先日、遠藤周作の未発表小説が長崎市の遠藤周作文学館で見つかったと知った。”沈黙”の数年後に書かれたらしいと言う。まず彼は父親から”自分や家の事は決して書くな”と約束させられていたと言う。でも彼は小説家として母の事は書いておかなければならないと常に思っていた。彼が10歳の時両親は離婚する。すぐに後妻が来るのでやはり寂しい幼年期を過ごしていた(この辺りもフィクションらしい)。実の母はヴァイオリンニストとして描かれていて”音楽はただ楽しむだけのものではない。一つの音を納得がいくまで追求し深く掘り下げる”。”平凡に生きることが一番幸せ”と思っている父と”音楽は楽しむだけのものではない”という母と…彼はどうしても母寄りなる。そこになかなか踏み込んで書けなかったらしい。”何でもいいから自分にしか出来ない事を見つけて。アスファルトの道は歩きやすいが、後ろに何も残らない。砂浜は歩きにくいが足跡がちゃんと残る。テクニックだけの人生を生きるような人間にはならないで欲しい”と言う母の言葉はいつも頭の片隅にあった。遠藤周作の中には自分に厳しい母親と平凡が一番の父親がいて、いろいろな作品が生まれたと納得した。しかしこの”影に対して”は自伝的小説であると言われているがが、小説だからフィクションもある。縁があって十年程前次女と外海の遠藤周作文学館へ行った。”沈黙”に思いを深くした旅であった。
最新の画像[もっと見る]
- 帽子 2年前
- 明けましておめでとうございます。 2年前
- Rちゃんのレモンケーキ 2年前
- 手作りの肉まん 2年前
- 孫娘のクリスマスツリー 2年前
- ランドマークのクリスマスツリー 2年前
- 婿殿のカレー 2年前
- Good job 2年前
- ハンドウォーマー 2年前
- 小豆の力 2年前