「愛すること 信ずること」三浦綾子 その印象 講談社現代新書 1972年発行
作者50歳のときの著書、夫三浦光世さんへの愛を中心として人を愛すること、信ずることに
関する随筆、普段着の綾子さんの姿が彷彿とする内容だ、北海道旭川でその一生の殆どを過ご
した、光世さんとの結婚の成り染は考えれないような始まりであった、二十代中ごろ綾子さん
は肺結核と脊髄カリエスでギブスで固定されたベットでの入院闘病をしていたが、それまで
恋人であった人は死に、その写真が枕元にある病室を見舞った光世さんは一生を夫として捧げ
る決心をした、それから数年を経て彼女は病気を克服し結婚した、綾子さんは小説家を目指し
夫はサラリーマンを辞め彼女の筆となった、
このありえないような結婚生活は四十年続き七十七歳で彼女が死ぬまで続いた、二歳年下
であった光世さんもその後十三年を生き九十歳で世を去って彼女の元へ行った
随筆の最後の章は「いつの日か最後となる」であり、そのときはいつ来るのか分からない
のだからいつで悔いを残さないように夫婦も友人も笑顔でいることを勧めて締めくくった
実に奇跡的存在のような三浦夫妻、お互いのために自分を捧げてなんのためらいもない、
あやかりたい次第である