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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ジョン・アバークロンビー・クアルテット/アーケイド

2007年10月31日 21時09分43秒 | JAZZ
 ジョン・アバークロンビーというと、DMPからでた1984年に出たアンディ・ラバーンの「レキッド・シルバー」というアルバムで、ビル・エヴァンス直系といいたいようなラバーンのピアノに伍して、「ギターのビル・エヴァンス」といいたいようなプレイで、この両者が実に隠微なインタープレイを展開していたのがなにやらすっかり気に入ってしまい、2,3年前だったか、彼のリーダ名義のアルバムを数枚買い込んだことがあるのだが、これはその中でももっとも古い、78年のECMから出た作品である。私は彼の経歴とかを全く知らないのだが、多分、70年代後半にECMから出てきた人なのだろう、この作品は温度感の低いヨーロッパ的な優美さと、耽美的な雰囲気、そして独特の空間的なサウンドといった点で典型的にECMの香りを漂わせた作品だ。

 このアルバムのメンツは、アバークロンビー+ピアノ・トリオというスタイルによるクァルテットで、ピアノはリッチー・バイラーク、ベースがジョージ・ムラーツ、ピーター・ドナルドという布陣になっていて、メンツから薄々分かるとおり、おそらくここで聴ける音楽はアバークロンビー単独というよりは、事実上彼とバイラークの双頭バンドのようなものになっていて、実際、曲もバイラークが持ち込んだものの方が多いくらいくらいである。アバークロンビーのギター・ワークは理知的なセンスに支えられた、角の取れた独特の柔らかい音色が特徴であり、このアルバムでもそのあたりは縦横に発揮されているが、良くも悪しくも、ここではバイラークのやや情緒過多というか、妖しげで耽美的な雰囲気がアルバムの雰囲気を決定づけていて、バイラーク作の「ネプチューン」などという曲を聴くとそれがよく分かる。

 まぁ、なにはともあれ70年代に一世を風靡したECMレーベルだからして、こういう音になるのは、むしろ当然かもしれないが、その後のアバークロンビーの作品からすると、1曲目のタイトルトラックのような、もうすこし音楽主義的なところプレイで突っ走りたかったような本音があったような気もするのだが、2曲目以降は典型はとりあえずECMカラーに染まってみましたというところなのかもしれない。
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ハイドン 交響曲第26番『嘆き』/フィッシャー&AHハイドンPO

2007年10月30日 23時16分54秒 | ハイドン
 26番という番号はついているものの、これまで聴いてきた21~24番あたりのエステルハージ家の副楽長を勤めた時代の後に来る、いわゆる「シュトルム・ウント・ドランク(日本語訳は「疾風怒濤」、語呂といい字句といい、実にうまい訳ですよね)」と呼ばれる時期の作品のようです。シュトルム・ウント・ドランクというは本来はドイツ文学で起こったムーブメントのようで、「若きウェルテルの悩み」あたりに象徴されるような、理性より激しい感情の表出を優先させるといったあたりに特徴があったようで、これは当然、その後のロマン派の先駆をなす試みになる訳ですが、ともあれこの時期の音楽にもそれなりに共通する特徴であることから、一緒にくくられるなったんでしょうね。

 さて、この交響曲第26番ですが、久々にニックネーム付きです。日本では「嘆き」とか「哀歌」といった訳がつくようですが、第1楽章の冒頭からそのタイトルが納得できる曲調となっています。緊張感が高く、やけにものものしいニ短調のテーマは、とりあえずこれまでのハイドンの交響曲では聴いたことがないドラマチックさがあります。第二主題ではいくらか明るく展開されますが、全体としては確かに激しい感情のようなものを感じさせるます。モーツァルトの短調の交響曲もすぐそこ....といった感じですね。第二楽章はへ長調のごくごく普通の緩徐楽章。麗しい女性がしずしずと歩くような優美さがあります。第3楽章は短調のメヌエットで、全体にバロック的、教会的な響きがありますが、時に鋭いアタック音が聴こえてくるあたりは、第一楽章のエコーでしょうか、トリオは長調ですが、ここでもするどい和音が独特の緊張感をよんでいます。
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PAUL MCCARTNEY / Driving Rain [4]

