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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

私の愛機 [4] Luxman C-9II & M-10II (AMP)

2005年03月31日 01時10分45秒 | PC+AUDIO
 私のセパレート・アンプの使用歴は

・プリ
 C5(1998/06) → C7(1999/06) → C9II(2001/06)
・パワー
 M7(1998/06) → M10II(2000/06)

で分かるとおり、現在まで全てラックスです。当初の選択肢として同じ価格帯でアキュフェーズもあった訳ですが、かのメーカーも機器については、その前に使っていたプリメインがE-305という機種だったので、違った音を聴きたいとの思惑から選択肢からはずれました。

 初めての組み合わせはC5&M7でしたが、一聴してちまちましない重厚にして雄大なラックスの音に魅了されました。また、セパレート・アンプというキカイを所有する満足感のようなものも大きかったです。以降、徐々にグレードアップして、5年ほど前から今のC9II&M10IIという組み合わせになり、ずっとこれで固定しています。ラックスは更にこの上として、C10II&B10×2という究極の組み合わせもあった訳ですが、残念ながらそこまで追求するには、経済的な負担が大きくなりすぎました。また、そこまで行くのなら、いっそことムンドかマーク・レヴィンソンみたいな舶来の方にいきたいみたいな気持ちがあったのも確か....。

 とはいえ、これまで機種変更しなかったところを見ると、この組み合わせはやっぱ私にとって満足度が高いということなんでしょう。同社のCDプレイヤーD-10のところも似たようなこと書きましたけど、あまり過剰に分析的にならず、ゆったりと音楽を楽しめるのが良いんですね(その意味では、Victorの感触に近いかも)。いや、ひょっとすると舶来品などに比べれば、やっぱ日本製らしく基本的には高解像度、分析系なスペック重視な音なのかもしれませんが、ちょっと緩めなさじ加減が個人的な好みにハマっているんでしょう、絶妙です。
 ついでに書けば、個人的にはこのアンプの電源やXLR接続にMITのMagnumのケーブルを使った組み合わせは極上だと思います。でも、ラックスとMITと合うなんていうのは私だけですかねぇ~。


◆ Wayback Machine にアーカイブされた、在りし日(1998年)のLuxman C-9IIの紹介ページ ◆
◆  同 M-10IIの紹介ページ ◆
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ザ・ストーン・ローゼス/石と薔薇

2005年03月30日 00時01分23秒 | ROCK-POP
 1989年頃だったと思うんだけど、突如マンチェスターから登場したストーン・ローゼスに対するロッキング・オン周辺の盛り上がり方は尋常ではなかった。とにかく「60~70年代ロックをリアル体験できなかった、遅れてやってきたロック・エイジ達が、それを追体験すべくストーン・ローゼスに全てを託す」ってな雰囲気だったように思う。

 既にもう後戻りが不可能なほど音楽が多様化して、ロックなどもはや「時代の音楽」でさえなくなっていたあの時期、かつてのあったニュー・ロックの熱狂など、90年代に追体験などできる訳もなかったのだが、とにかく「80年代は何もなかった、でも90年代はストーン・ローゼスがシーンをひっぱるのだ」みたいな熱気だけは、ロック的同時代性から既に脱落しかけていた私にも伝わってきたものだ。オーラスの曲など、ビートルズの「リボルバー」、レッド・ツェッペリンの1枚目、ディープ・パープルの「イン・ロック」、あとXTCの1枚目あたりのオーラス曲と共通するような、バンドが別の次元へ向かって突き抜けて行くかの如き、まさにロックとしかいいようがない怒濤の混沌パワーがあって、「なるほど、これは本物かもしれん」などと感じたものだった。

 ところが、ご本尊のストーン・ローゼス自身はこれを出した後、確かメジャーのゲフィンと契約して、いよいよワールドワイドで大ブレイクか?期待させたのとは裏腹に、元々契約していたマイナー・レーベルとコダゴタなどで、5年も待たせた挙げ句、やっと出した2枚目(未聴)はあまり盛り上がることもなく、そのまま消滅してしまうという、ほとんど笑えない末路をたどったのは周知の通り。結局「80年代は何もなかった、そして90年代も何もなかった」となった訳だ。となれば、あの熱狂は単なる空騒ぎだったということになるのだろうか。ついでにいえば、私のサブカル的なロック同時代体験ってのも、多分このあたりがピリオドだったと思う。

 まっ、それはともかくとして、このアルバムも発表後早15年、なんかもう立派なロック・ヴィテージ物になったような気がする。当時はフォーク的な繊細さとダンス・ビートの融合が新しいなどといわれたものだけど、今となってはあっという間に水増しされて一般化してしまったこうした方法論より、今聴くと心を掴むメロディだとか純粋にロック的ダイナミズムといったものの方が印象に残る。また、そういうもんがあったからこそ、今聴いても音楽としての生命力を感じるのだろうとも思う。結局は音楽だけが残ったというところなんだろうけれど、同じ頃、同じように評価されていた、ライドとかハッピーマンデーズとかのマンチェスター勢って、今聴くと、どうなんだろう、ローゼスのような生命力を感じるのだろうか?。
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ザ・グレイト・ジャズ・トリオ/枯葉(SACD)

