の日露協商論も当時の状況から見てやはり現実的な外交方針であったことなどを論じる。統監としての韓国統治についても相応の紙幅が割かれている。読みどころは全六部中、大久保利通の死後を扱った第三部以後の後半生の部分。読了日:3月18日 著者:伊藤之雄

舟を編む (光文社文庫)舟を編む (光文社文庫)感想やはり映画版を見てからの読書。Amazonレビューでは色々批判されているが、辞書づくりのエッセンスは十分に盛り込まれた内容になっていると思う。巻末の馬締の恋文は、唐詩なんか引かずに『詩経』国風の恋愛詩を引用してたらもっとストレートな恋文になったのではないかと思うが (^_^;)読了日:3月21日 著者:三浦しをん

「昭和天皇実録」の謎を解く (文春新書)「昭和天皇実録」の謎を解く (文春新書)感想完成したばかりの『昭和天皇実録』を肴にした対談集。実録の編纂は中国王朝の伝統を承けたものだが、それとともに中国の史書に見られる「春秋の筆法」の伝統も受け継いでいるようだ。また、近年話題になった「富田メモ」など、マスコミが発掘した新史料も今回の実録で史料として採用されているとのこと。読了日:3月23日 著者:半藤一利,保阪正康,御厨貴,磯田道史

ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか (光文社古典新訳文庫)ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか (光文社古典新訳文庫)感想文章は読みやすくなっているが、翻訳担当が専門の研究者ではなく普通の翻訳家という点と、解説が橋爪大三郎という点に不安が… 読了日:3月30日 著者:内村鑑三
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