2007年10月29日 13時17分47秒 | Beatles
08. ユア・ウェイ
ちょっと「ラム」の頃のポールを思い出させるカントリーフレイバーをもった曲。さすがにポールの声はかつてのような若々しさはないが、けっこうテンションのある歌いぶりのである。徐々に厚みのあるサウンドに推移していくあたりの展開もいいり。私はポールのソロ作品をすべて聴いている訳ではないが、この手の曲は彼の作品群でもありそうでいてけっこう珍しい部類なのではないか。
09. スピニング・オン・アン・アクシス
 冒頭はアコスティックな感じだが、本編は60年代の香りのするノスタルジックなソウル&ファンキー・ミュージックを今時なオルタナな感覚でまとめた....といった感じのサウンド。ポールのボーカルも前半はラップ風、中盤~後半は、フィルセットをとりまぜかなりソウルっぽい歌いぶりだ。
10. アバウト・ユー
 パッションたっぷりのポールのボーカルが楽しめる比較的オーソドックスなロック作品。基本的60年代後半のロック・サウンドだが、ここでもオルガンの音色がよいアクセントになっている。とはいえ、音楽的にはノスタルジーの塗りつぶされたような雰囲気ではなく、やはり今時なギター・ロック的感触があるのはこのアルバムの特徴だろう。
11. 愛するヘザー
 アルバム中でもひときわ明るい祝典的なムードある作品だ。アコピとギターのリフの繰り返しで構成されていて、ハミングのようなものは別としてはボーカルが登場するのは後半のみ、ほとんどインスト作品である。ポールらしいオプティミズムとギター・バンド的なロック・サウンドが奇妙にバランスした仕上がりで、個人的にはとても気に入っている。
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SARA GAZAREK / Yours

2007年10月28日 22時05分19秒 | JAZZ
 サラ・ガザレクという名前の新人ジャズ・ボーカリストのデビュウ作。ジャケ写真や名前からして北欧系のマイナー・レーベルから出た人みたいなイメージがあったのだけれど、よくみたら米ワーナーからの作品、本人ももちろんアメリカ人で、経歴としてシアトル出身でエラ・フィッツジェルド賞、コンコード・ジャズ・フェスティバルに出演、ジョン・クレイトンの弟子筋などがあるから、ジャズとしては正当派の新人である。レーベル・サイドもそのあたりを誇らしげに広告にうったりしているから、おそらくダイアナ・クラールあたりとクロスする市場を狙っているのだろう。プロデュースは師匠ジョン・クレイトン、録音はアル・シュミットという布陣で製作されているあたりもそれを伺わせる。つまり大メジャー作品なのであった。

 音楽のフォーマットはピアノ・トリオ+ボーカルというスタンダードな編成によっていて、管とかシンセ、オケ等は全く入らず、非常にシンプル....というかプレーンな仕上がりになっている。彼女の歌は、しばらく前にレビュウしたジェーン・モンハイトに声質も歌い回しもけっこう似ていて、新人とは思えない達者でテクニックに支えられた明るい澄んだ声が印象的である。ただ、ジェーン・モンハイトのようなテクニカルさを全面に出した歌い振りではなく、いく分モダン・フォーク的というか、シンガー・ソング・ライターっぽいナチュラルなところがあり、このあたりが彼女の特徴ではないかと思う。ノラ・ジョーンズあたりと比較されたりするのは、こういう特徴をもっているからだろう。

