(童話)万華響の日々

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三浦綾子作品-13 「病めるときも」 その印象  

2015-09-04 19:13:37 | 読書三浦綾子作品

病めるときも  「病めるときも」から 三浦綾子 朝日文庫 昭和53年発行

  精神を病む男を愛してしまった女、彼女を襲った苦しみとそれを乗り越えて

生きてゆくために与えられた神の導き、

  藤村明子は二十歳の夏、洞爺湖畔でのある青年と出会う、太平洋戦争の

起きた翌年、遊覧船で物想いに浸っていた青年に気が付き惹かれる明子、た

またま宿泊旅館が同じだった、この男が九我克彦だった、内に引きこもり傾向

の性格のようだ、

五年後の二人は婚約していた、明子の家は祖父の代から熱心なクリスチャン

だが母は故あって元芸者、世間はうるさかった、明子はめげずに神に喜ばれ

る生き方をしようと決意した、克彦は大学で結核に関する薬学を専攻していた

が明子も軽い結核にかかったこともあり克彦の研究は更に開発に拍車がか

かった、だが研究完成が近づいたある夜、研究室から出火し彼の研究成果は

全て焼失した、

  そこから悲劇が続く、克彦は意気消沈し精神状態がおかしくなる、むしろ

狂ったといってよい、もともと精神状態が落ち込む傾向があったので精神病い

わゆる精神分裂症(現在は統合失調症という)を発症したといってよい、彼は

入院したが明子の結婚の決心は変わらず二人は結婚した、

しかしチョットしたことで彼は精神異常に落ち込んだ、あるとき明子が彼の研究

室を尋ねたときだ、克彦は手伝いに来ていた女中の若い津由子と絡み合って

いるのを目撃、津由子は妊娠し出産時に男児を生み不幸にも死亡した

雪夫と名付けられた男児を明子は自分の子として育てる決心をする、ところが

雪夫は二歳の時はしかにかかり精薄児になってしまう、精神分裂症の夫、白

痴の息子、不幸のドン底、明子に未来はあるのだろうか!


用意されていたのは障害を持つ子供たちの施設内にある精神病院との出会

いであった

さすがの三浦綾子文学、主人公に負わせる苦難はこれでもか、これでもかと

いうくらいに徹底的に痛めつける、明子は重圧に押し倒され祖父に涙で苦しみ

を訴える、明子の祖父が彼女に助言する言葉は「神は負えることのできない荷

は負わせない、お前には何か果たすべき使命が与えられている」と、

そして明子は施設で働くうちに、そこの障害児の生きる姿にある種の神々しさ

を覚えるのだった、

  敢えて他者への愛のゆえに苦しみを負った者に与えられる報酬は

この世の常識を遥かに超えたところにあると伝えている

 

朝日文庫「病めるときも」に収録された作品は以上の6作です 

 


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