2005年03月29日 00時18分18秒 | JAZZ-Piano Trio
 ついでに前の「スワンダフル」ところで、批判気味に書いたエルヴィン・ジョーンズ&リチャード・デイビスがドラムとベースを担当している復活第1作の方も改めて聴いてみました。こうやって聴いてみると悪くないです。世代間異種格闘技的なおもしろさは。やはりあまり感じられませんでしたが、ハンク・ジョーンズ・トリオとして聴けばけっこう良いかもってな感じ。だから、このトリオ、歴代ザ・グレイト・ジャズ・トリオでも、第二期のアル・フォスター&エディ・ゴメスの頃に近いような印象もありますね。

 なので、曲目としては、ミディアムからスローのもの、「イエスタデイズ」「ブルー・ボッサ」「サマータイム」「マイ・ファニー....」あたりが良かったです。どれも耳タコの曲ではありますけど、ハンク・ジョーンズが弾くと改めて、いい曲だなぁと感じることしきり。特に「イエスタデイズ」と「ブルー・ボッサ」はエルヴィン・ジョーンズがブラシで渋くきめていて、これなど聴く前になんとなくイメージしていたトミフラの「セブン・シーズ」あたりのイメージに一番近いもんで、個人的にはこのアルバムの一押しってところです。
 
 一方、エルヴィン・ジョーンズのタイコがドカスカやる「枯葉」や「A列車」は、他の方はどうか思うか分かりませんが、個人的にはそのパワフルさが不発に終わってる感じがしてしようがないです。ウィントン・マルサリスと組んだ「至上の愛」の時はエルヴィン・パワーは健在だったんですがね....って、あれは本作をさかのぼること10年前の作品か(笑)。

 ついでに個人的願望ですけど、ザ・グレイト・ジャズ・トリオなんて仰々しいバンド名はいらないから、ハンク・ジョーンズはアル・フォスター&ジョージ・ムラーツと組んだスタティックなアルバムでも作ってもらえたらなと思いますね。ヴィーナス・レーベルででも企画してくれないもんでしょうか。

PS:そういえばハンク・ジョーンズってキャノンボールの「サムシング・エルス」に入ってたんだよなぁ。ついでにあのアルバムも冒頭は「枯葉」でしたね。

 
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ザ・グレイト・ジャズ・トリオ/ス・ワンダフル(SACD)

2005年03月28日 21時00分00秒 | JAZZ-Piano Trio
 ドラムとベースがこれまでのエルヴィン・ジョーンズ&リチャード・デイビスから、ジャック・ディジョネット&ジョン・パティトゥッチとスウィッチした新作です。ムードも大分かわりました。このトリオは初代の頃から、なんていうか世代間異種格闘技的なおもしろさみたいなものを売りにしてきたところがありますが、前作までのメンツには、予想したほどそうしたおもしろさなかったように思います。企画としては良かったかもしれませんが、なにせエルヴィン・ジョーンズに元気がなかったというか、トミフラの「セブン・シーズ」みたいな仕上がりを期待したオレがバカだったというか(笑)。

 しかし、今回のアルバムはある意味で初代トリオに匹敵するくらい、前述の世代間異種格闘技的なスリルが復活してます。とにかくディジョネットのドラムがパワフルなのがいいです。ご存じの通りディジョネットのドラムは、スタンダードなジャズ・ドラムとはひと味もふた味も違う、独特なリズムの句読点とダイナミックさがありますけど、それがまるでまっとうなジャズらしさの権化みたいなハンク・ジョーンズと共演することで、期せずして両者の特質が鮮明に浮かび上がってきているという感じです。しかも、ベースがそうした両者の落差を、ごくごく当たり前のものとして受け入れるジョン・パティトゥッチというヴァーサタイルな新世代ときてますから、音楽的なバランスにも破綻がありません。

 曲としては、1曲目「スワンダフル」でいきなりディジョネットがかましてます。初代トリオの「アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」冒頭を飾った「ムース・ザ・ムーチ」を思わせるパワフルさがあって、「一瞬、おぉ」とか唸っちゃう(笑)。ジャック・ディジョネット&ジョン・パティトゥッチのコンビといえば、昔、ゴンザロ・ルバルカバのアルバムでもやってた記憶ありますけど、あの時のどうってことのないご両人のプレイに比べると雲泥の差。相手がハンク・ジョーンズだとこうなるか!って感じですかね。あとハンクが主導した「酒とバラの日々」「恋人よ我に帰れ」の三位一体でスウィングする快調さもいいです。たた、「モーニン」とか「テイク・ファイブ」あたりまで登場するのは、なんだか日本製舶来ジャズの悪しき陥穽を感じないでもないですけど....(笑)。

 そんな訳で、SACDという新しいフォーマットに合わせて復活したGJTですが、これを含めた4枚の中では一番の出来じゃないかと思います。それぞれの曲の演奏が短い、前述の選曲面等やや気になる点もないではないですが、とりあえずは78点ってところかな。