 ピアノ・トリオというシンプルなバッキングでアルバムを通しているが、曲はスタンダードの他、ビートルズ・ナンバー、オリジナル作品などバラエティに富んでいるせいで、保守系のジャズ作品から一歩跳躍したヴァリエーションがある(ビートルズの「ブラック・バード」とスタンダードの「バイ・バイ・ブラックバード」のチャンポン・メドレーなどおもしろい)。バックのピアノ・トリオもかなり若い面々なのだろうか?。ボーカル同様、今時の若いミュージシャンらしく、高度なテクニックと豊富な音楽ヴォキャブラリーをこともなげにに身につけてることがよく分かるソツがないものになっている。もちろん、ジョン・クレイトンのプロデュースによる王道ジャズ的ムード、アル・シュミットのゴージャスな録音もこのアルバムに一種の高級感与えていると思う。
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Chicago VI

2007年10月27日 21時51分58秒 | ROCK-POP
 1972年というのはロック史上ではひとつの転機になった年だと思う。60年代後半のニュー・ロック的がより洗練され、ひとつのスタイルとしてほぼ確立した年だと思うからだ。シカゴにこれをあてはめると、72年に発表された「V」がそれに該当する作品ということになるが、前回も書いたとおり「V」はむしろそれまでの初期のシカゴ的な色彩を色濃く残していて、その後のソフトな路線の曲は「Saturday In The Park」くらいだったところからして、かの作品はやはり初期のシカゴをもっとも洗練された形でコンパクトにまとめた作品という気がする。一方、その次の年、つまり73年発表の「VI」はどうだろか。結論からいえば、この作品こそ本当にその後のAOR路線に舵をきった作品といえる。ここでのシカゴは、かつての攻撃的ともいえるダイナミックさや実験的なインスト指向のようなものは全く影を潜め、ほぼ全編に渡って、穏やかな起伏とメロディアスなセンス、そしてポップなコーラスを全面に出した音楽になっているのだ。

 それは1曲目の「お気に召すまま」によく現れている。従来なら当然アルバムのラストに配置されそうなアコピに導かれた甘いバラード系の作品なのだが、こういう曲を頭に持ってくるあたりシカゴの変化を感じさせずにはおかないし、4曲目「ジェニー」のちょっとレイドバックしたようなポップさ、6曲目「誰かが僕を」のジェントルなたたずまいなども、このアルバムのそうした面をよく表していると思う。「ダイアローグ」風なヴォーカルの掛け合いをフィーチャーした5曲目の「輝ける未来」、ついでに9曲目「自由への扉」などもシカゴらしさと同時ファンキーさ妙にポップだったりするし、7曲目「ハリウッド」のまさにAOR風な味がある。一方、それまでのイキのいいシカゴっぽい曲はほとんど見あたらず、数曲あるブルージーな曲などはどちらかといえばノスタルジックな雰囲気すら漂っているほどなのだ。つまり、前作までのひたすら前を向いて疾走してきたバンドがここで立ち止まって、ふと自分の音楽をあれこれ考え始めたといったところなのだろう。話を戻すと、1973年という年はロック全体がそういう時だったのである。
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10cc /ミステリー・ホテル

2007年10月26日 18時15分33秒 | ROCK-POP
 10ccというとやはりケヴィン・ゴトレーとロル・クレームが居たころの作品が好きだ。それも似非オールディーズっぽいところが横溢した初期の2枚ではなく、ビートルズの実験精神とポップ性を70年に格調高く継承したような「オルジナル・サウンドトラック」と「ハウ・デア・ユー」がお気に入りだ。これはよく指摘されることだなのだが、この時期の10ccといえば、ゴトレーとクレームがパロディや実験面、エリック・スチュアートとグラハム・グールドマンがポップ面を担っていて、この2作ではそのあたりがほどよくバランスしているという感じなのである。これ以降の10ccはご存じのとおり、ゴトレーとクレームが脱退し、スチュアートとグールドマンが仕切っていくことになり、ストレートなAOR路線をとってセールス的にもある程度成功する訳だが、いかんせん前記の2作に比べると、中庸過ぎ、穏健過ぎて、私には少々食い足りないものがあるのだ。

