世界162の国、地域を対象とした貧困層の人口割合、日本の貧困層の人口割合は16%で世界ランキングの順位は120位、1位はチャドの80%、最下位は台湾の1.5%、(2010・米CIAのワールドファクトブックより)
論文・子どもの貧困問題と貧困の連鎖の解決に向けて・堀・夕葵氏
香川大学 経済政策研究 第10 号(通巻第11 号) 2014 年3 月の文等を参考にしています。
一般的な所得の半分未満のお金で生活する人の割合
2012年の時点、1人世帯で年間122万円がこれに該当、2人世帯では約173万円、3人世帯で約211万円です。その額を下回る貧困世帯が日本全体で16.1%、子供のいる世帯では16.3%
2009年にユニセフ・イノチェンティ研究所発表、日本の貧困率は14.9%で、調査した35カ国の中で9番目
1人あたりのGDPが高い順に先進20カ国で見てみると、1人あたりのGDPが高いにも関わらず日本は、アメリカ、スペイン、イタリアに次いで4番目、ワースト4の貧困率
ひとり親世帯の貧困率は54.6%
2012年の厚生省発表では、ひとり親世帯の貧困率は54.6%(146万世帯)、日本の母子世帯では殆どの母親が働いています。約半数が貧困と背中合わせの、最低限度の文化的な生活とは程遠い生活をしています。健康で文化的な最低限度の生活を保障する憲法25条があるにも関わらず・・・
昨今のOECDレポートでも、日本のひとり親世帯の相対的貧困率はOECDに加盟する33カ国のうち、アメリカ、スペイン、イタリアを押さえ、最も高い数値です。一般的な所得の半分未満のお金で生活する人が多い日本、一人親となった場合の日本の貧困率は世界でトップクラスです。
親の貧困率が高まれば当然、子どもに十分な教育の機会を与えることが困難で、更に十分な医療を受ける機会さえ損失する可能性が高まり、負の連鎖となります。
特に母子家庭等、経済的に厳しい家庭、一人親で食事の支度がままならない家庭、共働きで親の帰りが遅い家庭の子ども達は満足に朝食・夕食を食べることが出来なかったり、1人で食事をする孤食の子ども達が多くいると言われています。
このような社会的状況から、様々な事情を抱えた子ども達に無料、低価格で食事を提供したり、学校で朝食を提供したり、また地域の子ども達に夕食を提供する、こども食堂の運営がボランティア等により全国に広がっています。喜ばしいことですが、世界有数の経済大国・先進国、巨額の資産を有する日本・・・情けなく思います。
2014年8月、子供の貧困対策に関する大網が閣議決定されています。
柱となった教育支援、生活支援、保護者の就労支援、経済的支援の4つは、ほとんどが各省庁の既存の事業を並べて再構成した印象が強く、新鮮味のある施策は見当たらなかったと同書でふり返っています。
大網では貧困率を改善するために数値目標が掲げられていません。地方自治体の対策事業も努力目標のみ・・・所詮他人事か!
貧困率をいつまでに何%に下げるのか?
そのために、国は地方自治体と連携してどのような対策を取るのか?
その結果をどう検証して次に生かすのか?
計画、実行、検証を繰り返してこそ、法律が実効性のあるものになるはずですが・・・国、地方自治体は、一生懸命努力しても経済的に苦しんでいる、特に母子家庭の弱い立場の人達の幸せを真剣に考えてほしいものです。
昨今、子どもの貧困率を下げることに成功したイギリス、フィンランド、イギリスは2020年までに10%未満にする目標を掲げています。実際に国をあげて改善を行い、結果を出している国もあるようです。
日本の未来を担う子ども達を、経済大国・先進国、日本は苦しい環境においておくわけにはいかないと思います。本来受けるべき生活保護さえ受けていない、貧困母子家庭も多いと言われています。
未来の日本を背負う子ども達です。
日本に生を受けた子ども達には何の罪も有りません。
今こそ私達は、この現実に目を背けることなく、直視すべきです。
英国、フィンランドが子どもの貧困率を下げることが出来たのに、日本が出来ないわけがないでしょう。
全ての子ども達に分け隔てなく、夢を持てる家庭を構築する事は、世界有数の経済大国・先進国、日本にとって難しいことでは無いように思います。