 PS:録音はいかにも日本発って感じの、このレーベルに共通する上品な絹ごしサウンド。物理特性はかなり良さそうですし、バランスもほとんどパーフェクトな感じですが、もうちょっとジャズ的なアザとさのようなものがあっても良かったですかね。
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楊乃文(フェイス・ヤン)/Silence

2005年03月28日 00時01分01秒 | 台湾のあれこれ
 先日の訪台した際に購入した作品。台湾ポップスといえば、アメリカンAORと日本的なニューミュージック&アイドル歌謡あたりをベースに、情緒豊かなメロディーと大陸的な感覚がごっちゃになった音楽というイメージが強いが(バラード王国などとも云われるし)、この作品はそうした台湾ポップス作品でもかなり異色な作品という感じがする。

 なにせシュワシュワ・ノイズ+テクノ・リズムの冒頭、懐かしブリティッシュ・ゴシックを思わせるギター・サウンド、暗鬱なアシッド風味と、まずは「ウッソー」って感じで度肝抜かれる、楊乃文のヴォーカルも、ウェットな台湾スタイルというよりは、どっちかというとこれまた懐かしいエレクトライブ101みたいな、いかにも80年代的な低カロリー・スタイルで、バックのサウンド共々聴いていて、ほとんど台湾って感じがしないのが逆に新鮮。
 更に詳しく書けば、2、4、7曲目は今度はサンディーズか初期のEBTGみたいなアコースティック・サウンド、3,5、8曲目はさながらオール・アバウト・イブかテキサスっぽいドライブするギター・サウンド、6、10曲目はアシッド・テクノ、9曲目はアンビエント・ハウス....とここまで書いてくれば、このアルバムの音楽、わかる人にはわかるでしょう。

 いや、もちろん、やれ台湾だ、日本だ、英国だ、とかいって紋切り型に音楽を定義する必要はないし、そもそも私は台湾の音楽をそんなに網羅的に聴いているワケでもないけれど、やはりこういう音楽が台湾に出てきたというのは、画期的なことではないかと思う。なにしろ、これまで私が聴いてきた台湾ポップスには、ブリティッシュ・ロック指向なんぞ、薬にしたくとも見あたらないなかったから、まるで「ここ10年間のブリティッシュ・ロックを台湾からレトロスペクティブした」みたいなこのアルバム、やはり衝撃的というか、新鮮という他はない。
 
 ということで、台湾ポップスの新しい波を感じさせる1枚。ちなみに本国でも大ヒットしたそうだ。(2000年12月24日)


※ このアルバムがきっかけということはないとは思いますが、これを書いたミレニアムあたりを境に台湾ポップスも大きく変わったようです。2000年に台北に行った時、東京でいったら青山ともいえる西門町界隈では、ハウスっぽいリズムが溢れかえっていて、けっこう驚きました。その時、タワーレコードで思わずジャケ買いして(笑)、帰国して聴いてみたところ大当たりだったのが、このアルバムという訳です。
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バルトーク 管弦楽のための協奏曲、弦チェレ他/ライナー&CSO (SACD)

2005年03月27日 19時11分48秒 | クラシック(20世紀~)
 このところ、RCAが50年代後半~60年代前半くらいにLIVING STEREOと銘打って発表してきたアルバムから、往年の優秀録音ものがハイブリッドSACDとして次々に発売されていますが、これもその一枚。ライナー&シカゴ響のオケ・コン&弦チェレといえば、もう半世紀近く不動の評価を受け続けている名演奏ですが、これがSACD化されたとなれば、さすがに聴かずにはいられません。本日、近くのショップに奇跡的に並んでいるを発見したので、すかさず購入してまいりまして、さっそく楽しんでいるところです。

 私はバルトークといったら、弦チェレとピアコンとか聴かない芸のない人なので、とりあえずオケコンの方はスキップして、弦チェレの方を聴いてます。これまで愛聴してきたCD(15年前くらいのもの)に比べると、まずその鮮明な音質に驚きます。イメージとしてはヴェール一枚くらい違うという感じでしょうか。弦チェレという曲は、2群に分かれた弦楽器が複雑に絡み合う部分が随所にあって、ひとつ聴きどころになっていると思いますが、とにかくその様がこれまで以上によく分かりますし、打楽器群の粒立ちもクリアで、近年のクリアなデジタル録音にそれほど遜色ないとすら思えます。