 全く個人的見解だが、後期10ccは「愛ゆえに」あたりはまだ良かったものの、「ブラッディ・ツーリスト」「ルック・ヒア」と、その頃盛んにやっていたレゲエ路線とも相まって、個人的には全く面白みのないバンドになってしまったように思う。なので、この時期の10ccのアルバムはどれも印象の薄いものばかりなのだが、唯一、例外となっているのが「ミステリー・ホテル」なである。それというのも、このアルバム、ラストの2曲が抜群に出来がいいのだ。両曲ともエリック・スチュアートでなく、グラハム・グールドマンが仕切った曲と思われるが、「君は目を閉じて…」は巨大な落日のような黄昏感をもったバラード、「サヴァイヴァー」はスケールの大きいドラマチックな大作で、どちらも聴いていて心が熱くなるなるような仕上がりで、ほとんどこの2曲を聴くためにアルバムを購入しても惜しくない....と個人的には思っているくらいなのである。

 そんな訳で、この「ミステリー・ホテル」というアルバム、前述の2曲のせいで個人的には大好きなのだが(エリック・スチュアートの「恋のまわり道」も悪くない)、10ccの歴史の中でも最低迷期の作品という評価が定まってしまったのか、長いこと廃盤状態だった。個人的にはCD化を切望していたのだが、ふと思ってさきほど調べてみたら、なんと1年以上前に紙ジャケでCD化されていたのを発見した。さっそく購入しようとしたが、見事に完売状態であった。残念。紙ジャケとかいうギミックはいいから、本国あたりで普通に発売してくれないものだろうか?。
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PAUL MCCARTNEY / Driving Rain [3]

2007年10月25日 23時36分13秒 | Beatles
04. ドライヴィング・レイン
 ここでやっとまともにポップな曲が登場。アップテンポでややパンキッシュな仕上がりだが、ポールらしい抑揚あるコード進行がとても心地よいし、「1,2,3,4,5」というコーラス部分もとてもキャッチーでノリが良い。ポールのヴォーカルもシャウト気味にテンション高く張り切って歌っているが、ありがちな「年寄りの背伸び」的な無理した感じが全くないのはさすがというべきだろう。

05. アイ・ドゥ
 こちらはもうポールとしかいいようがない作品。どちらかというとウィングスあたりで開花したあアコスティックとエレクトリックが上手にブレンドさせ、田園的な明るさと、ある種の緩やかさが身上の曲で、直近の作品としては「フラワーズ・イン・ザ・ナイト」の「ディス・ワン」あたりに近い感じだが、「サージャント」あたりのサウンドに近づけたようなサイケなオーケストラ・サウンドが聴こえてくるのは、今時なギターバンド系の音を採用した本作のコンセプトからすると当然の結果なのだろう。

06. タイニー・バブル
 これもけっこうノリの良い曲。今風なアラ・サイケなサウンドだが、ポールの曲としては「ホワイト・アルバム」に入っていそうな、地味でやや苦みのある曲になっているのが、サビの展開がいかにもポールだし、妙に懐かしい。いかにもサイケな60年代したオルガンのサウンドも良いアクセントになっている。

07. マジック
 「アイ・ドゥ」をちょっと地味にしたような作品で、ちょっとゴツゴツしたポールの歌い振りや、リード・ベースといった感じで歌いまくるベース・ラインがビートルズを思わせる作品だ。歌がひとしきり終わると長目のインスト・パートがついているが、これは誰が聴いても「ストロベリー・フィールズ」を思い出してしまうだろう。
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Kevtris

2007年10月24日 23時14分45秒 | GAME
 この一年くらい通勤電車の中といえば、たいてい本を読んでいたのだけれど、このところWZero3でゲームをやることが多い。先日、銚子までいった帰りの鈍行電車の中で、読む本はなし(電車の時間ギリギリで本屋に寄っていく時間がなかった)、WZero3の通信機能は圏外表示、ケータイの小さな画面でRPGなどやれる気もなれずにいた時、ふと思い出したのがWZero3を購入時にあれこれいれたゲームの数々で、「さめがめ」タイプのもの、Xaiみたいなやつ、とかいろいろ手をだしているうちにすっかりはまってしまったのだが、最後は落ち着いたのはやはりテトリスだった。

