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さて、このアルバムずいぶんと久しぶりに聴いた。多分、15年以上は聴いていなかったと思うが、久しぶりに聴くとほとんど同格の作品のように思っていた「噂」と比べると、こちらはちと落ちるような気がする。もちろんこれも傑作には違いないし、とろけるようにメロウで、かつロック的な骨太感も失ってない音楽になっているあたりはさすがフリートウッド・マックだと思うのだが、音楽のメリハリ、ヴァリエーション、突き抜けたポップス性といった点で、こちらはちと平板というか、一本調子なところも散見するような気がする。「ウォームウェイブ」「シュガー・ダディ」、あとボーナストラックで収録されたジャムなどの曲を聴くと、カーウァンからウェルチにいたる中期マックのもっさりとしたところが、この時期はまだ残っていたようなところも感じられるし、「ワールド・ターニング」はバッキングガムが意図的に歴代ギタリストの後継者たろうとして、つっぱっているところもそうした残滓のようなものを感じさせる点なのだろう。
一方、スティービー・ニックスの2曲は今聴いても「なにを歌ってもスティービー・ニックス」みたいなキャラは健在で、彼女をフィーチャーした「リアノン」と「ランドスレイド」は今もって彼女の最高傑作なんじゃないかと思う。おそらく前者は自他ともに認めるマスター・ピースだろうし、後者は個人的に清涼感溢れるアコスティック・サウンドにのって、彼女のいがらっぽい声がのるミスマッチングぶりが、妙に乾いた叙情を誘うところが良くで、最後のコーラスのところでちょっことフィルセットに声が裏返るあたりはとてもチャーミングで、今聴いてもちょっとばかり切ない気持ちになる。