 ただ、これはSACDというメディアだからこうなったというより、むしろ積極的なリマスタリングの成果という感じがしないでもないです。何故かといえば、このディスクのCD層を聴いてみても、SACD同様、15年前のCDより明らかに鮮明な音がするからで、ひよっとすると音声編集ソフトである部分を持ち上げたり、ひっこめたりしているのかもしれません。なんとなく、デジカメの写真に強めのシャープネスかけたみたいな不自然さを感じたりしにいでもないですから....まぁ、当方がボヤけた旧盤を音を聴き過ぎて、そっちがリファレンスになってしまっているということも否定できませんが-(笑)。
 一方、鮮明さと引き替えに後退したのが、低音域かもしれません。15年前の旧盤は鮮明さではSACDにかないませんが、ふっくらとしてちょっと粘着質なのは、いかにもアナログ・ライクな音で、それはそれで気持ち良いと思います。一方、SACDは前述のとおりシャープなキレは良いとしても、やや細身で潤いのない音なのが気にならないでもないです。ティンパニを例にとってみると、打楽器っぽいアタック感ではSACDに分がありますが、アタックの後にくるドスンという量感のようなものは旧盤CDの方が雰囲気出ているような感じですか。

 つまり一長一短ということで、どちらをとるかは好みの問題でしょう。なんかこういうことをちまちま考えていくと、他の年代のCDはどうか、XRCD盤だとどうなるのか....とかドツボにハマりそうで怖いのです(笑)。


 PS:フィルアップされた「ハンガリー・スケッチ」という曲は初めて聴きました。バルトークにしては、とても親しみやすい作品でけっこう拾い物な曲でした。
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BUSIN 0

2005年03月27日 12時30分00秒 | GAME
 先週も書いたとおり、一応エンディングまでは行ったのですが、ボーナス・ダンジョンにハマってしまい、この一週間というものほとんど毎日小一時間づつくらいではあるもの、ボーナスダンジョン巡りをするハメになっていたのですが(笑)、それも昨日あたりでおしまいにしました。未だ50階までクリアした訳ではないんですけど、前の3人が2本の村正を装備した将軍になったあたりで、最強のマイルフィックでさえワンターンで楽勝してしまえるくらいに強くなってしまったので、もうこれ以上続ける気がなくなってしましったんですね。

 それにしても、「BUSIN 0」ってゲーム、けっこうよく出来ていると思います。基本的にはベースとなった「Wizardly」と同様、ダンジョンと町を往復するだけの、経験値上げがメインになった昔ながらのものではありますが、チームのコンビネーションで繰り出すアレイドという攻撃技や、モンスターから拝借した合成素材で魔術を覚えていくシステムは、本家の「Wizardly」(初期のと言う意味です)より適度に複雑で頭を使う楽しさありました。また、それなりに考えられた物語や独特なダークな雰囲気、あと物語には直接関係ない依頼というジョブもあり、Wizardlyを今風に上手にリファインしていると思います。ついでに、前作で不満を感じさせたシステムやインターフェイスが解消され、非常に洗練されたところもポイント高かったですね。

 そんな訳で、この次が出たら(多分出るんでしょう)、またまたハマりたいシリーズですが、今回は一応「BUSIN」の前史にあたる物語だったので、「BUSIN 0」となった訳ですが、次は物語的にはどうなるんでしょうね???。
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蘇慧倫/就要愛了[口馬]」

2005年03月27日 00時00分00秒 | 台湾のあれこれ
 台湾ポップスで好きな人といったら、なんといってもこの人。10年くらい前に訪台した際に何枚か購入してきた現地のアーティストのひとりだったんですけど、とにかく一聴して、澄み切った、まるで青空みたいな声に魅了されました。もちろんこれがそのアルバムです。

 蘇慧倫(すう・ほいるん、ターシー・スー)は、1990年にデビュウしていますが、これは1994年の第6作となります。これより以前はあまりといえばあまりなくらいに日本的なアイドル路線でしたが(酒井法子の台湾版みたいな感じ)、この作品を契機にちょいと大人びた王道ポップス路線となり、単なるアイドルを超えた国民的な人気を持つ歌手になっていったようです。

 で、このアルバムですが、音楽的にはアメリカのウェストコーストAORと日本のニューミュージックをベースに、情緒豊かなメロディーと大陸的な感覚が絶妙にバランスした音楽....つまり典型な台湾ポップスですね(ひと昔前のそれですが)。例えていえば、佐藤準がアレンジしていた頃の今井美樹をよりメロディアスにしたみたいな感じといったらいいかもしれません。フュージョンっぽいサウンドをバックに、ちょっと背伸びして歌うターシーの澄んだ声がとても魅力的です。

 彼女はその後、台湾ポップスの第一人者として、「Lemon Tree」や「鴨子」など次々に大ヒット曲をリリースし、-詳しい話は省きますが-何故かキャラクターも二転三転させていく訳ですが、この作品はターシーが「楚々とした正統派の美人ぶり」をもっとも発揮した1作として、数ある彼女の作品ではもっとも好きな1枚です。

 
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ベートーヴェン交響曲全集/ヨッフム&BPO,BRSO

2005年03月26日 20時53分30秒 | クラシック(一般)
 ここ数年、クラシックは新録ソースが激減した反面、再発、復刻の類が沢山出るようになっていると思います。特に××全集といったボックス・セットは、1枚あたりの単価が何百円単位という、ほとんど劇的な安さなので、たまに石丸なんか行くと、あまり聴くあてもないのに、単に物欲だけで何セットも買い込んできてしまいますが、これもそんな動機で購入してきた箱です。

