昭和33年の東宝作品で、上野の寄席(本牧亭かな)を舞台にした人情喜劇。出演は雪村いづみ、森繁久彌、日守新一、津島恵子、藤木悠、一竜斎貞鳳などで、監督は瑞穂春海という、戦中からいろいろな映画会社を渡り歩いたブログラムピクチャー系の職人さんである。一応、配給は東宝映画だが実際の制作は東京映画であり、その後このプロダクションが制作することなる駅前シリーズや若大将シリーズなどと共通する、コメディタッチの仕上がりになっている。あえていえばも森繁のところは駅前、雪村のところは若大将的なムードとでもいったらいいかもしれない。
前述の通り、舞台は上野の寄席だが、さすがに東宝-東京映画だけあって、全体は非常に都会的だ(音楽の神津善行もまさにパラマウント調の音楽で彩りを添えている)。寄席は妻をなくした父親と渡仏した許婚者を待つ津島が切り盛りしているが、息子がなかなか帰ってこないのでやきもきしている。そこに許婚者の妹である雪村は近くに住む藤木と縁談が持ち上がるが、実は藤木は津島のことを好いている。そこに渡仏した許婚者から婚約を破棄したい旨の手紙が来て…というストーリーだ(これに森繁の駅前シリーズ風なスケベオヤジ風の浮気がからむ-笑)。当然、ラストは収まるべきところに全て収まってお決まりのハッピーエンドとなるが、都会的な雪村の行動と寄席の古臭いムードが良い対照となり、また3つのドラマの流れを巧く連動させつつ、実に軽快なテンポで進んでいく。
出演者では、当時人気絶頂アイドルだった雪村いずみがモダンなはつらつした娘役で実にチャーミング(風貌的には今でいったら上戸彩みたいな感じ)。それとは対照的に楚々としたイメージで津島恵子も良い。また、藤木悠も好青年役で出演というのもおもしろいところだった(先日の「幽霊男」の翌々年の出演となる、ちなみに「キンゴジ」で高島とコンビを組むのはこの4年後)。ともあれ、出演者の中では最後に恋のキューピット役を演じる雪村いずみが、その切なさで最後にいいところを全部持っていってしまう(ラストの上野駅のシーンなど泣かせる)。当時の彼女のスター的「華」のようなものがよく伝わる作品でもある。
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前述の通り、舞台は上野の寄席だが、さすがに東宝-東京映画だけあって、全体は非常に都会的だ(音楽の神津善行もまさにパラマウント調の音楽で彩りを添えている)。寄席は妻をなくした父親と渡仏した許婚者を待つ津島が切り盛りしているが、息子がなかなか帰ってこないのでやきもきしている。そこに許婚者の妹である雪村は近くに住む藤木と縁談が持ち上がるが、実は藤木は津島のことを好いている。そこに渡仏した許婚者から婚約を破棄したい旨の手紙が来て…というストーリーだ(これに森繁の駅前シリーズ風なスケベオヤジ風の浮気がからむ-笑)。当然、ラストは収まるべきところに全て収まってお決まりのハッピーエンドとなるが、都会的な雪村の行動と寄席の古臭いムードが良い対照となり、また3つのドラマの流れを巧く連動させつつ、実に軽快なテンポで進んでいく。
出演者では、当時人気絶頂アイドルだった雪村いずみがモダンなはつらつした娘役で実にチャーミング(風貌的には今でいったら上戸彩みたいな感じ)。それとは対照的に楚々としたイメージで津島恵子も良い。また、藤木悠も好青年役で出演というのもおもしろいところだった(先日の「幽霊男」の翌々年の出演となる、ちなみに「キンゴジ」で高島とコンビを組むのはこの4年後)。ともあれ、出演者の中では最後に恋のキューピット役を演じる雪村いずみが、その切なさで最後にいいところを全部持っていってしまう(ラストの上野駅のシーンなど泣かせる)。当時の彼女のスター的「華」のようなものがよく伝わる作品でもある。
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