博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『江山風雨情』その5(完)

2007年05月08日 | 中国歴史ドラマ
『江山風雨情』第37~最終45話まで見ました。

このパートでは明朝の滅亡と李自成の破滅が描かれます。李自成の大軍が紫禁城に迫るも、明朝の群臣は既に逃亡しており、崇禎帝を守ろうとするのは王承恩ら宦官のみでありました。崇禎帝は皇后と愛娘を手に掛け、自らも煤山(景山)で自害。陳円円は小三児(崇禎帝の三男)とともに舅の呉襄の屋敷へと逃れますが、既にそこを接収していた李自成配下の劉宗敏に捕らわれ、劉宗敏は彼女を我がものとしてしまいます。

一方、山海関を守っていた呉三桂は李自成・清朝の双方から帰順を勧められますが、清朝に帰順することを決意し、ドルゴンら清軍とともに南下して李自成軍を散々に打ち破ります。そして陳円円・小三児を連れて逃亡しようとしていた劉宗敏を追撃しますが……

崇禎帝が誰もいない宮殿の中で途方に暮れる場面や周皇后が紫禁城の鐘をついて群臣を招集しようとする場面など、演劇チックなシーンが目に付きます。陳家林明末清三部作で比較した場合、物語の面白さで言えば『康煕王朝』>『江山風雨情』>『大清風雲』の順になりますが、こうした格調といいますか文芸性で比べると『江山風雨情』>『康煕王朝』>『大清風雲』の順になりますね。

陳円円が守ろうとした小三児、すなわち朱三太子は結局呉三桂によって清朝側に引き渡されますが、その後も朱三太子が反清復明のシンボルとなり、朱三太子の名を騙った人々による謀反が何度か起こったようであります。『康煕王朝』でも朱三太子と自称して清朝打倒を目指す楊起隆という人物が出て来ました。

また、この物語の主役の一人である呉三桂は、ここまで颯爽とした青年武将として描かれてきましたが、最終話近辺で野心に目覚めていくことになります。彼が最早かつて愛した青年英雄ではないと悟った陳円円の取った行動は……
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