 ヨッフムは晩年、ブルックナーを中心した伝統的なドイツ指揮者として非常に高い評価を得ていたような記憶があります。ただし、出来不出来が激しいとかで、ブルックナー以外の50~60年代のソースはあまり出回ってなかったようで、グラムフォンでベートーベン全集まで吹き込んでいたとは意外でした。おそらくモノラルからステレオへの移行期に録音されたため、モノとステレオが混在した音質的問題や、同レーベルでこの直後から開始された、カラヤン&BPOによるステレオ録音の全集が出たため、忘れられてしまったのではないかと思うのですが、なかなかどうして良い演奏でした。

 ヨッフムの指揮は、フルトヴェングラーのような文学性、カラヤンの機能美、ワルターの歌心といった、いにしえの巨匠がもっていたような濃厚な個性は感じられませんが、多分、オーケストラの自発性みたいなものを重視しているんでしょう、とにかくドイツ的重厚さに裏打ちされたスタンダードなベートーベンらしさを楽しませてくれるという点で、妙なひっかかりを感じることもなく、安心して聴けるのがいいです。
 また、これが録音された当時のベルリン・フィルとバイエルン放送響は、今のオーケストラではちょっと聴くことができない、ある意味野暮ったいほどに無骨で重厚な響きを持っていて、これがまたいかにもベートーベンに合っていて魅力的です。

 なお、この全集の録音は52年から61年に渡りますが、リマスタリングの効果もあるのか、音質的にはおしなべて良好で、一番古い52年の9番も音質的なデメリットはほとんど感じませんでした。そんな訳で、私はあまりベートーベンそのものがあまり得意なクチではないのですが、これのおかげで久しぶりにベートーベンを楽しく聴けました。

※ ヨッフムといえば、50年代中盤にモノラル録音したワーグナー管弦楽曲集は、個人的には大名盤なのですが、フィリップスさん早いとこCD化願います。
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MILES DAVIS / Miles Smiles

2005年03月26日 17時44分14秒 | JAZZ
01. Orbits (Shorter)
 オーソドックスさアブストラクトさが入り交じったシグナル風なテーマにこの時期の「マイルスの変質」を感じさせる。ソロの方もこの時期らしいスピーディーな4ビート・パターンではあるものの、ショーターソロなど彼らしい「変な感じ」がかなり出てきているのが目新しい。そんな訳で、従来の圧倒的な推進力でぐいぐい進む流れが確実に変容してきたことを感じさせる1曲。

02. Circle (Davis)
 やや陰鬱なムードをもったもスローワルツ。ミュートで演奏されるテーマは従来のバラード演奏とさほど遠くないセンスであるし("Goodbye"を思わせたりもする)、ショーターもその線。ただし、バックを彩るハンコックのピアノだけは確実に新しい響き美しさをもっている。ソロについてもほぼハンコックの印象派的なたたずまいが、他のソロを圧倒しているといってもよかろう。

03. Footprints(Shorter)
 トニーとロンがライブで見せる変幻自在のリズム・チェンジをスコアリングで再構成したようなリズム実験のような曲だ。ご両人は付かず離れずといった風情で様々なリズムの変化を演じてみせるが、ロンのベースが12小節のリズムをキープしていて、1~10小節はほぼリフ、に11~12小節目でパターンを様々に変えるという構成で全体を通しているのがミソ。ソロはマイルス→ショーター→ハンコックの順だが、それらのリズムとはほぼ無関係にソロをとっているようでもありちょっと複音楽的にも感じられる。つまり非常に知的なアレンジなのだ。
 
04. Dolores (Shorter)
 アップ・テンポで進む王道4ピート作品で、ソロの順番もいつもどおりだし、過渡期を迎えていた彼らとしては、古典的なたたずまいといえる。テーマに回帰するプロセスと唐突なコーダのアレンジが、いささか凝っている点を除けば、ライプでお馴染みないつものペースで押しきっているというところだろう。

05. Freedom Jazz Dance
 8ピートをベースにした作品。前作での"Eighty-One"に比べると、こちらの方がいくらかストレートに8ピート的なおもしろさを出しているともいえるが、全体としはまだまだ4ピートにきこえる部分もあって中途半端な感はぬぐえない。ただし、シグナル風にモチーフを繰り出してくるマイルス・ソロはかなり斬新だし、ショーターやハンコックもその線で実験的なフレーズを繰り出しているのは、その後の彼らの展開する音楽を思えば興味深い点ではある。

06. Gingerbread Boy
 1,4と同傾向の王道4ピート作品。トニーに暴れ方といい、ソロのホットさといい、ダイナミックさという点ではアルバム随一かもしれない。人様の曲を素材にして軽く一曲仕上げたというところなのだろが、ハンコックのソロでベースが一瞬、弛緩した動きになるあたりの呼吸は名人集団の凄さを見せつける。(2000年7月9日)