 ちなみにこのソフト名は「Kevtris」だから、テトリスではないが、内容的にはテトリスそのものである。通常モードの他に、スタート時点で邪魔なブロックが配置される、中、高といったモードが容易されていて、とにかく落ちてくるブロックを隙間なく並べて消していく、例の作業にすっかりハマってしまい。銚子から千葉までの2時間近くの退屈な時間をあっという間に過ごすことができたので、以来、それに帰りの電車ではやることが多くなっている。前回は確かケータイの1402Sだったと思うけれど、テトリスって3年か4年に一度くらい妙にハマる時期があって、今回はWZero3という訳だ。

 しかし、このテトリス系のゲームってこれもそうだし、Macなんかにも「ほとんどテトリスそのもの」みたいなフリーウェアのゲーム沢山あったし、前述のXaiもどきとか、著作権的にはどうなるんだろうね?。
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AL DI MEOLA / Anthology

2007年10月23日 17時35分30秒 | JAZZ-Fusion
 2000年に発表されたアル・ディメオラのベスト盤。ディメオラといえば、最近はテラーク・レーベルからワールド・ミュージック寄りのアルバムを出しているが、本作はディメオラが一番バリバリと引きまくっていた70~80年代のCBS作品からのセレクションとあって、AORとシンクロしたフュージョン・ブームの中にあって、チック・コリアから引き継いだと思われるテクニック至上主義的なシリアスさ、ギクシャクしたリズムと早弾きのオンパレードといったゴリゴリ感たっぷりのフュージョンが楽しめる....などと知ったか振りをして書いているが、実は私が持っているディメオラのソロ作品といえば、これしかない。70年代中盤以降、「白夜の大地」「エレガント・ジプシー」「カジノ」「エレクトリック・ランデブー」といった名作群は、当時からけっこうな興味はあったものの、聴き逃していたせいで、そのあたりの欠落を埋めるの格好の存在ということで、確か数年前に購入したのだった。

 その時、一聴した印象としては、「音が古い」「当時は凄かったかもしれないが、今ならなんてことない」といったものであまり芳しいものではなかった。これはロックなんかもそうなのだが、技術的に高度さで受けた作品は、後続の作品にどんどん抜かれてしまう運命にあり、当時、リアルタイムで聴いた記憶でもあれば話は違うだろうが、80年代、90年代のテクニカル・フュージョンあたりで、この手の音楽を親しんだ私としては、この音楽はちと基本過ぎて....みたいなところはあるし、デジタル・リバーブ導入以前の生っぽいドラムス音なども、とち古くさい音に聴こえてしまったりもするのだ。ただ、アルバムを通して聴くと、初期のゴリゴリ感から無国籍アコスティック・サウンドを経て、徐々にワールドミュージック的なところ音楽性が徐々にシフトしていくのは、幕の内弁当的に構成されたこのアルバムからもよく伝わってくる。

 ただ、変化はわかるけど、問題なのは後の曲にいけばいくほど、どうも面白味も減っているように感じることだ。テクニカルな初期の音や、アコギを主体とした無国籍サウンドは、フュージョン・シーンではそれなりに歴史の残るスタイルだったと思うが、ディメオラの場合、その後とったスタイルがちと地味過ぎたというところなのかもしれない?。今度、テラークで出した作品でも聴いてみようかしら。
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PAUL MCCARTNEY / Driving Rain [2]

2007年10月22日 00時42分48秒 | Beatles
14日にさらっとレビューして以来、このアルバムを毎日のように聴いているのだが、やはり聴き応えがある作品になってきた。「フレミング・パイ」のようになんだかんだといっても、「全面的にポール」でないところが、逆にひっかかって毎日聴いてしまうという感じだ。という訳で、3,4曲づつレビュウしてみることにしたい。

