著者は信州の佐久市の病院の医師です。”ダイアモンド・ダスト”で第百回芥川賞を受けた時の言葉は「学校を出たての24、5歳の若者が多くの想い出を抱え込んだまま旅立つ死者を見送る事は苦痛であった。研修医として働き始め、医者と言う仕事は死にゆく人たちを看取らなければならない仕事であると初めて知り、この苦しみから抜け出したくて書く道を見つけた」と言っています。文学界新人賞を受けた時はタイのカンボジアにいて難民救済医療に携わっていた。著者の”トラや”はパニック障害を病んでいた著者や家族の猫との関わりが愛情に溢れ優しく書かれ心に沁みる一篇で、私はすぐに南木佳士のファンになった。この”猫の領分”は新聞に載ったエッセイをまとめた物だがいつも謙虚で身の丈以上は望まない。死に対面するする度に自分の内部から明日を生きるエネルギーが奪われていくような体感があった…と言う事は肉親の死に直面した家族のようなもの。明日を生きるために物を書いたり山登りをしたり、そして患者に寄り添う優しさのエネルギーをチャージしているのだと感じた。そう言えば私の主治医も山男だと看護師が教えてくれた。とにかく偉ぶらず真摯に生きている医者である著者にまたまた魅せられてしまった。”良い本を読むと心は豊かになり世界は広がる”
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今日、半分ほど読んでみましたが
とても身に染みて惹きつけられながら読んでいます
すばらしいですね