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駅前のドトールで

2005年03月25日 23時59分59秒 | Books
 今日、午前中、某テレビ局にちょいとした取材があったんですけど、その帰り駅前のドトールでコーヒーをすすりながら、今月の正論読んでいたら、おもしろい記事がありました。「ゴジラに見る戦後日本、本土決戦の恐怖と魅惑」がそれなんですが、要するにゴジラというのは、「敗戦に伴い国民が変節したことへの罪悪感と、戦争継続をして大義をつらぬいて滅びることへの恐怖の魅惑」を象徴しているのだということを骨子にして、ゴジラ映画その他を論じているようです。

 なかなか難しい文章なので、よく理解できてないところもありましたが、とにかくゴジラを「核の脅威」とか「戦時中の米軍」として捉えるだけでなく、「祖国の変節ぶりに怒る旧軍の化身」とも捉えて、日本が敗戦とどう向き合ってきたかを検証していく視点は新鮮でした。これを書いた佐藤健志という人は、これまでにも「ターミネーター」やら「ハウル」などの映画を俎上に上げて、現代を読み解くという文を次々に書いていて、個人的に注目してます。週末にもう一度じっくり読んでみたいと思います。

PS:ちなみにゴジラだけでなく、「モスラ」や「海底軍艦」といった作品も言及されてます。来月の後編ではおそらく1984年以降のゴジラを扱うんでしょうね。楽しみです。
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MILES DAVIS / E.S.P.

2005年03月25日 12時56分57秒 | JAZZ
01. E.S.P. (Shorter) 5:27
 これは当時のマイルス・クインテットの王道的な作品といえるだろう。テーマはマイルスとショーターのデュエットで進むキャッチーなもので、すぐさまソロにバトンタッチ、珍しくショーター→マイルス→ハンコックの順で進むが、その阿吽の呼吸はこの時期ならではのもの。長めのソロを展開するマイルスもキメのフレーズを連打、トニー&ロンも快調そのもので、この時期のライブでやっているスタイルをちょっとスタジオで再現してみました....といった作品である。

02. Eighty-One (Carter/Davis) 6:11
 マイルス初の8ビート作品らしいが、今の耳で聴くとあまりそういう感じはしない。むしろあまり強烈に8ビートっぽく感じさせないように、細部に渡るアレンジでいろいろ気を使いまくっているあたりに、当時の「ジャズの壁」を感じたりする。マイルスとハンコックのソロの後半は4ビートになったするあたり、まるでアリバイ作りのようだ。ついでにいえば、こうしたソロ・パートのアレンジをあれこれ考え始めたというのは、ある意味フュージョンの先駆的な実験だったともいえやしないか。
 ちなみに、V.S.O.P.のアルバム「嵐のコラシアム」でのこの曲は、前述の4ビートによるソロ・パートをふんだんに拡大した演奏で、ほとんど8ビートの部分はテーマだけになってしまっている。その善し悪しはともかくとして、オリジナルのアレンジのおもしろみは後退したものになっているのは確かだ。一方ウォレス・ルーニーを擁したトリビュート盤における演奏は、いきなりルーニーのソロではじまり、その後テーマが現れるのがおもしろい。雰囲気的にはオリジナルに大分回帰しているものの、やっている面々の気分は多分4ビートそのもの、テンポがかなり遅いがそれにそった措置だと思う。。

03. Little One (Hancock) 7:21
 新主流派らしいハンッコクらしい理知的なテーマをもったスローな作品。マイルスとショーターが絡み合いながら、徐々に色合いを変えいくテーマは、当時としてはかなり斬新だったはずだ。ソロはマイルス→ショーター→ハンコックの順だが、やはりテーマ同様、色彩感重視のソロで進行する。おもしろいのはドラムもソロに合わせてかなり表情を変えている点で、序盤はブラシから始まり一見おとなしい感じだが、後半はかなりダイナミックなパターンになっていくあたり、よくよく聴くとおもしろい。また、回帰するテーマも周到に考え抜いたアレンジになっている。
 ちなみに、トリビュート盤における演奏だが、おそらくオリジナルがかなりスコアリングされていたのだろう、ムードといい進行といい、全体にかなり原点に忠実な演奏となっている。
 
04. R.J. (Carter) 3:56
 こちらは1同様、この時期のマイルス・クインテットの王道4ビート作品。ソロはマイルス→ショーターの順で、ソロそのものはご両人とも常なるペースで進んでいるが、ここではさすがにベーシスト、ロン・カーターの作品だけあって、バッキングではベースが2つのリズム・パターンが交互に演奏しているあたりがポイントか。トリビュート盤における演奏は、テーマとインプロのダイナミズムの緩急を大幅に拡大し、実に大柄な作品に仕立て直している。

05. Agitation (Davis) 7:46
 トニー・ウィリアムスのドラム・ソロでスタート。テーマはミュートとそれ追いかけるようなテナーで構成される動きの細かい込み入ったもの。ソロはマイルス→ショーター→ハンコックの順で、これも基本的にはライブと同じような趣。マイルスのソロのパートでは途中、ロンとトニーのリズムが変幻自在の動きを見せるが、このあたりもお馴染みのパターン。ショーターのソロはテーマに付かず離れずな感じで進み、ハンコックはどちらかというとテーマの回帰のためのブリッジという扱いである。コーダはロンのベース・ソロだが、これは冒頭のトニーと呼応させてのことか?。
 