01. ロンリー・ロード
 ポールにしては随分暗い曲だ、ベースのイントロからしてなにやら沈痛な感じがするし、テーマも低回しているようなイメージがある。もっともサビあたりからはポールらしい抑揚のようなものが出てくるし、徐々にサウンドが厚くなり、ポールのヴォーカルもシャウトして来るあたり(ダブル・ヴォーカルにもリキが入っている)、盛り上がりもするのだが、サウンドは90年代以降のギター系ロック・バンドのそれだし、全編に立ちこめた暗鬱な情感のようなものはポールとしてはかなり異色である。

02. フロム・ア・ラヴァー・トゥ・ア・フレンド
 こちらはポールらしいメロディックなセンスを感じさせる曲だ。とはいえ、ポールらしいといっても、かつてのような愛らしさ、愛想の良さといったものものより、まずは枯れた印象が強いし、妙な寂寥感のようなものもあるのは、50代を向かえたポールの枯淡の境地を感じさせる。イントロとアウトロに見せるスペイシーな浮遊感もそのあたりを倍加している。それにしても、ボールのベースって、こういう音楽でも最高にうまい。

03. シーズ・ギヴン・アップ・トーキング
 ボブ・ディラン風なシリアス・フォークとインダストリアルっぽいノイジーなサンプリング・リズムの組み合わせで作られた曲(フレミング・パイ」あたりから見せ始めたアイリッシュ・トラッド的なセンスを感じさせる曲てもある)。ある意味非常にレディオヘッドっぽい仕上がりで、イレギ、アコギ、教会風なオルガン、イコライジングされたインスト的ヴォーカルなどをまるでオブジェを組み合わせるように配置して、サウンドに独特の遠近感を醸成しているあたりもろにそれ風だ。
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ポール・マッカートニー/ヤァ!ブロード・ストリート

2007年10月21日 23時15分46秒 | Beatles
 私は70年代後半から約10年間の間、ポールの作品、具体的にいえば「バック・トゥ・ジ・エッグ」から「プレス・トゥ・プレイ」くらいまでの作品はほとんど聴いていない。この時期のポールの作品というと、「タッグ・オブ・ウォー」を除けば、どれもあまり評価が芳しいものではなく、「パイプス・オブ・ピース」と「プレス・トゥ・プレイ」の狭間に発表された本作なども、ほんどクソミソに叩かれていたような記憶がある。なにしろ、大失敗した映画のサントラというイメージはマイナスだったし、本人の新曲の他、ビートルズ作品まで再演しているところも、なにをいまさら的ネガティブ感を倍加したようで、熱心なファンであればあるほど、この作品には落胆したみたいな感想が多かったようだ。

 まぁ、そういった作品なので、私自身あまり期待することなく聴いたのだが、これがなかなかいい。傑作とか好作品とかいうつもりはないけれど、ここで聴けるのは個人的にとても好きな音なのだ。評価と好みというのは得てして一致しないものだが、この作品などさしずめ「胸を張って人にはお奨めできる作品ではないけれど、個人的には好きな音」の典型というところかもしれない。ここで聴ける音は典型的に80年代の音だ。アート・オブ・ノイズ風なテクノ・ビート+アンビエント・サウンド、ブルーアイド・ソウル、別ヴァージョン、デジタル・リバーブばりばりの光沢あるサウンドと、まさにあの時代の音がポールのアルバムから聴こえてきたのは、けっこう意外だった。また、それがまたポールのキャラにけっこうマッチしていたのもまた意外で楽しかったのである。

