博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『水滸伝』その9

2011年03月25日 | 中国古典小説ドラマ
『水滸伝』第50~56話まで見ました。

雷横を護送する途中でわざと逃した朱仝は罪を得て滄州へ流刑に。その後は当地の知府に気に入られて恵まれた流刑ライフを送っておりましたが、知府の息子の小衙内が李逵によって殺されたことで、不本意ながら梁山泊入りを迫られることに。この小衙内殺害は個人的に『水滸伝』の中でドン引きさせられるシーンのトップ1なんですが、今回のドラマ版では山中で小衙内の身柄をめぐって朱仝と李逵が揉み合っているうちに、李逵の手からうっかり小衙内が谷底へと滑り落ちてしまうという展開で、故意の殺人ではなく言わば過失致死のような状態となっており、李逵が小衙内の頭をかち割っていた原典と比べてややマイルドな方向にアレンジされています(^^;)

朱仝の怒りが冷めるまで柴進の屋敷に留まることになった李逵ですが、殷天錫を殴殺した罪を柴進が替わりに引き受け、高俅の従兄弟の高廉に捕らえられることに。ここで柴進は先祖が宋の太祖より授けられた「丹書鉄券」を持ち出して罪を逃れようとしますが、この手の水戸黄門の印籠的アイテムが何の効力も発揮しないのは、最早中国時代劇のデフォルトだなあと。

宋江らは柴進を救出するべく高廉の守る高唐州へと進軍しますが、高廉の八卦陣を破ることができるのは公孫勝のみと分かった段階で、はじめて公孫勝が母親を迎えに行ってから梁山泊に戻って来ていないことを思い出します。ここまで存在を思い出してもらえなかった公孫勝は意外と影が薄い人なんじゃないでしょうか(^^;)

高廉が敗死した後、朝廷は建国の功臣呼延賛の子孫呼延灼に梁山泊討伐を命じます。この呼延灼の連環馬を唯一破ることのできる徐寧を仲間に引き入れるため、「鼓上蚤」の時遷は徐寧が家宝として大切にしている「賽唐猊」を盗み出すことに。こういう回りくどい展開は一昔前のRPGのフラグ立てを思い出させますね。

で、この徐寧の「鈎鎌鎗」に太刀打ちできずに敗走する呼延灼ですが、途中で桃花山に立て籠もる「打虎将」李忠・「小覇王」周通と親しくなったりして、青州の知府慕容彦達のもとに落ち延びます。そしてその慕容知府の依頼で二竜山や白虎山の山賊を討伐することに。この時に親しくなったはずの李忠たちの桃花山も容赦なく襲撃してます。最早仁義もへったくれもありませんな……

呼延灼を追撃して来た宋江たちは二竜山に立て籠もる魯智深や武松たちと連携しようとしますが、生辰綱強奪の一件以来梁山泊に不信感を持つ楊志は連携を拒否。これに対して呉用は短剣で自らの胸を刺して詫びを入れますが、楊志はそれでも連携を承知しようとせず、魯智深らの説得も振り切って二竜山を出奔。このドラマ、生辰綱強奪の場面から一貫して楊志の不人情っぷりを強調しているのですが、何か彼に恨みでもあるんでしょうか(^^;) まあ、最後には二竜山のピンチを知って山寨に戻ってくるという展開になるんですけどね。しかし楊志さん、このドラマで一番割を食ってるキャラかもしれません……
コメント (2)
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