06. Iris (Shorter) 8:29
 いかにもアーシーなジャズ的なムードと新主流派的な知的雰囲気が奇妙に混ざり合ったテーマをもっている。ある意味スロー・テンポのバラードといってもいい感じだが(トニーのブラッシュ・ワークあたりはまさにそれ)、泣きにならないのはいかにもこの時期のマイルスであり、それ故に沈痛で難解な印象も受けるワケだ。テーマはショーターが主導し、ソロはマイルス→ショーター→ハンコックの順で進行、ハンコックのアブストラクトと叙情を行き交う絶妙なソロあたりがハイライトか?。

07. Mood (Carter/Davis) 8:50
 マイルスがミュートで吹くテーマは奇妙なムードをもっており、ある意味では5のスロー版のような感じである。ただ、こちらの場合は、冒頭から鳴り続けるハンコックのシグナル風な和音が、良く言うと印象派、悪く言うと少々オカルトっぽい怪しげムードを感じさせ、それがおもしろい隠し味になっている。ソロはマイルス→ショーター→ハンコックの黄金パターン。どのソロもいかにも新主流派的なリリシズムみたいなところを主眼においたものとなっている。
 ついでにこの曲、ほとんど前曲と同じようなテンポだが、こちらのリズム・セクションはまるでリズム・マシーンみたいなドライな趣なのが、アブストラクトなソロとあいまって、曲にある種の実験的印象を与えている。その意味では「イン・ア・サイレント・ウェイ」のやり方の予告編であったとも勘ぐれるかも。(2000年7月9日)

※ 長いこと、この時期のマイルスは晦渋でおもしろくないというイメージがありました。数年前、ウォレス・ルーニーを擁したリニューアルVSOPみたいなトリビュート盤が出た時、この時期の曲を多数収録されていたので、これを機会にとばかりに、「ESP」や「マイルス・スマイルス」を改めて聴いてみた時にメモったものです。トリビュート盤やVSOP盤との比較が出てくるのは、こうした経緯からです。
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Beatles Shuffle

2005年03月24日 09時08分04秒 | Beatles
01 IT'S ALL TOO MUCH -Yellow Submarine `69-
02 TOMORROW NEVER KNOWS -Revolver `66-
03 I CALL YOUR NAME -EP `64-
04 I NEED YOU -Help! `65-
05 WORDS OF LOVE -Rubber Soul `65-
06 FOR NO ONE -Revolver `66-
07 MR. MOONLIGHT -Beatles For Sale `64-
08 BABY'S IN BLACK -Beatles For Sale `64-
09 WHAT GOES ON -Rubber Soul `65-
10 PAPERBACK WRITER -single `66-
11 EVERYBODY'S GOT SOMETHING TO -The Beatles `68-
12 I'M SO TIRED -The Beatles `68-


 これ、なんだか分かりますか?。いやいや、買ったばかりのiPodShuffleで勝手に選曲されたものではありません(笑)。昨夜、仕事帰りのごくごくマイナーなファミレスで夕飯食べている時に流れていたビートルズの曲の数々なんです。
 おそらく、有線かなにかなんでしょうけど、どうです、実に渋い選曲だとは思いませんか、単なるリクエスト順なのか、それこそ機械的にシャッフルされたものなのか、それとも誰かが意図的に構成したものなのか、真偽のほどは不明ですが、想像をたくましくして、これを誰かが選曲したと仮定すると、とにかく渋いと選曲であると同時に、非常に今的なセンスを感じない訳にはいきません。

 とにかくこの選曲で感じるのは、「リボルバー」と「フォーセイル」の曲が多いという点、最近の英国ではビートルズでもっとも評価の高いアルバムは「リボルバー」という、私のようなロートルには俄に信じがたい話を聴いたことがありますが、おそらくそういう嗜好と底流では共通するセンスを感じるんですね。人の手垢のついてない曲に、なにか独特の価値を見いだすみたいな、早い話がモンド・ミュージック的なセンスというか....。それにしても、いい感じでつながったのは、ジョージの「イッツ・オール・トゥ・マッチ」からジョンの「トゥモロー・ネバー・ノウズ」ですかね。「トゥモロー・ネバー・ノウズ」って「リボルバー」のラストにラインナップされたせいか、ビートルズがそれまでのポップ・ミュージックの枠を突き抜けていくことを、なんか高らかに宣言しているような、アルバム中の異色曲でしたけど、「イッツ・オール・トゥ・マッチ」と並べて聴くと、実にしっくりと「サイケ」でくくれるのが実感できます。

 あと、「トゥモロー・ネバー・ノウズ」から初期っぽい「アイ・コール・ユア・ネーム」へと揺り戻しがあって、途中「ヘルプ」「ラバーソウル」「リボルバー」からの曲を織り交ぜつつ、終盤は再びサイケ路線の3曲に戻るというあたり、実はビートルズを垂れ流している有線の一部を、私は聴いただけなんでしょうけど、ほとんど出来過ぎな選曲になっていることに感心しました。
 とはいえ、ビートルズともなると何をどう並べても、いかにようにでも解釈できそうですから、まぁ、前述のことは私の思い過ごしではあるんでしょうけど....。