 ともあれ、このアルバムの聴きどころといえば、いかにも80年代らしく沢山のヴァージョンが収録された「ひとりぼっちのロンリー・ナイト」ということになろうか。オリジナルは、デビッド・ギルモアやエリック・スチュアートをフィーチャーして極上のAORサウンドで、ちょっと「アイム・ノット・イン・ラブ」っぽい人工コーラスが聴こえてきたりするあたりはニヤリ。テクノ・ファンク的なリズムが大々的に鳴り響くその他のヴァージョンでは、それこそアート・オブ・ノイズに急接近したりする。そういえばこの「フラワーズ・イン・ザ・ダート」ではトレバー・ホーンが登場したが、こちらにはアン・ダッドリーがクレジットされているし、ポールとアート・オブ・ノイズってけっこう相性良かったのだろう。まぁ、そういう音である。ちなみにビートルズ・ナンバーの再録は可もなく不可もなしといったところ。
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始動! 7年振りの訪台計画

2007年10月20日 19時29分37秒 | 台湾のあれこれ
 前回台湾に行ったのは2000年のことだったことは、既に何度書いているけれど、再来月あたり、よーやく7年振りの訪台が実現しそうである。私はどういう訳か、12月前半あたりに台湾にいくことが多いのだけれど、今年もやはりそのくらいになりそうである。なにしろ、7年も行っていないので、パスポートも切れてしまっていて、昨日は所用を済ませた後、そそくさと市役所にいって戸籍謄本をとり寄せてきた。来週にはパスポートの申請もしなければいけないが、それさえ済んでしまえば、あとは行くだけだ。現地の台湾料理店や屋台の食い物など食したり、あのちと猥雑な雰囲気を味わうのが楽しみである。

 食い物といえば、これも台湾行きの時になぜかカブるパターンが多いのだが、4月から始めたダイエットも現在なんとか進行中である。約半年が経過して約12kgの減量に成功したところだが、なにしろ以前の状態が88kgという自己最高状態(笑)だったため、12kg程度やったところで、まだ76kgもある訳で、油物を徹底的に駆逐した食事というのも半年くらい続けるとそろそろ限界だが(継続最長記録を更新中である)、とりあえず12月に台湾に行く日を解禁日ということで、それまではもりそばだのおにぎり、納豆ご飯等、例の食生活で餓えをしのごうかと思う。その時に75kg以下になっていたらしめたものたが、もう無理かな。
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CORE POWER CoRE-500-2006aut(電源ユニット)

2007年10月19日 22時28分56秒 | PC+AUDIO
 先日も書いたとおり、別の部屋に置いてあるサーバ機能などを担っていたパソコンが起動しなくなってしまったので、やけに久しぶりにパソコン雑誌を購入したり、ネットを調べたりしていたのだが、あれこれ調べているうちに、電源ユニットがとても安いことに気がついた。以前はそれなりに高出力のものだと、2万とかいう大枚をはたいて購入する必要があったのだけれど、最近は5,6千円で買えてしまうのだ。もちろん、そういう高級機というのも依然としてあるんだろけれど、もはや500Wクラスの電源ユニットなどとのは、もはや普及帯になったということなのかもしれない。

 さて、機能停止中のパソコンはその症状から、電源ユニットであろうことはうすうす分かっていた。が、狩りにそうでなかった場合、原因の特定がやたら面倒臭かったし、購入した電源ユニットが無駄になってしまうので、購入は二の足を踏んでいただが、5,6千円と分かったら、仮に故障の原因がこれでなかったとしても、「まぁ、いいか」で諦めがつきそうな気がしたので、早速購入してみた。
 結果は無事起動に成功。やはり電源ユニットがお亡くなりになっていたという訳だが、Athlon3000、HDDは旧タイプのATA(購入した電源ユニットにはシリアルATAの端子がついていたのには時代の流れを感じたが-笑)、グラボはGT6600と、キャプチャーはMT200と....古さ全開のシステムではあるが、これで当面はしのげそうだ。
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亀田父子謝罪

2007年10月18日 23時39分56秒 | others
 今日は職場に泊まりがけなのだが、空き時間に新聞やテレビを見ていると、話題はこればかりである。私はスポーツには全然疎いのだが、今回の亀田問題の熱狂振りはおもしろい。ようするにマスコミに持ち上げられて、天狗になった亀田父子が試合前にビックマウスを吹いたあげく、試合には完敗、おまけに反則技を連打して、日本中から嵐のような避難を浴びて、謝罪会見をしたというところなんだろうけど、どうせダーティーな悪役の線でやるなら、最後までそれでいけばいいのに、頭丸めて意気消沈....というか、ほとんど虚脱状態な亀田大毅、ひたすら低姿勢の親父など見ると、「なぁーんだ、所詮そんなもんだったの?」という感じがして、ちょっとがっかりしてしてしまう。

 TBSには対する批判も強い。この親子が暴走したのは、「TBSが持ち上げまくったからだ」という訳だろうか、そりゃ、しょうがないのよね。だって、日本テレビが巨人軍をよいしょす中継するのと基本的に同じだもん。日頃、マスコミに対して常々批判的に見ている私ではあるが、この手のスポーツなんぞ、所詮はエンターテイメントなんだから、おもしろければいいんだろ....ってのは、やはり正解ではないかと思う。ただ、一般大衆はやはり成功をやっかむし(一気に成功し一時持ち上げまくった後やにわに叩く、というのはマスコミの常道だしね)、前回の亀田興毅がああだったから、今回はその批判や鬱憤が一気に出たというところなんだろうと思う。TBSはそのあたりを読み違えていたと思う。
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大貫妙子/カイエ

2007年10月17日 23時00分28秒 | JAPANESE POP
 「クリシェ」と同じ84年に発表された作品で、同名のヴィデオ作品のサウンドトラックのようです。彼女は映像に音楽をつける仕事もその後、あれこれ手がけたりもする訳ですが、この作品あたりがその最初のものといえるかもしれません。内容的にはインスト、再録なども多く、いわゆるオリジナル・アルバムとは明らかに違う感触ですが、坂本、ミュージーというアレンジャーを配し、濃厚な欧州ムードという点で、紛れもなく「クリシェ」で展開した陰影、情緒をここでは再現しています。

 1曲目の「カイエ」はミュージーのアレンジによる、クラシカルでフランス的な優雅さ満点の曲で、大貫がひとり多重でスウィングル・シンガーズばりのスキャット・ヴォーカルを聴かせているのがおもしろいところです。続く「若き日の望楼」はミュージーのアレンジによる再演で、フランス語で歌っていますが、これはちとやりすぎな感も....。「Le courant de mecontentment」は、前作のタイトル・チューンの続編の如き坂本のアレンジによるテクノ・サウンドで、当時はやけに過激なサウンドに感じたものですが、今聴くとむしろ非常に格調高いサウンドになってますね。旧A面を締めくくる「カイエII」は、坂本がアレンジしたインストで、いかに彼らしい粘着質でゴツゴツしたサウンド、そしてやけに情報量の多いサウンドが印象です。

 旧B面に移ると「宇宙みつけた」は「シニフィエ」路線の「分かりやすい大貫」路線の曲で、坂本も「音楽」で披露したあのアレンジを再演しています。 続く「ラ・ストラーダ」「雨の夜明け」「夏に恋する女たち 」の3曲は全てミュージー編曲によるインストで(「ラ・ストラーダ」だけはスキャットヴォーカルが入る)、個人的にはこのアルバムのハイライトだと思います。彼女の声はほとんど聴こえない訳ですが、後の2曲は再演ということもあり、紛れもなく大貫妙子の世界になっているは一聴瞭然ですし、当時の大貫の音楽的なテンションをミュージーに伝わったのか入魂のアレンジで、 「夏に恋する女たち 」など泣かせるアレンジになってます。

 そういえば、これが出た頃、私は結婚式やその二次会のBGMを依頼されると(よくあるんですよね、これ。なにしろ、今でもある-笑)、このアルバムをホントによく使ったものですが、この曲を使って結婚した人たちのご子息、ご令嬢も、今や高校生はおろか大学生や社会人になっているんですね。うーむ。
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