 そんな訳で、近いうちiPod Shuffleにビートルズの全曲を入れて、シャッフル・プレイを楽しんでみたいと思ってます。どんな感じになるのか楽しみ....でも、前記のようなリストには絶対ならないと思うなぁ。

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ワルターの「復活」

2005年03月23日 23時59分15秒 | マーラー+新ウィーン
 ブルーノ・ワルターはマーラーの愛弟子だった。マーラーの弟子なくらいだから、相当に大昔な人なワケだが、ずいぶんと長生きしたおかげでCBSには、かなりの数のステレオ録音が残っている。これもそのひとつなのだが、ステレオ録音としては珍しく、オケは臨時編成のコロンビア・シンフォニーではなく、ニュー・ヨーク・フィルを振っている。収録は58年だから、ステレオ最初期になるが、とにかくステレオできけるのはありがたい。

 さて、実際に聴いてみると、これがなんとも古色蒼然たる表情をもった演奏で、大昔のマーラー演奏というものは、こういうものだったのかと感を改めて持つ。マーラーの曲が古典化したのは、おおよそ70年代後半以降だったと思うが、それ以降の振幅の激しいダイナミクスを、高精度なオケでストレートに演奏するというスタイルとは明らかに違う演奏なのである。
 とにかく不協和音がガツンとぶつけてくるところは、ひたすら柔らかくオブラートに包みこんで聴かせ、ウィーン風に甘美な旋律は情緒たっぶりに歌う....という、「海のものとも山のものともつかぬひたすら代物」だったこの作品を、なんとかカタギの人間にも分かりやすく聞かせようとと、苦心惨憺しているのがよく分る演奏とでもいったらいいか。
 しかし、それから数十年、リスナーの耳はマーラーのグロテスクな大音響など、別段なんということなく聴けるようになったせいで、逆にこの演奏を風化....いや、時代がかったものにしてしまったともいえるかもしれない(ワルターの穏健な個人様式というのも無視できないが....)。
 
 ともあれ、「復活」といえば、80年代前半にアバド&シカゴ、メータ&ウィーン、ショルティ&ロンドン響あたりの演奏で学習した私としては、この「鄙びた」としかいいようがないマーラー演奏はけっこう新鮮だ。
 第1楽章の荒れ狂う迫力といったものは、後年の演奏には比べるべくもないが、第2楽章、第3楽章の馥郁たるウィーン風の表情は、まるで古い絵葉書を見ているようなノスタルジックな趣があるし、暗黒からひとすじの光明がさしこむような第4楽章の厳かさもさすがに年期がはいったものを感じさせる。また、巨大としかいいようがない第5楽章は、精力的な部分こそ今の耳からすると迫力不足を感じるが、その巨視的な盛り上がり方は、今の低カロリーな音楽づくりとは対極にある「濃さ」がある。

 そんなワケで、ワルターの「復活」、思いのほか楽しく聴けた。これと一緒に収録された「巨人」と「さまよう若人の歌」は「復活」にくらべれば、よりワルター向きにリリカルな作品なので、もっと違和感なく楽しめる。ただ、どちらもオケの人数ケチっているか、響きが薄いのが気にならないでもないが。
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iPod Shuffle

2005年03月22日 23時36分32秒 | PC+AUDIO
 これで私が購入したiPodも3台目となりましたが、今度のはさすがにサイズと価格にインパクトあります。とにかく軽く、さわった感じがいかにも樹脂製っぽくて、これまでのような高級感はほとんどなし、カッコは良いがなんかカジュアルな消耗品って印象。

 で、一応、建前としてはシャッフル・プレイというのが売りなようですけど、これはどう考えてもサイズと価格を両立させるために、あえて「ディスプレイなし」にしたエクスキューズでしょう。ただ。様々な機能の中のone of Themとしてシャッフルがあるのと、こういう風に機能をそぎ落とした結果、シャッフル・プレイをメインに出すのではやはり印象としてはまるで違います。
 なにしろ、ディスプレイなし、スキップも一曲単位ですから、iPodのような沢山の曲にスムースにアクセスできない。だから、思い切って選曲は機械任せしてしまうという、ある種機能的な縛りを、逆に「売り」に転嫁してしまうあたりは、さすがAppleというかジョブスです。好き嫌い善し悪しはもちろん別問題だとしても、そもそもこうした発想がApple以外からは出てこないこともまた確か。個人的には冴えていると思います。

 そんな訳で、しばらくの間シャッフルを試してみて、また感想を書きたいと思います。確かにおもしろいことはおもしろいです....。


PS:あと、音質ですが従来の従来型のiPodとほとんど変わりません。iPodより良いという人もいるようだけど、良いにせよ悪いにせよ、些細な違いでしょう。
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